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2025.12.14
出発前に登録を! 海外での安心を届ける“たびレジ”
もしも、海外にいる時に、自然災害やデモ、テロ、交通まひなどに遭遇したら、あなたはどうしますか?
海外を安全に楽しむためにも、是非活用してほしいサービスがあります。
今回は、「出発前に登録を! 海外での安心を届ける“たびレジ”」というテーマで学びました。
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海外を安全に楽しむためにも、是非活用してほしいサービスがあります。
今回は、「出発前に登録を! 海外での安心を届ける“たびレジ”」というテーマで学びました。
(杉浦)
佳菜子ちゃんは現役時代から、海外へ行く機会、めちゃくちゃ多いんじゃない? 今はプライベートでも行ってるし。
(村上)
現役時代は、シーズンで10回とか、行ってたんじゃないかなー。振付も含めると。
(杉浦)
そうか。レベル違いだね。
(村上)
そうですね。ヨーロッパとかも多いし、いろんな所に行きましたよ。
(杉浦)
佳菜子ちゃんはそれだけ行ってて、海外で怖かった思い出とかはないの? 危険を感じたとか。
(村上)
結構ありますね。パリに試合に行った時に、私の知り合いが、お土産でブランド品を買ってホテルの部屋に置いといたら、お掃除の人とホテルの人がタッグを組んでて、帰ってきたら全部なかったりとか。あと、ご飯を食べる時に、一人が(ご飯を)取りに行ってて、待っている一人が話しかけられたから、横を向いて喋ってたら、その席に置いてたバッグを誰かが持って行っちゃったり。その中に、パスポートとかも入ってたので。
(杉浦)
それはグループでやってることかな?
(村上)
そうです! 大体グループですね。やっぱり、いろいろありますよ。
(杉浦)
そうか…。日本は治安がいい国だから、日本人は海外でも危険を意識せずに行動して、思わぬ事件や事故に巻き込まれることが多いらしいですけども。
(村上)
そういう話は時々聞きますよね。自分も経験したことがありますけど。
(杉浦)
事件や事故に限らずだけど、2023年の1年間で、日本の大使館や総領事館などが海外で日本人を支援した延べ人数は1万人ほどでして、外務省がまとめている統計によると、日本人が巻き込まれたトラブルの中で最も多いのは「窃盗、強盗、詐欺などの個人の財産を狙った犯罪被害」で、被害件数のおよそ9割を占めてるんだって。
(村上)
やっぱりねー。怖いですよね。日本では考えつかないことが頻繁に起きてるなっていうのは、行ってみると感じます。
(杉浦)
「道端で話しかけられた隙に、他の人が財布を抜き取る」とか、「エスカレーターの降り口で、前に立っている人がつまずいたので、自分も立ち止まると、すぐ後ろに立っていた人とぶつかって。後で気付いたらお財布がない」とか。怖いね。あとは、「空港やホテルのロビーで荷物を置いて手続きしている間にバッグやスーツケースを置き引きされたり」とか。
(村上)
そうそうそう! これはよくありますね。常に触っておかないとダメですね。だって、スーツケースやバッグごと盗られちゃったら、もう、パスポートや現金、スマホもなくなっちゃうじゃないですか。身動きが取れないですよね。どうしようもない。そうなったら大使館とか総領事館に頼るしかないですもんね。
(杉浦)
それもそうだけど、海外での危険ってそれだけじゃないんだよね。ここからは、今日の講師に伺っていきましょう。外務省の海外邦人安全支援室長 錦織 有史さんです。
(村上)
錦織さん、日本人が海外で巻き込まれる危険には、窃盗以外にどんなことがありますか?
