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便利でも気をつけて! リチウムイオン電池との付き合い方

便利でも気をつけて! リチウムイオン電池との付き合い方

あなたのお家にもきっとある、リチウムイオン電池。
便利だからこそ、製品を購入する際の選ぶポイントや日頃の使い方、そして捨て方まで注意が必要です。

今回は、「便利でも気をつけて! リチウムイオン電池との付き合い方」というテーマで学びました。
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(杉浦)
リチウムイオン電池は、スマートフォンやモバイルバッテリー、電動アシスト自転車など、多くの電化製品に使われている電池ですけども。「小型でも十分な電力を確保することができて、使用した後に充電して繰り返し使うことができます」と。佳菜子ちゃんの身の回りにもリチウムイオン電池を使った製品、ある?

(村上)
あります、あります! 美顔器もそうですよね? 充電式だから。あと、最近だと湯たんぽ。充電するとあったかくなるのがあって、それを去年から使ってるんですけど、めちゃくちゃいいです。

(杉浦)
あとはね、モバイルバッテリー、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン、電動歯ブラシ、コードレス扇風機、ゲーム機、ハンディファン、冬に出番が増える充電式カイロってのもありますね。もう、目に入る物、大体リチウムイオン電池が入ってるんじゃない?

(村上)
もう、ほぼ全て?! こうして挙げていくと、ほとんどの製品、使ってるなと思います。リチウムイオン電池を使っている製品は身の回りに、かなり普及してますよね。

(杉浦)
そうだね。登場したのは1990年代で、比較的新しい電池なので、今後、ますますいろんな製品に使われるようになるんじゃないかな。日本の科学者が発明した物が、世界中の人々の暮らしを豊かにしてくれているって誇らしいよね! ただ、リチウムイオン電池は「使用中も使用後も取扱いには注意が必要な物」で、「誤った扱い方をすると発熱や発火事故が起こる場合もある」ということです…。

(村上)
確かに、最近、移動中の電車とか飛行機内で「急にモバイルバッテリーが火を吹いた」というニュースも聞いたことがありますけど、あの事故の要因もリチウムイオン電池かもしれないっていうことですよね。

(杉浦)
そうそう。特に事故が多く発生しているのが「ごみ処理施設」や「ごみ収集車」なんだって。ここからは、今日の講師に教えていただきましょう。環境省廃棄物適正処理推進課の國分 綾希子さんです。

(村上)
國分さん、リチウムイオン電池による事故がごみ処理施設やごみ収集車で多いということですが、実際、どれくらい起こってるんですか?

(國分)
リチウムイオン電池が起因する火災事故は年々増えていて、2023年度の場合、「煙が出た」「火花が散った」というものから、職員や消防隊により消火活動が必要になったものまで、全ての事故件数を合わせると、およそ2万1,800件。この数字を単純計算すると、毎日60件は発生していることになります。

(村上)
毎日60件?! そんなに起こってるんだ。

(國分)
過去には、大規模な火災が発生して、ごみ処理施設が1年半ほど利用できなくなり、修理に高額な費用が生じたこともあります。また、事故発生直後はごみの収集ができなくなり、他の市町村の施設での処理をお願いできるようになるまで、住民の暮らしに大きな負担がかかったケースもあります。

(杉浦)
手元に発火事故の動画があるんですけども、ちょっと見てみましょう。

(村上)
すごい! すごい勢いで燃えてますね。

(杉浦)
建物の中が、もう、真っ赤っかです。

(村上)
ごみだから燃えやすい物もあったりするから、余計に燃えちゃうんじゃないかな…。しかも、ごみの収集がストップしちゃうのって、絶対困りますよね。なぜ、このような事故が多発しちゃうんですか?

