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2025.11.30
冬こそご用心! ノロウイルスによる食中毒
あなたは、日頃から手洗い、うがい、アルコール消毒していますか?
食中毒の中でも特に今の時期、注意していただきたいのがノロウイルスです。
今回は、「冬こそご用心! ノロウイルスによる食中毒」というテーマで学びました。
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食中毒の中でも特に今の時期、注意していただきたいのがノロウイルスです。
今回は、「冬こそご用心! ノロウイルスによる食中毒」というテーマで学びました。
(杉浦)
ノロウイルスの食中毒と言えば、毎年、食中毒の発生原因の上位になってるんですけども、佳菜子ちゃん、経験はある?
(村上)
一番覚えてるのは、小学校6年生の時に、タイへフィギュアスケートの試合に行ったんですよ。その時に、一緒に行く選手が直前に食中毒にかかってて。もちろん、一緒に練習してたし、一緒に遠征も行って、私もうつっちゃって…。試合前にダウンしちゃったんで、体力がないまま試合して。でも、優勝しました(笑)
(杉浦)
すごいやん! さすがオリンピアン!
(村上)
でも、すごくしんどかったです…。めちゃくちゃ覚えてます。
(杉浦)
そりゃしんどいよ…。ノロウイルスによる食中毒の主な症状は、吐き気、おう吐、下痢、腹痛、発熱などで、症状は1日から2日程度続きます。乳幼児や高齢者の場合は、体力がないから症状が重くなる可能性もありまして、ノロウイルスはとても厄介なものなんだよね。うちも乳幼児がいるから、怖いなぁ…。昔、こどもがかかってさ、学校からもらってくるじゃん? そうすると、うちはこどもが多いから、1人、2人、3人… 増えていくのよ。それで、最後には親二人ともかかって。本当に厄介だからね…。このノロウイルスによる食中毒が、1年のうち、もっとも多くなるのが11月から2月にかけてなんだって。
(村上)
まさに今ですよね!
(杉浦)
今です! 特に今年は要注意! 実は、今年は9月1日の時点で、すでに昨年1年間のノロウイルスによる食中毒件数や患者数を超えているんだって。
(村上)
え! どうして?! ノロウイルスがより凶暴になったってことですか?
(杉浦)
これが要因ははっきりしないんだけど、一つ考えられるのは、コロナの頃との違いだよね。当時はみんな、手洗いとかアルコール消毒とか丁寧にやってましたけど、でも、時間が経つにつれて予防意識が薄れて、手洗い・うがいが少しおろそかになっている可能性があるよね。それに、アルコール消毒をすれば安心と思いがちですけども、「ノロウイルスをアルコールで除去するのは難しい」と。
(村上)
えー! それもノロウイルスが厄介な理由の一つですね。
(杉浦)
そう。他にも厄介な理由があるので、ここからは今日の講師に伺っていきましょう! 厚生労働省食品監視安全課の中原 健人さんです。
(杉浦)
早速「ノロウイルスが厄介な理由」、伺っていきましょうか。まずはこちら! 「ノロウイルスは小さい」。
(村上)
中原さん、これはどういうことでしょうか?
(中原)
はい。ノロウイルスはウイルスの中でも小さなもので、大腸菌などと比べると、およそ30分の1ほどしかありません。そのため、手や指に付くと、シワや指紋、爪の隙間に入り込んでしまい、なかなか洗い落とせないんです。
(杉浦)
さらに、小さいと空気中に浮遊しやすいということもありますよね。
(中原)
はい。おう吐物が乾燥し、ちりやほこりとともに空気中に舞い上がり、長時間浮遊してしまうこともあります。その浮遊したウイルスを吸い込むことにより感染することもあります。
(村上)
二次感染しちゃうってことですよね。それは本当に厄介ですよねー。
(杉浦)
では「ノロウイルスが厄介な理由」続いてはこちら! 「少量でも感染」。
(中原)
大腸菌による食中毒でよく知られる、腸管出血性大腸菌O157は感染力が強いことで知られていて、100個程度の菌数でも感染すると言われています。しかし、ノロウイルスの場合、100個どころではありません。僅か10個からでも感染が成立すると言われています。そのため、僅かな汚染でも大規模食中毒や感染症を引き起こしてしまうんです。
(村上)
なんと、僅か10個から!! めちゃくちゃ感染力が強いっていうことですよね。怖い。
(杉浦)
怖いねー。では、続いての「ノロウイルスが厄介な理由」はこちら! 「排出期間が思っているより長い」。
(中原)
ノロウイルスの場合、おう吐や下痢等の症状が消えて、体調が回復した後も、便と一緒にウイルスが排泄され続けます。通常は1週間程度ですけども、長いときは1か月を過ぎても排泄が続くことがあるんです。
(村上)
1か月も?! それは確かに思っているより長いですね。ということは、一度感染したら、症状が落ち着いても、しばらくは相当の注意が必要っていうことですよね。
(中原)
そうですね。しかも、ノロウイルスは感染しても発症しないことや、軽い風邪のような症状しか出ないこともありまして、気付かないうちに、ウイルスを体内に持っていて便から排泄している可能性もあります。そうした便が手や指に付いたり、あとは、トイレの壁やドアノブを汚染したりして、感染が広がってしまうこともあるんです。
(村上)
そうか。自分でも気付かないうちに他の人に感染させちゃう可能性があるっていうことですよね。便、オムツ交換も要注意ですね。ノロウイルスの生き残る力って、強いですねー。
(杉浦)
それに、ノロウイルスは、少し加熱したくらいでは人にうつす力はなくならないし、冷凍しても生き残るんだって!