(錦織)
そうですね、強盗や詐欺、薬物犯罪などの一般の旅行者を狙った犯罪とか、世界各地で発生する自然災害やテロ事件、政情が不安な地域での騒乱や紛争、こうしたものに日本人が巻き込まれることがあります。例えば、2016年にはバングラデシュ・ダッカ市内のレストランで武装グループによる襲撃があって、日本人7名が犠牲になっています。昨年もパキスタンのカラチで日本人1名が負傷する襲撃事件が発生しています。
(村上)
そうなんですね。
(錦織)
さらに、イベント会場や観光施設、公共交通機関など、観光客を含め、不特定多数の人が集まる場所でもテロは発生しているんです。
(村上)
確かに。以前、アーティストのライブ会場だったりマラソン大会でテロが発生したと思うんですけど、実は、私も経験したことがありまして。フランスのボルドーでの(フィギュアスケートの)大会だったんですけど、その時に、パリのサッカー場でテロが起きて、犯人が逃げていて危ないっていうことで、前代未聞だったんですけど、(ショートとフリーの2回行う演技が)フリーまでいかず、ショートで終わって。もう帰ることになって、でも、全部封鎖されていたんで、ローマかどこからか乗り継ぎして、なんとか帰って。怖かったです。
(錦織)
まさに、テロというのは「他人ごとではない」というのは、ヨーロッパを中心に多くあると思います。最近のテロのトレンドは「警備や監視が手薄で、一般市民が多く集まる場所」である、いわゆる「ソフトターゲット」を狙ってテロが発生しているわけですから、国籍や性別、年齢を問わず、誰でもテロに巻き込まれる可能性があります。また、自然災害やデモなどをきっかけとした、「急激な政情不安、大規模停電、交通事故」といったケースもあります。政情不安により、現地政府が国中でインターネットを遮断したり、空港を閉鎖したりすることもあって、観光客が旅先で遭遇するリスクは数多くあるんです。
(杉浦)
そうした背景もあって「たびレジ」に登録してほしいんですよね!
(錦織)
おっしゃるとおりです! 「たびレジ」とは、外務省からの最新の安全情報を日本語で受信できる「海外安全情報 無料配信サービス」のことです。旅行や出張、留学などで3か月未満、短期渡航するかたの現地での安全な滞在をサポートするもので、ひらがなで「たび」、カタカナで「レジ」と書いて「たびレジ」です。レジは英語の「registration」の略で、「登録」という意味です。
(杉浦)
ここでポイントなのは「3か月未満の短い渡航をするかたが対象」という点ですよね。
(錦織)
そうなんです。海外赴任や留学など、海外に住居を定めて3か月以上滞在する日本人は、そもそも旅券法により在留届の提出が義務付けられています。そのため在留届を提出することで、大使館や総領事館から配信される現地での安全な生活に必要な最新情報をメールで受信できるんです。
(村上)
そうなんですね。
(錦織)
しかし、3か月未満の渡航者であっても、紛争やテロ、犯罪に巻き込まれる危険性はあります。むしろ近年は、旅行や出張などで短期間だけ海外に滞在する日本人が急増しています。そのため、短期渡航のかたには、「たびレジ」に登録することをお願いしているんです。
(杉浦)
「たびレジ」は2014年から運用が始まったんですが、認知度はまだまだ。ですから、多くのかたが海外旅行するこの機会に、是非知ってもらいたいんですよね。
(錦織)
そうなんです。滞在国や地域で大規模な事件・事故、テロ、自然災害などが発生した場合、被害の状況によっては、外務省が安否確認などのために登録された連絡先に連絡し、必要であれば迅速に支援を行います。逆に言うと、登録された連絡先がないと、緊急退避が必要な時に、政府チャーター機などの退避方法の連絡が届かないことになります。つまり、「たびレジ」への登録は「海外での命綱」なんです。
(村上)
「登録しておけば迅速な支援につながる」ということで、では、登録はどのようにすればいいんでしょうか?
(錦織)
海外へ出発前に「たびレジ」のホームページや、LINEの「外務省領事局」を友だち登録して、行き先やメールアドレスなどの必要な情報を登録してください。登録を完了すると、出発前から渡航先の安全情報を入手できるだけでなく、旅行中も最新の情報を日本語のメールやLINEで受信できます。
(村上)
へー、LINEでも受信できるんですね。
(錦織)
はい。ただし、LINEの場合は一部の国や現地の通信事情などにより、メッセージを受信できない可能性もあります。その場合はメールでの受信をご利用ください。
(村上)
錦織さん「たびレジ」に登録すると、どんな安全情報が入手できるんですか?