(國分)
それは、リチウムイオン電池を使用した製品が、自治体が定めている適切な分別区分で捨てられず、ごみ収集車やごみ処理施設の機械などで衝撃が加わった際に発火するからです。2023年度の場合、特に、モバイルバッテリー、加熱式たばこ、コードレス掃除機による事故が多く発生し、それに続いて、スマートフォン、電気かみそり、電動工具、ハンディファンなどの事故が目立っています。

(村上)
こうやって聞くと、改めて、(リチウムイオン電池が)これも入ってるのか…、確かにこれもだ、と思いますけど。そもそも、なぜリチウムイオン電池は発火することがあるんですか?

(國分)
リチウムイオン電池の内部には「プラス極」と「マイナス極」を区切る仕切りがあります。この仕切りがあることで電気の流れをコントロールしています。ところが、落としたり、機械で押し潰されたりすると、この仕切りが破損し、プラスとマイナスが直接触れて電気が一気に流れ、内部が急激に高温となり、発火してしまうことがあるんです。

(村上)
だから、ごみ処理施設やごみ収集車の機械で押し潰されたり、砕かれたりすると発火してしまうってことですね。

(杉浦)
そういうことだね。あとは、充電のしすぎとか、温度の高い場所に置くのもダメなんですよね。

(國分)
はい。充電器の不具合や間違った使い方で、リチウムイオン電池に必要以上の電気を流してしまったり、炎天下の車の中や暖房器具の近くに置いてしまったりすると、内部にガスがたまって、膨張し破裂したり、急に高温になって発火したりすることがあるんです。

(村上)
リチウムイオン電池は「外部からの衝撃や圧力、そして高温に弱い」、そういう特性があるということですね。

(杉浦)
そういうことです。そこで、ここからは、リチウムイオン電池の処分方法や、使用中の注意ポイントなど、学んでいきましょう。

(村上)
國分さん、リチウムイオン電池はどのように捨てればいいんでしょうか?

(國分)
リチウムイオン電池に限らず、家庭からのごみは、お住まいの地域により捨て方のルールが異なります。リチウムイオン電池の場合、自治体が「危険ごみ」「有害ごみ」「電池」「資源」などの区分で収集することや、市役所や区役所のロビー、公民館や図書館などの公共施設に設置してある回収ボックスで回収し、適正に処理しているケースが多いです。このほか、家電量販店やスーパーなどの店頭にも回収ボックスがあるのですが、この中には、一般社団法人JBRCというリチウムイオン電池を始めとする小型充電式電池のメーカーや使用機器メーカーで構成される団体が、リチウムイオン電池などのリサイクルを目的として設置しているものもあります。

(村上)
回収方法って、実際に回収している自治体や団体によってまちまちなんですね。

(國分)
はい。そのため、リチウムイオン電池を処分する際には、まず、分別方法なども含め、各自治体の指示に従って捨てるようにしてください。「お住まいの市区町村名 リチウムイオン電池 捨て方」などで検索すると処分方法が分かります。環境省では、リチウムイオン電池などが原因の火災が増えていることから、昨年度にごみの分け方の基準を見直し、リチウムイオン電池を燃やすごみやプラスチックごみのように“分けて出すごみ”の一つとして位置づけ、各地域の実情に合わせて、皆さんにとって分かりやすい分別体制を設けるように、取組を進めています。

(杉浦)
少し前までリチウムイオン電池製品の回収を行っていなかった自治体でも、最近になって回収を開始しているところもあるそうなので、この機会に改めて、お住まいの地域のリチウムイオン電池の回収方法を調べてみてほしいですね。

(村上)
処分する時、他に気を付けた方がいいことってありますか?

