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2025.07.06
人に寄り添い、暮らしを守る。消費生活相談員
「ネットで購入した物が届かなかった」「別の物が届いた」など、事業者と消費者の間で発生する消費者トラブル。
問題解決のために、私たち消費者に寄り添い、解決へと導いてくれるかたがいます。
今回は、「人に寄り添い、暮らしを守る。 消費生活相談員」というテーマで学びました。
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問題解決のために、私たち消費者に寄り添い、解決へと導いてくれるかたがいます。
今回は、「人に寄り添い、暮らしを守る。 消費生活相談員」というテーマで学びました。
(杉浦)
佳菜子ちゃん、「消費生活相談員」って聞いたことある?
(村上)
なんか聞いたことありそうで、聞いたことないようなっていう感じですね。
(杉浦)
じゃあさ、消費者トラブルには遭ったことはある? 例えば「強引に勧誘されて契約してしまった」とか、「突然買った覚えのない商品が家に届いて料金を請求された」とか。あとは「ネットでブランド品を購入したら偽物が届いた」「賃貸マンションを退去する時にリフォーム代を請求されて敷金が返ってこなかった」とか。
(村上)
あー。賃貸マンションで敷金が返ってきたことないかも。もう、そういうものだと思ってました。
(杉浦)
めっちゃ家壊したとか?(笑)
(村上)
穴空けたとか? ないです!(笑) だから知らないうちに、もしかしたらトラブルに遭ってたかも。あとは、美容のサロンで「新しい商品が出たので」みたいな勧誘があって、ちょっと断りづらくてとかもありましたね。結構、美容系では聞きますし、自分もそういう経験をしたことがあります。
(杉浦)
それで泣き寝入りパターンもあるからね。そうならないように、そういう消費者トラブルに遭って困った時に、僕たち消費者の相談に乗ってくれて、被害の防止や解決に導いてくれるのが「消費生活相談員」の方々なんです。ほら、インターネットとかスマートフォンが普及してからは、いろいろな商品を簡単に購入することができるようになったじゃん。でも便利になった反面、事業者と消費者の間で発生する問題は多様になってるの。
(村上)
確かにいろいろ聞きますもんねー。事業者が海外だったりとか、解約の方法が複雑でわかりづらかったり、そういう話、結構ありますもんね。
(杉浦)
あるよね。だから消費者トラブルに関する専門知識を持った「消費生活相談員」の方々がすごく必要とされてるんだよね。
(村上)
今の時代だからこそ、すごく必要ですよね! なんか気になってきました、「消費生活相談員」。
(杉浦)
ここからは今日の講師に教えていただきましょう! 消費者庁地方協力課の山本 竜大さんです。
(村上)
山本さん、消費生活相談員について、改めて詳しく教えていただけますか?
(山本)
はい。消費生活相談員は、皆さんの日々のモノやサービスの売買などに関する相談に乗り、トラブルの解決策などのアドバイスや、事業者との交渉などを行ってくれます。電話番号「188」、「いやや」でご存じのかたもいらっしゃると思いますが、この番号にかけていただくと、お住まいの近くの消費生活センターなどにつながります。この消費生活センターなどで皆さんの相談を受けているのが消費生活相談員さんです。
(村上)
なるほど。契約に関するトラブルを解決に導くのは難しそうですけど、消費生活相談員さんには、どういった知識が必要になるんでしょうか?
