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その医療広告、大丈夫? ルールを知って見極めよう!

その医療広告、大丈夫? ルールを知って見極めよう!

よく見かける美容医療広告でも、実は、医療広告としてのルールを守れていない可能性があります。
正しい医療広告とはどういうものなのでしょうか?

今回は、「その医療広告、大丈夫? ルールを知って見極めよう!」というテーマで学びました。
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(杉浦)
佳菜子ちゃん、美容医療って興味ある? シミ取りとか、脱毛とか?

(村上)
ありますよ! やっぱり、この年代になってくるとみんな結構気にしてたりとかして、お茶行ったときとかもそういう話をするし、脱毛もそうじゃないですか、医療脱毛とかもあって、うちの旦那さんもやってたりとか。やっぱり、周りの人は何かしらやってるかなと思います。

(杉浦)
そうね。これはもう男女問わず増えてるよね。

(村上)
昔に比べると、美容医療に対してのハードルが低くなってきてるのかな? と思いますね。

(杉浦)
若い男の子もヒゲとか脱毛してるじゃん?

(村上)
うちの旦那さんもヒゲ脱毛して、全身脱毛もしましたよ。

(杉浦)
実際、日本での美容医療の施術数は増えていまして、特に外科的じゃない施術の数が増えてるんだって。例えば、「レーザー」とか「ボツリヌス菌毒素の注入」などによる、脱毛、ワキ汗の抑制、脂肪の除去とかね。

(村上)
他の人からすると大したことじゃなくても、やっぱり自分では気になっちゃうことって、いっぱいあるじゃないですか。でも技術が進んで、そういう悩みが解消できるようになったっていうことは、救われる人もたくさんいるでしょうね。

(杉浦)
そうだね。コンプレックスが無くなったりするからね。まあ、それはそうなんだけども、美容医療の利用件数が増えたことに伴って、実はですね、利用者による相談件数や危険な事例も増えてるんだって。2023年度、国民生活センターや消費生活センターなどで受けた美容医療に関する相談はおよそ5,500件。その中で多いのは、契約に関する「消費者トラブル」や「施術」に関することなんだって。

(村上)
なるほどね…。具体的にはどのような相談内容なんですか?

(杉浦)
消費者トラブルの場合、例えば「広告で見た料金と違う高額な請求をされた」「解約できなかった」とか「解約料が高額」だったり。施術に関する相談内容は「思ったほど改善していない」とか「効果に対する不満」「施術内容やリスクの説明が不十分」とかね。

(村上)
やっぱり施術でも「個人差がある」っていう説明が足りないと、思ったほど改善してないってなりますから。美容医療で説明が不十分っていうのは、気になっちゃいますよね。それで、もし何かあったらと考えると怖いですもんね。やっぱり、針とか刺したりするわけじゃないですか。レーザーもそうだけど。

(杉浦)
やけどしたりとかね。実はね、その「何か」が起こってしまって相談を受けたケースもあるんだよね。例えば「アンチエイジング点滴でかゆみ、全身の発しんが出た」とか「ボトックス注射で目の腫れと頭痛が出て、別の医師から完治まで3か月と言われた」とか。

(村上)
えー。怖いですね。だって今より良くなりたいと思って、皆さん施術を受けるわけじゃないですか。なのに想定しなかったことが起きちゃうって、不安になっちゃいますよね。

(杉浦)
不安だよね。他にも「超音波で顔のたるみを解消する施術を受けたら頬に6cmのやけどを負った」とか、「ヒゲのレーザー脱毛で赤くただれて、水ぶくれができるやけどを負った」っていう相談なども寄せられてるんだって。

(村上)
顔にやけどってショックですよね。それこそ、やけどすると痕が残ったりして、場合によっては元に戻らない可能性だってありますもんね。

(杉浦)
美容医療によるトラブルで怖いのは、「取り返しのつかないことになる可能性がある」ってことだね。そこで、そうしたトラブルを避けるための対策の一つとして、みんなに知っておいてもらいたいのが「医療広告のルール」なんだって。ここからは、今日の講師に教えていただきましょう! 厚生労働省医政局の吉岡 希恵さんです。

(村上)
吉岡さん「医療広告のルール」って、とっても気になるんですけど、それを伺う前に、そもそも「美容医療」とはどういうものなのか、改めて教えていただけますか?