(村上)
すごい強い。厄介ですねー!! こんなに手強いノロウイルスに、私たちはどう向き合えばいいんですかね? ノロウイルスによる食中毒を防ぐにはどうしたらいいんでしょうか?
(杉浦)
そのポイントは「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」この4原則を徹底することです!
(村上)
「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」?
(杉浦)
そう! ここからはノロウイルスによる食中毒を防ぐための4原則、「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」のポイントを伺っていきましょう!
(村上)
まずは「持ち込まない」。中原さん、ポイントを教えてください。
(中原)
はい。ノロウイルスによる食中毒は、感染した人が調理した食べ物から広がることが多いんです。ニュースで、飲食店でお客さんが集団感染してしまった話を聞いたことがありますよね? ですから、まずは「ウイルスをキッチンや食卓に持ち込まない」ように気を付けることが大事です。
(村上)
「持ち込まない」ためにはどうしたらいいんでしょうか?
(中原)
それは、日頃から「手洗いをしっかりする」ことや「健康状態に注意する」こと。そして、「下痢やおう吐、風邪のような症状がある場合は、食品を直接扱う作業をしないようにする」ことです。
(杉浦)
「体調が悪い時は調理をしないこと」を、徹底した方がいいということですよね。
(中原)
おっしゃるとおりです。先ほどお話しましたが、ノロウイルスは感染しても発症しない場合もありますし、自覚症状がなくなっても、思っているより長く便から排泄が続く場合もありますから、食品の取扱いには十分に注意をしてください。
(杉浦)
では、続いて「つけない」、こちらのポイントを教えてください。
(中原)
はい。食品や食器、調理器具などにノロウイルスを付けないように、調理をする際には「手洗い」をしっかりと行ってください。
(杉浦)
手を洗うタイミングは、「トイレに行った後」「調理施設に入る前」「調理の盛り付けの前」「次の調理作業に入る前」「手袋を着用する前」、さらに、ご家庭などでは「オムツを交換した後」などですね。
(村上)
調理中もこまめに手を洗う必要があるんですね。
(中原)
はい。加えて、手の洗い方にも注意してください。指輪や時計などは外し、せっけんを使って洗ってください。せっけん自体にノロウイルスを直接やっつける力はありませんが、せっけんで手の脂や汚れを落とすことで、ウイルスが手から剥がれやすくなります。ですから、指先や指の間、爪の間、親指の周り、手首、手の甲など、汚れの残りやすいところを、時間をかけてしっかり洗ってください。
(杉浦)
では、ノロウイルスによる食中毒を防ぐための4原則、続いては「やっつける」のポイントを教えてください。
(中原)
食品に付着したノロウイルスを食べる前に死滅させるためには、「食品の中心温度85℃から90℃で90秒以上の加熱」が必要です。食品工場などでは、食中毒予防のために加熱調理の際にしっかりと温度管理がされているんですが、ご家庭でも例えば、中心温度計を使うことで、加熱が十分に行われたかを確認することができます。特に、加熱調理用の二枚貝には、内部にまでノロウイルスが存在するおそれがあるので、十分注意してください。
(杉浦)
ちなみに、アサリとかカキみたいに、身の部分が2枚の貝殻で覆われている貝のことを二枚貝と言います。
(村上)
なるほど。調理中に食品の中心温度を測るなんて、あまり考えたことなかったですね。ノロウイルスの対策には、そういう温度管理も大切なんですね。
(杉浦)
温度ね。では、ノロウイルスによる食中毒を防ぐための4原則、最後の「ひろげない」のポイントを教えてください。
(中原)
まず、加熱調理用の二枚貝などを調理する際に使った、包丁やまな板などの調理器具、食器やふきん、タオルなどは「洗剤などで十分に洗った後に、85℃以上の熱湯で1分以上加熱するか、塩素系の消毒液に浸して消毒」してください。
(杉浦)
まな板や包丁などの調理器具は、魚介類用、野菜用など、分けて使うのもお勧めですよね。