(山本)
まずは「法律や制度の知識」です。消費者に対して適切なアドバイスを行うには、「クーリング・オフ」制度をはじめ、消費者に関わる法律や制度についての正確な知識が欠かせません。法制度は常に見直されていきますので、的確な相談対応のためには、知識をアップデートしていくことも求められます。
(杉浦)
契約や取引という話であれば、金融に関する知識や、近年だとデジタル技術の知識も必要ですよね。
(山本)
おっしゃるとおりです。最近の取引は、お店での現金の取引という形から、スマホでのネット取引、またQRコード決済、いろんな仕組みにより行われています。そうした取引形態の変化に応じて相談内容も変わってきますから、相談員さんは、広くアンテナを張っておく必要があります。
(村上)
いろんな知識が必要になるお仕事なんですね。
(山本)
そうですね。そうしたこともあって、消費生活相談員になるには、基本的に国家資格を取得していただく必要があります。現在、地方公共団体に勤務されている相談員は全国で3,350名ほどいます。50から60代のかたが中心ですが、20代、30代のかたも最前線で活躍されてるんですよ。
(村上)
20代のかたもいらっしゃるんですね。豊富な知識が必要なお仕事だから、ベテランのかたが多いのかなって、勝手に思ったんですけど。
(山本)
確かに。資格を取得すれば年齢に関係なく60代以降でも最前線で働いていただけます。ですので、定年退職後のセカンドキャリアとして活躍されているかたもいらっしゃいます。その一方で、近年、やはりインターネットやSNSを介した、新しいトラブルが多いこともあって、デジタル技術や最近のトレンドに詳しい若いかたの力も必要なんです。
(村上)
そうなんですね。では「時代に合った豊富な知識が必要」という以外に、消費生活相談員に求められることってありますか?
(山本)
はい。相談に来られる消費者のかたは、トラブルに巻き込まれているかたです。途方に暮れてしまっているかたも多いと思います。そのため相談員さんは、法的要件などの専門知識を念頭に、消費者に寄り添いながら、相談者の置かれた状況、取引の具体的内容など重要な事実関係を丁寧に引き出していくことが求められます。こういった対応には、まさに「相談のプロ」としてのコミュニケーションスキルや、カウンセリングスキルなども求められると思います。また同時に、公的な行政サービスの相談員さんですから、中立・公平な立場に立って業務に当たることも求められます。
(杉浦)
ということで、ここからは、全国消費生活相談員協会 消費者教育研究所副所長の須黒 真寿美さんをお迎えしました。須黒さんは、消費生活相談員歴30年以上のベテランさんでございます!
(村上)
まずは、須黒さんが消費生活相談員を目指したきっかけを教えてください。
(須黒)
私の場合は、娘が生まれて、より安全な「物」を食べさせたいという思いから、消費者を保護する法律や食品に関する規制などが学べる「消費者カレッジ」を受講したのがきっかけです。ここで学ぶうちに消費生活相談員のことを知り、資格を取得し、今の勤め先で相談員として勤務することになりました。
(杉浦)
やはりこどもが生まれると、これまで意識していなかったことも気になるようになりますよね。
(村上)
最近は消費者トラブルが複雑になっているということですが、現場でどのように感じていらっしゃいますか?
(須黒)
ご相談内容は、食品や衣料品などに関することだけでなく、車、住宅の購入や賃貸、美容医療、内職・副業、投資、オンラインゲームなど、多岐にわたっています。また、販売方法や勧誘の仕方、商品やサービスの表示や品質など、トラブルの原因となる問題点も複数あります。特に最近は、インターネットを介した契約トラブルや、SNSをきっかけとしたトラブルが非常に多いです。
(村上)
そういった状態だと、解決に導くために苦労されてることも多いんじゃないですか?
(須黒)
そうですね。特にインターネットを介したトラブルでは、相談者のかたがどのサイトから購入したか分からないケースや、相談者がご覧になったサイトの表示が残っていない場合もあり、問題点の確認・指摘が難しいことがあります。また事業者側に法律違反や問題のある勧誘などがあった場合でも、事業者が交渉に応じないことや、事業者の連絡先が分からないといったことから、解決が困難になることもあります。
(村上)
基本的に相談を受けたら、どのように対応されるんですか?
(須黒)
例えば、訪問販売で勧誘された屋根の修理や投資や副業などの契約トラブルで相談されるかたは、まず「騙された」「儲からない」「支払えない」といった不満や不安を口にされます。怒りで興奮しているかたもいれば、落ち込んでいるかたもいて、様々です。そこで相談員は、相談者の気持ちに寄り添いながら、冷静に話を聞き、状況を把握するために丁寧に質問をしていきます。
(杉浦)
かなり細かいことまで聞いていくんですよね?