(錦織)
例えば、渡航先の重大事件や事故、自然災害、感染症などの発生情報です。「A市のB駅付近で爆発事件が発生。近づかないでください」「C国D島付近を震源とする地震があり、現地政府から津波警報が発表されています。沿岸部におられるかたは高台に避難してください」「E国F州で感染症が発生しています。予防対策をしてください」などです。
(杉浦)
実は、外務省のかたが今年3月、プライベートでタイのバンコクに旅行した時、ミャンマー中部を震源とする地震に遭遇しまして、想像以上に「たびレジ」に助けられたそうですね。
(錦織)
実はそうなんです。地震発生時、ショッピングモールの地下にいて、その場は電気が止まっている様子も大きな被害が発生した印象もなかったんですけれども、一斉にネットがつながらなくなり情報を入手できず、通りには人が殺到していたそうです。その後、ネットがつながって、地震発生から1時間後に、在タイ日本国大使館から地震の詳細や注意喚起が「たびレジ」で流れてきて、これが、その画面です。
(村上)
今、画面を見させていただいていますが、どこで、どのくらいの規模の地震があったのかとか、基本的な情報が詳しく記されてますよね。しかも日本語で! これは、すごく大きいですよ!! 地震発生直後は、こういう情報が知りたいから、これは、かなり助かったんじゃないでしょうか。
(錦織)
そうですね。現地の日本大使館からタイムリーに日本語の情報が手元に届いて、とても安心感があったそうです。その後、地震の影響で交通がまひしているため、歩いてホテルへ向かっていると、大使館から2回目のメッセージが入り、そこには飛行機や電車の運行状況が記されているだけでなく、建物に閉じ込められた場合やけがをした場合の緊急連絡先の電話番号も記されていたそうです。
(村上)
地震が発生したばかりの頃は情報が錯綜する場合もありますし、仮に現地のニュースなどを見られても言葉が分からない場合もありますから、日本語で確かな情報を得られるのは本当に安心でしょうね。
(杉浦)
「たびレジ」では、こうした重大な情報の他にも、役立つ情報が送られてくるんですよね。
(錦織)
はい。注意が必要なイベントやトラブルについても事前の注意喚起がなされます。例えば、抗議デモの計画や、マラソン大会の開催に伴う特定の日時や場所の混雑情報、交通規制などについても事前にお知らせします。先日も、このような情報発信がありました。「10月26日から28日までの間、クアラルンプール中心部においてASEAN首脳会議が開催されます。それに伴い、同会議開催前および開催期間中、市内中心部やクアラルンプール国際空港・スバン空港から市内へのルートにおいて大規模な交通規制が実施されます。外出時は公共交通機関の利用をお勧めします」といった情報発信に対して、「日本語で交通規制の詳細が把握でき、大変助かった」というお声もいただいています。
(村上)
それはそうですね! すごく親切ですよね。
(錦織)
他にも「ハリケーンの予報」「空港のストライキ」「○○通りでひったくり事件が連日発生」など、登録されている地域の安全に関する様々な情報が配信されます。
(杉浦)
助かりますね。錦織さん「たびレジ」に登録しておくと、もう一つ大きな安心があるんですよね。
(錦織)
はい。「たびレジ」は旅行者本人だけでなく、家族や職場の人のメールアドレスも追加登録できるので、日本にいる人にも、海外の安全情報を共有することができます。例えば、お子さんが留学している保護者や、社員を海外出張に送り出している職場のかたも安全情報を共有することができるんです。
(村上)
それは、ご家族や職場のかたにとっても安心ですし便利ですね。ところで、登録には「行き先やメールアドレスなどの必要な情報を登録」ということですが、具体的にはどんな情報が必要ですか?
(錦織)
必須項目は「メールアドレス、滞在国、滞在都市、滞在期間、氏名、生年月日、携帯電話番号」です。登録は5分ほどで完了します。空港や港に向かう道すがら、飛行機の搭乗を待つ間など、旅行前の一息つくタイミングで、是非「たびレジ」を思い出して、登録していただければと思います。また、海外旅行関連業者など企業の皆様向けに、海外渡航者のデータを一括で登録することができるシステムも提供しています。
(杉浦)
「簡易登録」というサービスもあるんですよね。
(錦織)
はい。「簡易登録」を利用すれば、旅の予定がないかたや日程が決まっていないかたでも、気になる国の最新情報を受け取ることができます。もちろん、全世界を指定することも可能です。私自身も、海外邦人安全支援室長として、そして、自分自身の国際情勢を知る手段の一つとして簡易登録をして、大いに活用しています。
(村上)
旅の計画を練るのにも役立ちそうですね。
(錦織)
はい。「たびレジ」へ登録すると、渡航先の最新の安全情報を日本語のメールやLINEで受信でき、緊急時には「たびレジ」に登録された電話番号やメールアドレスを基に、外務省が安否を確認し、必要な場合には迅速に支援します。短期間の渡航であっても、海外は日本と異なります。「自分の身は自分で守る」という心構えを持って、滞在中は自ら現地の最新の治安情報を入手し、安全対策に努めていただければと思います。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは「海外に行くときは「たびレジ」に登録しましょう」です。