(吉岡)
はい。美容医療はけがや病気の治療の必要はありませんが、精神的負担を取り除く効果も考慮して、体の各部分の形状や表面を、より美しくすることを目的とした治療です。また、間違われやすいのですが、医療行為を伴わないエステ脱毛や、リラクゼーションなどの行為は、美容医療には含まれないものとなります。

(杉浦)
(医療行為を伴わない)エステとかマッサージとかは含まれないと。ということで、今日はあくまでも医療機関で医師が行う美容医療の広告について学んでいきたいと思います。

(村上)
そうした「美容医療ならではの広告のルールがある」っていうことですね。

(吉岡)
はい。美容医療の広告は医療機関のウェブサイトやSNSなどインターネット上で目にすることが多いと思います。実は、そうした美容医療などの医療広告には厳格なルールがあり、法律やガイドラインで、禁止事項や避けるべき内容が明確に定められているんです。医療は、不適当なサービスを受けた場合の被害が他の分野に比べて著しいことや、専門性が高く、医療を受ける前に患者さん自身で判断することが難しいことから、広告をするに当たっての厳格なルールが定められていますが、残念ながら、そうしたルールに抵触する広告が複数ある状況です。

(杉浦)
ルールを守らない医療機関って、正直どう思う? 安心して契約したり施術を受けたりすることができるか? という話ですよね。

(村上)
ルール守ってない時点で、怖いですよね。

(杉浦)
そうだよね。他にもルール違反してるんじゃないかって、思っちゃうよね。

(村上)
広告のルールを守っていないのであれば、契約や施術など他のことに対してもちゃんとしてないんじゃないかな? って疑っちゃいますね。

(吉岡)
そもそも美容医療を含む医療広告に対する規制は、患者さんや利用者を保護する観点から定められているものです。しかし、そうした「ルールを守らない医療機関がある」ということを皆さんには知っておいていただき、医療機関を選ぶ時、参考の一つにしていただければと思っています。

(杉浦)
実際、ネット上には広告があふれかえってますから、迷うこともあると思うんですけども、美容医療を受けてみたいと思った時に、その医療機関が広告のルールをしっかり守っているかどうかを判断材料にすることも、トラブルを避けるための一つの方法ということですよね。

(村上)
必ずしも広告だけで判断できるものではないけども、一つの目安になるということですよね。

(杉浦)
では、ここからは「医療広告」のルールについて具体的に学んでいきます。実は、医療広告には非常に細かく、たくさんの決まりがあります。そこで今回は、その中でも美容医療の広告で特によく見られるルール違反に注目しながら、正しいルールのポイントを分かりやすく教えていただきましょう。まずは、ここに注目! 「ビフォーアフター写真」。

(村上)
これはもう、必ずって言っていいほど載ってる気がするんですけど。吉岡さん、「ビフォーアフター写真」にはどんなルールがあるんでしょうか?

(吉岡)
はい。加工している写真は「ウソ」ですから、虚偽広告に当たり当然ルール違反です。また本当の「ビフォーアフター写真」であっても、治療の説明としてウェブサイトなどに掲載するのであれば、すべての施術内容、費用、期間、回数、さらにリスク、副作用などの情報を写真と一体で記載しなければなりません。「写真のみが掲載され説明が一切ないもの」「説明が不十分なもの」「クリックしなければ説明が表示されないもの」は、全て禁止です。

(村上)
「クリックしなければ説明が表示されないもの」も禁止なんですね。ということは、「詳細はこちらをクリック」みたいなものって、たまに見ることあると思うんですけど、写真と一緒に示されていないとダメなんですね。

(吉岡)
はい。美容医療の広告で特に目立つルール違反は「ビフォーアフター写真」で、良い結果だけを強調したり、「ヒアルロン酸注入だけで、ほうれい線がすぐに改善!」といった、効果を過度にうたう表現です。しかし医療の効果には個人差があり、誰にでも同じ結果が出るとは限りません。それにもかかわらず、あたかも必ず効果があるかのように見せる表現は、誤解を与える「誇大広告」とされ、禁止されています。