(須黒)
はい、そうですね。契約をしたきっかけ、その後の経緯、契約に関わる書類等が手元にあるか、契約金額はいくらで、その支払いをしたか、支払い方法は何か、そして事業者に苦情を伝えたかなどを詳しく聞き取っていきます。そのうえで、相談者の「解約したい」「返金してほしい」などの要望に応じて、クーリング・オフ制度が使えるケースでは手続きを案内します。また、その場での助言や回答が難しい場合には、相談者から契約に関わる書類等を提供していただいて、解決方法などを検討していきます。
(村上)
細かい状況の違いで、解決できるかどうかも変わってくるから、本当に丁寧な聞き取りが必要なんですね。
(須黒)
そうなんです。また丁寧な聞き取りをすることで、相談者自身も問題の本質だとか自分の行動を振り返ることになります。実はそれが、同じようなトラブルに遭わないための学びにもつながるんです。
(村上)
相談することが再発防止にもなるってことですね。
(杉浦)
山本さん、消費生活相談員は、消費者教育も役割の一つなんですよね?
(山本)
はい、その通りです。地域の高齢者センターや福祉施設に行き、最新のトラブルの事例に基づいて、消費者に正しい情報を分かりやすく伝え、被害を未然に防ぐのも消費生活相談員さんの大切な役割です。
(村上)
トラブルに遭う前にそれを回避する力を身に付けてもらいたいですもんね。では、須黒さん。他に相談員としてやりがいを感じられること、ありますか?
(須黒)
1件1件の相談に丁寧に対応し、それぞれの相談内容の問題点と適用した法律をデータベースに入力することで、情報が蓄積され、今ある法律や規制の改正の根拠となることがあります。また、製品事故に関わる相談の場合、1件の相談に対応することがきっかけで、最終的に製品の回収や改良につながることがあります。こういった点もやりがいの一つだと感じています。
(村上)
製品事故の中には命に関わるものもありますから、そうした法律や制度を見直すことに貢献できる仕事なんて、なかなかないですよね。
(須黒)
そうですよね。こうしたことはもちろん、やりがいになりますけども、やはり、初めは不安そうだった相談者が、問題が解決し被害から救済されたことによって最後には安心される様子を伺うと、「やってよかった」と思いますね。
(杉浦)
須黒さんは、消費生活相談員になるかたには、どのような能力が必要になると思いますか?
(須黒)
はい。トラブルに巻き込まれた相談者は不安を抱え混乱しています。ですから相談員には、消費者の声に耳を傾け、客観的な事実を整理しながら具体的に「聞き取る力」、最適な解決策は何かを「考える力」、トラブルとなった問題点と適用する法律や、相談者の要望を事業者に「伝える力」、そして事業者と「交渉する力」、こうした力が求められます。だけども、最も大切なのは「困っている人の役に立ちたい」という思いです。是非、そうしたかたに仲間になっていただきたいと思っています。
(山本)
今、お話がありましたように、消費生活相談員は「消費者へのアドバイス」や「事業者との交渉」「消費者への啓発活動」を通じて、地域の消費者の暮らしの安心・安全を守る、社会にとって欠かせない存在です。また、そこで蓄積された相談情報は、国の消費者行政の企画・立案そして法執行にも活用されています。そのような意味で、国の政策を支えている大切な仕事です。「困っている人の役にたちたい」「誰かの役に立つ実感を得られる仕事がしたい」そんなかたにとって、とてもやりがいのある仕事です。まずは、人々の暮らしに密着した課題の最前線で活躍できる、「消費生活相談員」に関心を持っていただければと思います。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは、「消費者トラブルで困ったら「188(いやや)」」です。
(杉浦)
大事ね。「188」。僕は「「消費生活相談員」興味を持ったかたは調べてみてね」と。なりたいかたがいらっしゃるかもしれないからね。
(村上)
そうですね。困ってるかたは相談して、消費生活相談員が気になったかたは調べていただきたいですね。
「 関連リンク 」
・消費者庁「消費生活相談員」
・全国消費生活相談員協会
佳菜子ちゃん、「消費生活相談員」って聞いたことある?