(杉浦)
これは絶対しましょう! 僕は、「海外でも情報収集をお願いします!」。大事です。
「 関連リンク 」
・外務省「たびレジ」
・外務省「海外安全ホームページ」
・外務省「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」
佳菜子ちゃんは現役時代から、海外へ行く機会、めちゃくちゃ多いんじゃない? 今はプライベートでも行ってるし。
(村上)
現役時代は、シーズンで10回とか、行ってたんじゃないかなー。振付も含めると。
(杉浦)
そうか。レベル違いだね。
(村上)
そうですね。ヨーロッパとかも多いし、いろんな所に行きましたよ。
(杉浦)
佳菜子ちゃんはそれだけ行ってて、海外で怖かった思い出とかはないの? 危険を感じたとか。
(村上)
結構ありますね。パリに試合に行った時に、私の知り合いが、お土産でブランド品を買ってホテルの部屋に置いといたら、お掃除の人とホテルの人がタッグを組んでて、帰ってきたら全部なかったりとか。あと、ご飯を食べる時に、一人が(ご飯を)取りに行ってて、待っている一人が話しかけられたから、横を向いて喋ってたら、その席に置いてたバッグを誰かが持って行っちゃったり。その中に、パスポートとかも入ってたので。
(杉浦)
それはグループでやってることかな?
(村上)
そうです! 大体グループですね。やっぱり、いろいろありますよ。
(杉浦)
そうか…。日本は治安がいい国だから、日本人は海外でも危険を意識せずに行動して、思わぬ事件や事故に巻き込まれることが多いらしいですけども。
(村上)
そういう話は時々聞きますよね。自分も経験したことがありますけど。
(杉浦)
事件や事故に限らずだけど、2023年の1年間で、日本の大使館や総領事館などが海外で日本人を支援した延べ人数は1万人ほどでして、外務省がまとめている統計によると、日本人が巻き込まれたトラブルの中で最も多いのは「窃盗、強盗、詐欺などの個人の財産を狙った犯罪被害」で、被害件数のおよそ9割を占めてるんだって。
(村上)
やっぱりねー。怖いですよね。日本では考えつかないことが頻繁に起きてるなっていうのは、行ってみると感じます。
(杉浦)
「道端で話しかけられた隙に、他の人が財布を抜き取る」とか、「エスカレーターの降り口で、前に立っている人がつまずいたので、自分も立ち止まると、すぐ後ろに立っていた人とぶつかって。後で気付いたらお財布がない」とか。怖いね。あとは、「空港やホテルのロビーで荷物を置いて手続きしている間にバッグやスーツケースを置き引きされたり」とか。
(村上)
そうそうそう! これはよくありますね。常に触っておかないとダメですね。だって、スーツケースやバッグごと盗られちゃったら、もう、パスポートや現金、スマホもなくなっちゃうじゃないですか。身動きが取れないですよね。どうしようもない。そうなったら大使館とか総領事館に頼るしかないですもんね。
(杉浦)
それもそうだけど、海外での危険ってそれだけじゃないんだよね。ここからは、今日の講師に伺っていきましょう。外務省の海外邦人安全支援室長 錦織 有史さんです。
(村上)
錦織さん、日本人が海外で巻き込まれる危険には、窃盗以外にどんなことがありますか?
(錦織)
そうですね、強盗や詐欺、薬物犯罪などの一般の旅行者を狙った犯罪とか、世界各地で発生する自然災害やテロ事件、政情が不安な地域での騒乱や紛争、こうしたものに日本人が巻き込まれることがあります。例えば、2016年にはバングラデシュ・ダッカ市内のレストランで武装グループによる襲撃があって、日本人7名が犠牲になっています。昨年もパキスタンのカラチで日本人1名が負傷する襲撃事件が発生しています。
(村上)
そうなんですね。
(錦織)
さらに、イベント会場や観光施設、公共交通機関など、観光客を含め、不特定多数の人が集まる場所でもテロは発生しているんです。
(村上)
確かに。以前、アーティストのライブ会場だったりマラソン大会でテロが発生したと思うんですけど、実は、私も経験したことがありまして。フランスのボルドーでの(フィギュアスケートの)大会だったんですけど、その時に、パリのサッカー場でテロが起きて、犯人が逃げていて危ないっていうことで、前代未聞だったんですけど、(ショートとフリーの2回行う演技が)フリーまでいかず、ショートで終わって。もう帰ることになって、でも、全部封鎖されていたんで、ローマかどこからか乗り継ぎして、なんとか帰って。怖かったです。
(錦織)
まさに、テロというのは「他人ごとではない」というのは、ヨーロッパを中心に多くあると思います。最近のテロのトレンドは「警備や監視が手薄で、一般市民が多く集まる場所」である、いわゆる「ソフトターゲット」を狙ってテロが発生しているわけですから、国籍や性別、年齢を問わず、誰でもテロに巻き込まれる可能性があります。また、自然災害やデモなどをきっかけとした、「急激な政情不安、大規模停電、交通事故」といったケースもあります。政情不安により、現地政府が国中でインターネットを遮断したり、空港を閉鎖したりすることもあって、観光客が旅先で遭遇するリスクは数多くあるんです。
(杉浦)
そうした背景もあって「たびレジ」に登録してほしいんですよね!