(中原)
はい。また、ノロウイルスが身近で発生した時は、特に調理する人が感染しないように、「感染者が使った物や、おう吐物がついた物は、他の物と分けて洗浄や消毒」を行ってください。
(村上)
タオルやふきんは、簡単に汚れを洗い流したら、他の洗濯物と一緒に洗濯機に入れちゃいそうですけど、それはダメっていうことですよね。
(中原)
はい。ポイントは「分けて洗う」です。汚染されたタオルやふきんは、分けたうえで、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いし、十分にすすいでください。そして、85℃以上の熱いお湯で1分以上洗濯したり、塩素系の消毒液による消毒を行ったり、高温の乾燥機にかけるなどを行うと、より殺菌効果が高まります。
(杉浦)
「おう吐物を処理する時」にも、注意が必要なんですよね。
(中原)
はい。処理する時にウイルスを広げてしまう可能性もありますから、そうならないように、使い捨てのマスクやガウン、手袋などを着用し、おう吐物が乾燥する前にペーパータオルなどで除去してください。
(杉浦)
乾燥すると空気中にウイルスが舞い上がってしまいますからね。
(中原)
はい。おう吐物を除去したら、その後は、おう吐物の付着していた場所を浸すように塩素系の消毒液で拭き取り、ビニール袋に入れてください。そして、着用していたマスクやガウンなどもビニール袋に入れ、密閉して廃棄してください。その後、屋内への拡散防止のため換気を行い、せっけんで手を丁寧に洗ってください。
(村上)
ノロウイルスへの対応って、調理する時も、発生してしまった後も、とても大変で厄介だということが分かりました。
(中原)
はい。しかし、感染のリスクを減らすためには、予防対策を徹底するしかありません。ノロウイルスによる食中毒は冬に多発しています。ですから、どうか普段から、「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」この4原則を守るように心掛けてください。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは、「ノロウイルス 冬こそ要注意」です。
(杉浦)
僕は、「ノロウイルスによる食中毒を防ぐための4原則「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」」です。
「 関連リンク 」
・厚生労働省「食中毒の原因(細菌以外)」
・厚生労働省「食中毒」
・厚生労働省「感染性胃腸炎(特にノロウイルス)」
ノロウイルスの食中毒と言えば、毎年、食中毒の発生原因の上位になってるんですけども、佳菜子ちゃん、経験はある?
(村上)
一番覚えてるのは、小学校6年生の時に、タイへフィギュアスケートの試合に行ったんですよ。その時に、一緒に行く選手が直前に食中毒にかかってて。もちろん、一緒に練習してたし、一緒に遠征も行って、私もうつっちゃって…。試合前にダウンしちゃったんで、体力がないまま試合して。でも、優勝しました(笑)
(杉浦)
すごいやん! さすがオリンピアン!
(村上)
でも、すごくしんどかったです…。めちゃくちゃ覚えてます。
(杉浦)
そりゃしんどいよ…。ノロウイルスによる食中毒の主な症状は、吐き気、おう吐、下痢、腹痛、発熱などで、症状は1日から2日程度続きます。乳幼児や高齢者の場合は、体力がないから症状が重くなる可能性もありまして、ノロウイルスはとても厄介なものなんだよね。うちも乳幼児がいるから、怖いなぁ…。昔、こどもがかかってさ、学校からもらってくるじゃん? そうすると、うちはこどもが多いから、1人、2人、3人… 増えていくのよ。それで、最後には親二人ともかかって。本当に厄介だからね…。このノロウイルスによる食中毒が、1年のうち、もっとも多くなるのが11月から2月にかけてなんだって。
(村上)
まさに今ですよね!
(杉浦)
今です! 特に今年は要注意! 実は、今年は9月1日の時点で、すでに昨年1年間のノロウイルスによる食中毒件数や患者数を超えているんだって。
(村上)
え! どうして?! ノロウイルスがより凶暴になったってことですか?