(村上)
なんか聞いたことありそうで、聞いたことないようなっていう感じですね。
(杉浦)
じゃあさ、消費者トラブルには遭ったことはある? 例えば「強引に勧誘されて契約してしまった」とか、「突然買った覚えのない商品が家に届いて料金を請求された」とか。あとは「ネットでブランド品を購入したら偽物が届いた」「賃貸マンションを退去する時にリフォーム代を請求されて敷金が返ってこなかった」とか。
(村上)
あー。賃貸マンションで敷金が返ってきたことないかも。もう、そういうものだと思ってました。
(杉浦)
めっちゃ家壊したとか?(笑)
(村上)
穴空けたとか? ないです!(笑) だから知らないうちに、もしかしたらトラブルに遭ってたかも。あとは、美容のサロンで「新しい商品が出たので」みたいな勧誘があって、ちょっと断りづらくてとかもありましたね。結構、美容系では聞きますし、自分もそういう経験をしたことがあります。
(杉浦)
それで泣き寝入りパターンもあるからね。そうならないように、そういう消費者トラブルに遭って困った時に、僕たち消費者の相談に乗ってくれて、被害の防止や解決に導いてくれるのが「消費生活相談員」の方々なんです。ほら、インターネットとかスマートフォンが普及してからは、いろいろな商品を簡単に購入することができるようになったじゃん。でも便利になった反面、事業者と消費者の間で発生する問題は多様になってるの。
(村上)
確かにいろいろ聞きますもんねー。事業者が海外だったりとか、解約の方法が複雑でわかりづらかったり、そういう話、結構ありますもんね。
(杉浦)
あるよね。だから消費者トラブルに関する専門知識を持った「消費生活相談員」の方々がすごく必要とされてるんだよね。
(村上)
今の時代だからこそ、すごく必要ですよね! なんか気になってきました、「消費生活相談員」。
(杉浦)
ここからは今日の講師に教えていただきましょう! 消費者庁地方協力課の山本 竜大さんです。
(村上)
山本さん、消費生活相談員について、改めて詳しく教えていただけますか?
(山本)
はい。消費生活相談員は、皆さんの日々のモノやサービスの売買などに関する相談に乗り、トラブルの解決策などのアドバイスや、事業者との交渉などを行ってくれます。電話番号「188」、「いやや」でご存じのかたもいらっしゃると思いますが、この番号にかけていただくと、お住まいの近くの消費生活センターなどにつながります。この消費生活センターなどで皆さんの相談を受けているのが消費生活相談員さんです。
(村上)
なるほど。契約に関するトラブルを解決に導くのは難しそうですけど、消費生活相談員さんには、どういった知識が必要になるんでしょうか?
(山本)
まずは「法律や制度の知識」です。消費者に対して適切なアドバイスを行うには、「クーリング・オフ」制度をはじめ、消費者に関わる法律や制度についての正確な知識が欠かせません。法制度は常に見直されていきますので、的確な相談対応のためには、知識をアップデートしていくことも求められます。
(杉浦)
契約や取引という話であれば、金融に関する知識や、近年だとデジタル技術の知識も必要ですよね。
(山本)
おっしゃるとおりです。最近の取引は、お店での現金の取引という形から、スマホでのネット取引、またQRコード決済、いろんな仕組みにより行われています。そうした取引形態の変化に応じて相談内容も変わってきますから、相談員さんは、広くアンテナを張っておく必要があります。
(村上)
いろんな知識が必要になるお仕事なんですね。
(山本)
そうですね。そうしたこともあって、消費生活相談員になるには、基本的に国家資格を取得していただく必要があります。現在、地方公共団体に勤務されている相談員は全国で3,350名ほどいます。50から60代のかたが中心ですが、20代、30代のかたも最前線で活躍されてるんですよ。
(村上)
20代のかたもいらっしゃるんですね。豊富な知識が必要なお仕事だから、ベテランのかたが多いのかなって、勝手に思ったんですけど。
(山本)
確かに。資格を取得すれば年齢に関係なく60代以降でも最前線で働いていただけます。ですので、定年退職後のセカンドキャリアとして活躍されているかたもいらっしゃいます。その一方で、近年、やはりインターネットやSNSを介した、新しいトラブルが多いこともあって、デジタル技術や最近のトレンドに詳しい若いかたの力も必要なんです。
(村上)
そうなんですね。では「時代に合った豊富な知識が必要」という以外に、消費生活相談員に求められることってありますか?