(村上)
こうやって改めて聞くと、かなり細かいルールがあるんですね。知らなかったです。

(杉浦)
これは結構、目にするよね。では続いて、美容医療広告のここに注目! 「体験談」です。吉岡さん、美容医療広告に限らず医療広告では「体験談」を掲載してはいけないそうですね。

(吉岡)
はい。体験談は患者さんなどによる主観です。当然、それぞれの人により状態は違い、その感想も異なるもので、広告を見る人に誤認を与えるおそれがあり、掲載してはいけないんです。

(村上)
あの…、素朴な疑問なんですけど、SNSなどの個人アカウントで「○○病院で、ケミカルピーリングしたらきれいになりました」みたいなのってよく見ると思うんですけど、感想を書くのはいいんですか?

(吉岡)
はい。それは広告には当たらないのでルール違反にはなりません。ただし注意していただきたいのは、個人アカウントであっても、その病院などから対価をもらって発信している場合は広告に当たるため、違反です。また、病院の医師が個人のアカウントで施術内容を解説したり説明したりするのは、個別の判断にもなりますが、結果的に患者さんを誘引していることになるため、広告とみなしルール違反となります。

(杉浦)
では、美容医療広告のここに注目! 続いては「比較優良広告」。

(村上)
比較優良? それって、具体的にどんな広告のことなんでしょうか? 吉岡さん。

(吉岡)
はい。「他の病院又は診療所と比較して優良だと伝える広告」のことを、「比較優良広告」と言います。「日本一」や「No.1」「最高」などの表現を使った広告は、見た人に「ここは他の医療機関より著しく優れている」と思わせて、患者さんを必要以上に引き付けてしまう可能性があります。このため「日本一」などの表現がたとえ事実でも、いい印象を与え過ぎてしまうため、禁止されているんです。

(杉浦)
これにはですね、有名人と関係があることを強調するような広告も含まれていまして、例えば「村上 佳菜子さんも○○医師を推薦しています」とか「杉浦 太陽さんも当院で治療を受けています」「芸能プロダクションと提携しています」というのもダメなんですって。

(村上)
でも、そういう広告見たことあるかも…。これもダメなんですね。

(杉浦)
この他にも、法律で禁止されてはいないものの、避けるべき医療広告として「品位を損ねる広告」っていうものもあるんだって。吉岡さんお願いします。

(吉岡)
はい。医療広告は、患者さんが広告内容を適切に理解し治療などを選択できるように、客観的で正確な情報を伝えることに努めなければなりません。そのため、「今ならMAX63%OFF」とか「モニター価格で9,800円」など、「費用を強調した広告」は品位を損ねるとみなされます。

(村上)
「費用の安さに釣られて冷静な判断ができないことのないように」ということですよね。

(吉岡)
はい。また「無料相談をされたかた全員に○○をプレゼント」など、提供される医療の内容とは直接関係ないことを記載して患者さんを誘うことも、「品位を損ねる内容」とみなされます。

(村上)
「今ならおトク」とか「全員にプレゼント」などは、人の心を惑わすキラーワードですもんね。テレビショッピングや一般的な通販サイトなら問題なくても、医療広告では避けるべきことなんですね。今日は美容医療によるトラブルを避けるために知っておきたい医療広告のルールを、いろいろと教えていただきましたけど、最後に、トラブルを避けるために他に意識すべき点があれば教えていただけますか?

(吉岡)
医療機関を選ぶ時は、広告に記載されている情報だけをそのまま信じるのではなく、ご紹介したルールなどに違反している広告を見つけたら「おかしいな」と思って、自分でも情報収集することが大切です。そして、医療機関では十分なカウンセリングを受け、納得したうえで美容医療サービスを利用するように心掛けてください。

(村上)
理想の自分に近づくために近道なんてない、っていうことですよね。納得いくまで下調べをして、冷静に判断することが大切ですね!

(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは、「美容医療広告のルールをちゃんと知ろう」です。

(杉浦)
僕は「美容医療を受ける時は下調べをしっかりしよう」です。


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