(杉浦)
これが要因ははっきりしないんだけど、一つ考えられるのは、コロナの頃との違いだよね。当時はみんな、手洗いとかアルコール消毒とか丁寧にやってましたけど、でも、時間が経つにつれて予防意識が薄れて、手洗い・うがいが少しおろそかになっている可能性があるよね。それに、アルコール消毒をすれば安心と思いがちですけども、「ノロウイルスをアルコールで除去するのは難しい」と。
(村上)
えー! それもノロウイルスが厄介な理由の一つですね。
(杉浦)
そう。他にも厄介な理由があるので、ここからは今日の講師に伺っていきましょう! 厚生労働省食品監視安全課の中原 健人さんです。
(杉浦)
早速「ノロウイルスが厄介な理由」、伺っていきましょうか。まずはこちら! 「ノロウイルスは小さい」。
(村上)
中原さん、これはどういうことでしょうか?
(中原)
はい。ノロウイルスはウイルスの中でも小さなもので、大腸菌などと比べると、およそ30分の1ほどしかありません。そのため、手や指に付くと、シワや指紋、爪の隙間に入り込んでしまい、なかなか洗い落とせないんです。
(杉浦)
さらに、小さいと空気中に浮遊しやすいということもありますよね。
(中原)
はい。おう吐物が乾燥し、ちりやほこりとともに空気中に舞い上がり、長時間浮遊してしまうこともあります。その浮遊したウイルスを吸い込むことにより感染することもあります。
(村上)
二次感染しちゃうってことですよね。それは本当に厄介ですよねー。
(杉浦)
では「ノロウイルスが厄介な理由」続いてはこちら! 「少量でも感染」。
(中原)
大腸菌による食中毒でよく知られる、腸管出血性大腸菌O157は感染力が強いことで知られていて、100個程度の菌数でも感染すると言われています。しかし、ノロウイルスの場合、100個どころではありません。僅か10個からでも感染が成立すると言われています。そのため、僅かな汚染でも大規模食中毒や感染症を引き起こしてしまうんです。
(村上)
なんと、僅か10個から!! めちゃくちゃ感染力が強いっていうことですよね。怖い。
(杉浦)
怖いねー。では、続いての「ノロウイルスが厄介な理由」はこちら! 「排出期間が思っているより長い」。
(中原)
ノロウイルスの場合、おう吐や下痢等の症状が消えて、体調が回復した後も、便と一緒にウイルスが排泄され続けます。通常は1週間程度ですけども、長いときは1か月を過ぎても排泄が続くことがあるんです。
(村上)
1か月も?! それは確かに思っているより長いですね。ということは、一度感染したら、症状が落ち着いても、しばらくは相当の注意が必要っていうことですよね。
(中原)
そうですね。しかも、ノロウイルスは感染しても発症しないことや、軽い風邪のような症状しか出ないこともありまして、気付かないうちに、ウイルスを体内に持っていて便から排泄している可能性もあります。そうした便が手や指に付いたり、あとは、トイレの壁やドアノブを汚染したりして、感染が広がってしまうこともあるんです。
(村上)
そうか。自分でも気付かないうちに他の人に感染させちゃう可能性があるっていうことですよね。便、オムツ交換も要注意ですね。ノロウイルスの生き残る力って、強いですねー。
(杉浦)
それに、ノロウイルスは、少し加熱したくらいでは人にうつす力はなくならないし、冷凍しても生き残るんだって!
(村上)
すごい強い。厄介ですねー!! こんなに手強いノロウイルスに、私たちはどう向き合えばいいんですかね? ノロウイルスによる食中毒を防ぐにはどうしたらいいんでしょうか?
(杉浦)
そのポイントは「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」この4原則を徹底することです!
(村上)
「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」?
(杉浦)
そう! ここからはノロウイルスによる食中毒を防ぐための4原則、「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」のポイントを伺っていきましょう!
(村上)
まずは「持ち込まない」。中原さん、ポイントを教えてください。
(中原)
はい。ノロウイルスによる食中毒は、感染した人が調理した食べ物から広がることが多いんです。ニュースで、飲食店でお客さんが集団感染してしまった話を聞いたことがありますよね? ですから、まずは「ウイルスをキッチンや食卓に持ち込まない」ように気を付けることが大事です。
(村上)
「持ち込まない」ためにはどうしたらいいんでしょうか?