(山本)
はい。相談に来られる消費者のかたは、トラブルに巻き込まれているかたです。途方に暮れてしまっているかたも多いと思います。そのため相談員さんは、法的要件などの専門知識を念頭に、消費者に寄り添いながら、相談者の置かれた状況、取引の具体的内容など重要な事実関係を丁寧に引き出していくことが求められます。こういった対応には、まさに「相談のプロ」としてのコミュニケーションスキルや、カウンセリングスキルなども求められると思います。また同時に、公的な行政サービスの相談員さんですから、中立・公平な立場に立って業務に当たることも求められます。
(杉浦)
ということで、ここからは、全国消費生活相談員協会 消費者教育研究所副所長の須黒 真寿美さんをお迎えしました。須黒さんは、消費生活相談員歴30年以上のベテランさんでございます!
(村上)
まずは、須黒さんが消費生活相談員を目指したきっかけを教えてください。
(須黒)
私の場合は、娘が生まれて、より安全な「物」を食べさせたいという思いから、消費者を保護する法律や食品に関する規制などが学べる「消費者カレッジ」を受講したのがきっかけです。ここで学ぶうちに消費生活相談員のことを知り、資格を取得し、今の勤め先で相談員として勤務することになりました。
(杉浦)
やはりこどもが生まれると、これまで意識していなかったことも気になるようになりますよね。
(村上)
最近は消費者トラブルが複雑になっているということですが、現場でどのように感じていらっしゃいますか?
(須黒)
ご相談内容は、食品や衣料品などに関することだけでなく、車、住宅の購入や賃貸、美容医療、内職・副業、投資、オンラインゲームなど、多岐にわたっています。また、販売方法や勧誘の仕方、商品やサービスの表示や品質など、トラブルの原因となる問題点も複数あります。特に最近は、インターネットを介した契約トラブルや、SNSをきっかけとしたトラブルが非常に多いです。
(村上)
そういった状態だと、解決に導くために苦労されてることも多いんじゃないですか?
(須黒)
そうですね。特にインターネットを介したトラブルでは、相談者のかたがどのサイトから購入したか分からないケースや、相談者がご覧になったサイトの表示が残っていない場合もあり、問題点の確認・指摘が難しいことがあります。また事業者側に法律違反や問題のある勧誘などがあった場合でも、事業者が交渉に応じないことや、事業者の連絡先が分からないといったことから、解決が困難になることもあります。
(村上)
基本的に相談を受けたら、どのように対応されるんですか?
(須黒)
例えば、訪問販売で勧誘された屋根の修理や投資や副業などの契約トラブルで相談されるかたは、まず「騙された」「儲からない」「支払えない」といった不満や不安を口にされます。怒りで興奮しているかたもいれば、落ち込んでいるかたもいて、様々です。そこで相談員は、相談者の気持ちに寄り添いながら、冷静に話を聞き、状況を把握するために丁寧に質問をしていきます。
(杉浦)
かなり細かいことまで聞いていくんですよね?