(國分)
廃棄する時は、発火のリスクを軽減するために、なるべく電池を使い切ってから捨てるようにしてください。

(村上)
少しでも発火のリスクを減らすには、そうした配慮が必要なんですね。

(杉浦)
リチウムイオン電池による発火のリスクを減らすには、捨てる時だけではなく、使用中も気を付けないとだよね。

(村上)
そうですよね。実際、そういう事故も多発してますもんね。

(杉浦)
そうだね。使用する際の注意ポイントは、基本的に「強い衝撃や圧力を加えない」「高温になる場所では使用・保管しない」「充電は安全な場所で、目の届くところ、起きている時に行う」こういうことになるんだけど、「製品情報、リコール情報の確認」も行ってほしいんですよね、國分さん。

(國分)
はい。製品の欠陥による発熱・発火なども発生しています。製品を購入する時は、製造・輸入事業者や販売事業者、型式、仕様、事業者の連絡先などが確かな製品を購入するようにお願いします。モバイルバッテリーの場合「PSEマーク」が表示されているかどうかも判断材料の一つになります。

(杉浦)
モバイルバッテリーに表示されている「PSEマーク」というのは、丸の中にアルファベットでPSEと記されているマークで、このマークは、国の電気用品の安全基準を満たしていることを示すものです。

(國分)
ただし、モバイルバッテリーの性能によっては、PSEマークを付ける必要のないものもあります。あくまでも一つの判断材料として覚えておいてください。また、購入後は「取扱説明書に沿って使用すること」「充電器は純正品または推奨されているものを使用」するように心掛けることも大切です。

(杉浦)
それから、定期的にリコール情報を確認することも大事ですよね。

(國分)
はい。購入前や購入後も、定期的に製品の欠陥による事故や回収などが発生していないか、「消費者庁リコール情報サイト」や「製品評価技術基盤機構NITE(ナイト)」のリコール情報検索サイト、または、事業者のウェブサイトなどで確認してください。

(村上)
欠陥に気付かずに使い続けてしまうことがないように、「定期的に確認」ですね。ただ、國分さん、どんなに注意していても思わぬことが起こることってありますよね?

(國分)
そうですね。リチウムイオン電池使用製品が「熱い」「膨らんでいる」「液漏れがある」「変な匂いや音がする」などの異常が見られた場合は、使い続けることで発火するおそれがあります。他にも、「充電が遅くなった・できなくなった」「充電する時、以前より熱くなる」「突然電源が切れる」といった変化にも注意が必要です。いつもと違うことに気付いたら、直ちに使用や充電を中止して、事業者の修理窓口などに相談してください。

(杉浦)
急激に熱くなっている時の応急処置としては、空き缶など燃えにくい物の中に入れておくと、発火など最悪の事態が起こった時、被害を最小限にすることができるので覚えておくといいかもしれませんね。

(村上)
でも、もし突然、発火してしまった場合は、どうすればいいんですか?

(國分)
まずは、製品から離れて身の安全を確保してください。火の勢いが収まった後は、可能であれば消化器を使ったり、大量の水をかけたり、水をためたバケツに入れて被害の拡大を防いでください。少量の水をかける程度ではかえって火の勢いが増すおそれがあり、危険なので注意してください。大きな火災になり対処が困難な場合は、直ちに119番に通報してください。

(村上)
リチウムイオン電池製品を利用する場合、こうしたことも知っておかないとですね。

(國分)
9月から12月は「リチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン」期間です。環境省のリチウムイオン電池等に関する特設サイトでは、リチウムイオン電池に関する情報を啓発動画なども含めて公開しています。今後も、関係省庁や市区町村、事業者などと連携して、リチウムイオン電池の正しい廃棄方法についての情報発信など行ってまいります。是非この機会に、リチウムイオン電池との付き合い方を知ってください。

(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは、「なくそう!! リチウムイオン電池の火災」です。

(杉浦)
大事ですね。僕は、「リチウムイオン電池の使い方・捨て方を理解しよう」です。


「 関連リンク 」
環境省「リチウムイオン電池関係」
環境省「リチウムイオン電池等に関する特設サイト」
環境省公式YouTube「なくそう!リチウムイオン電池による火災~わたしたちができること~」
消費者庁「リチウムイオン電池使用製品による発火事故に注意しましょう -身に着ける、持ち歩く製品にも使用されています-」
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