(中原)
それは、日頃から「手洗いをしっかりする」ことや「健康状態に注意する」こと。そして、「下痢やおう吐、風邪のような症状がある場合は、食品を直接扱う作業をしないようにする」ことです。
(杉浦)
「体調が悪い時は調理をしないこと」を、徹底した方がいいということですよね。
(中原)
おっしゃるとおりです。先ほどお話しましたが、ノロウイルスは感染しても発症しない場合もありますし、自覚症状がなくなっても、思っているより長く便から排泄が続く場合もありますから、食品の取扱いには十分に注意をしてください。
(杉浦)
では、続いて「つけない」、こちらのポイントを教えてください。
(中原)
はい。食品や食器、調理器具などにノロウイルスを付けないように、調理をする際には「手洗い」をしっかりと行ってください。
(杉浦)
手を洗うタイミングは、「トイレに行った後」「調理施設に入る前」「調理の盛り付けの前」「次の調理作業に入る前」「手袋を着用する前」、さらに、ご家庭などでは「オムツを交換した後」などですね。
(村上)
調理中もこまめに手を洗う必要があるんですね。
(中原)
はい。加えて、手の洗い方にも注意してください。指輪や時計などは外し、せっけんを使って洗ってください。せっけん自体にノロウイルスを直接やっつける力はありませんが、せっけんで手の脂や汚れを落とすことで、ウイルスが手から剥がれやすくなります。ですから、指先や指の間、爪の間、親指の周り、手首、手の甲など、汚れの残りやすいところを、時間をかけてしっかり洗ってください。
(杉浦)
では、ノロウイルスによる食中毒を防ぐための4原則、続いては「やっつける」のポイントを教えてください。
(中原)
食品に付着したノロウイルスを食べる前に死滅させるためには、「食品の中心温度85℃から90℃で90秒以上の加熱」が必要です。食品工場などでは、食中毒予防のために加熱調理の際にしっかりと温度管理がされているんですが、ご家庭でも例えば、中心温度計を使うことで、加熱が十分に行われたかを確認することができます。特に、加熱調理用の二枚貝には、内部にまでノロウイルスが存在するおそれがあるので、十分注意してください。
(杉浦)
ちなみに、アサリとかカキみたいに、身の部分が2枚の貝殻で覆われている貝のことを二枚貝と言います。
(村上)
なるほど。調理中に食品の中心温度を測るなんて、あまり考えたことなかったですね。ノロウイルスの対策には、そういう温度管理も大切なんですね。
(杉浦)
温度ね。では、ノロウイルスによる食中毒を防ぐための4原則、最後の「ひろげない」のポイントを教えてください。
(中原)
まず、加熱調理用の二枚貝などを調理する際に使った、包丁やまな板などの調理器具、食器やふきん、タオルなどは「洗剤などで十分に洗った後に、85℃以上の熱湯で1分以上加熱するか、塩素系の消毒液に浸して消毒」してください。
(杉浦)
まな板や包丁などの調理器具は、魚介類用、野菜用など、分けて使うのもお勧めですよね。
(中原)
はい。また、ノロウイルスが身近で発生した時は、特に調理する人が感染しないように、「感染者が使った物や、おう吐物がついた物は、他の物と分けて洗浄や消毒」を行ってください。
(村上)
タオルやふきんは、簡単に汚れを洗い流したら、他の洗濯物と一緒に洗濯機に入れちゃいそうですけど、それはダメっていうことですよね。
(中原)
はい。ポイントは「分けて洗う」です。汚染されたタオルやふきんは、分けたうえで、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いし、十分にすすいでください。そして、85℃以上の熱いお湯で1分以上洗濯したり、塩素系の消毒液による消毒を行ったり、高温の乾燥機にかけるなどを行うと、より殺菌効果が高まります。
(杉浦)
「おう吐物を処理する時」にも、注意が必要なんですよね。
(中原)
はい。処理する時にウイルスを広げてしまう可能性もありますから、そうならないように、使い捨てのマスクやガウン、手袋などを着用し、おう吐物が乾燥する前にペーパータオルなどで除去してください。
(杉浦)
乾燥すると空気中にウイルスが舞い上がってしまいますからね。
(中原)
はい。おう吐物を除去したら、その後は、おう吐物の付着していた場所を浸すように塩素系の消毒液で拭き取り、ビニール袋に入れてください。そして、着用していたマスクやガウンなどもビニール袋に入れ、密閉して廃棄してください。その後、屋内への拡散防止のため換気を行い、せっけんで手を丁寧に洗ってください。
(村上)
ノロウイルスへの対応って、調理する時も、発生してしまった後も、とても大変で厄介だということが分かりました。
(中原)
はい。しかし、感染のリスクを減らすためには、予防対策を徹底するしかありません。ノロウイルスによる食中毒は冬に多発しています。ですから、どうか普段から、「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」この4原則を守るように心掛けてください。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは、「ノロウイルス 冬こそ要注意」です。
(杉浦)
僕は、「ノロウイルスによる食中毒を防ぐための4原則「持ち込まない」「つけない」「やっつける」「ひろげない」」です。
「 関連リンク 」
・厚生労働省「食中毒の原因(細菌以外)」
・厚生労働省「食中毒」
・厚生労働省「感染性胃腸炎(特にノロウイルス)」