(須黒)
はい、そうですね。契約をしたきっかけ、その後の経緯、契約に関わる書類等が手元にあるか、契約金額はいくらで、その支払いをしたか、支払い方法は何か、そして事業者に苦情を伝えたかなどを詳しく聞き取っていきます。そのうえで、相談者の「解約したい」「返金してほしい」などの要望に応じて、クーリング・オフ制度が使えるケースでは手続きを案内します。また、その場での助言や回答が難しい場合には、相談者から契約に関わる書類等を提供していただいて、解決方法などを検討していきます。
(村上)
細かい状況の違いで、解決できるかどうかも変わってくるから、本当に丁寧な聞き取りが必要なんですね。
(須黒)
そうなんです。また丁寧な聞き取りをすることで、相談者自身も問題の本質だとか自分の行動を振り返ることになります。実はそれが、同じようなトラブルに遭わないための学びにもつながるんです。
(村上)
相談することが再発防止にもなるってことですね。
(杉浦)
山本さん、消費生活相談員は、消費者教育も役割の一つなんですよね?
(山本)
はい、その通りです。地域の高齢者センターや福祉施設に行き、最新のトラブルの事例に基づいて、消費者に正しい情報を分かりやすく伝え、被害を未然に防ぐのも消費生活相談員さんの大切な役割です。
(村上)
トラブルに遭う前にそれを回避する力を身に付けてもらいたいですもんね。では、須黒さん。他に相談員としてやりがいを感じられること、ありますか?
(須黒)
1件1件の相談に丁寧に対応し、それぞれの相談内容の問題点と適用した法律をデータベースに入力することで、情報が蓄積され、今ある法律や規制の改正の根拠となることがあります。また、製品事故に関わる相談の場合、1件の相談に対応することがきっかけで、最終的に製品の回収や改良につながることがあります。こういった点もやりがいの一つだと感じています。
(村上)
製品事故の中には命に関わるものもありますから、そうした法律や制度を見直すことに貢献できる仕事なんて、なかなかないですよね。
(須黒)
そうですよね。こうしたことはもちろん、やりがいになりますけども、やはり、初めは不安そうだった相談者が、問題が解決し被害から救済されたことによって最後には安心される様子を伺うと、「やってよかった」と思いますね。
(杉浦)
須黒さんは、消費生活相談員になるかたには、どのような能力が必要になると思いますか?
(須黒)
はい。トラブルに巻き込まれた相談者は不安を抱え混乱しています。ですから相談員には、消費者の声に耳を傾け、客観的な事実を整理しながら具体的に「聞き取る力」、最適な解決策は何かを「考える力」、トラブルとなった問題点と適用する法律や、相談者の要望を事業者に「伝える力」、そして事業者と「交渉する力」、こうした力が求められます。だけども、最も大切なのは「困っている人の役に立ちたい」という思いです。是非、そうしたかたに仲間になっていただきたいと思っています。
(山本)
今、お話がありましたように、消費生活相談員は「消費者へのアドバイス」や「事業者との交渉」「消費者への啓発活動」を通じて、地域の消費者の暮らしの安心・安全を守る、社会にとって欠かせない存在です。また、そこで蓄積された相談情報は、国の消費者行政の企画・立案そして法執行にも活用されています。そのような意味で、国の政策を支えている大切な仕事です。「困っている人の役にたちたい」「誰かの役に立つ実感を得られる仕事がしたい」そんなかたにとって、とてもやりがいのある仕事です。まずは、人々の暮らしに密着した課題の最前線で活躍できる、「消費生活相談員」に関心を持っていただければと思います。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは、「消費者トラブルで困ったら「188(いやや)」」です。
(杉浦)
大事ね。「188」。僕は「「消費生活相談員」興味を持ったかたは調べてみてね」と。なりたいかたがいらっしゃるかもしれないからね。
(村上)
そうですね。困ってるかたは相談して、消費生活相談員が気になったかたは調べていただきたいですね。
「 関連リンク 」
・消費者庁「消費生活相談員」
・全国消費生活相談員協会