(錦織)
おっしゃるとおりです! 「たびレジ」とは、外務省からの最新の安全情報を日本語で受信できる「海外安全情報 無料配信サービス」のことです。旅行や出張、留学などで3か月未満、短期渡航するかたの現地での安全な滞在をサポートするもので、ひらがなで「たび」、カタカナで「レジ」と書いて「たびレジ」です。レジは英語の「registration」の略で、「登録」という意味です。
(杉浦)
ここでポイントなのは「3か月未満の短い渡航をするかたが対象」という点ですよね。
(錦織)
そうなんです。海外赴任や留学など、海外に住居を定めて3か月以上滞在する日本人は、そもそも旅券法により在留届の提出が義務付けられています。そのため在留届を提出することで、大使館や総領事館から配信される現地での安全な生活に必要な最新情報をメールで受信できるんです。
(村上)
そうなんですね。
(錦織)
しかし、3か月未満の渡航者であっても、紛争やテロ、犯罪に巻き込まれる危険性はあります。むしろ近年は、旅行や出張などで短期間だけ海外に滞在する日本人が急増しています。そのため、短期渡航のかたには、「たびレジ」に登録することをお願いしているんです。
(杉浦)
「たびレジ」は2014年から運用が始まったんですが、認知度はまだまだ。ですから、多くのかたが海外旅行するこの機会に、是非知ってもらいたいんですよね。
(錦織)
そうなんです。滞在国や地域で大規模な事件・事故、テロ、自然災害などが発生した場合、被害の状況によっては、外務省が安否確認などのために登録された連絡先に連絡し、必要であれば迅速に支援を行います。逆に言うと、登録された連絡先がないと、緊急退避が必要な時に、政府チャーター機などの退避方法の連絡が届かないことになります。つまり、「たびレジ」への登録は「海外での命綱」なんです。
(村上)
「登録しておけば迅速な支援につながる」ということで、では、登録はどのようにすればいいんでしょうか?
(錦織)
海外へ出発前に「たびレジ」のホームページや、LINEの「外務省領事局」を友だち登録して、行き先やメールアドレスなどの必要な情報を登録してください。登録を完了すると、出発前から渡航先の安全情報を入手できるだけでなく、旅行中も最新の情報を日本語のメールやLINEで受信できます。
(村上)
へー、LINEでも受信できるんですね。
(錦織)
はい。ただし、LINEの場合は一部の国や現地の通信事情などにより、メッセージを受信できない可能性もあります。その場合はメールでの受信をご利用ください。
(村上)
錦織さん「たびレジ」に登録すると、どんな安全情報が入手できるんですか?
(錦織)
例えば、渡航先の重大事件や事故、自然災害、感染症などの発生情報です。「A市のB駅付近で爆発事件が発生。近づかないでください」「C国D島付近を震源とする地震があり、現地政府から津波警報が発表されています。沿岸部におられるかたは高台に避難してください」「E国F州で感染症が発生しています。予防対策をしてください」などです。
(杉浦)
実は、外務省のかたが今年3月、プライベートでタイのバンコクに旅行した時、ミャンマー中部を震源とする地震に遭遇しまして、想像以上に「たびレジ」に助けられたそうですね。
(錦織)
実はそうなんです。地震発生時、ショッピングモールの地下にいて、その場は電気が止まっている様子も大きな被害が発生した印象もなかったんですけれども、一斉にネットがつながらなくなり情報を入手できず、通りには人が殺到していたそうです。その後、ネットがつながって、地震発生から1時間後に、在タイ日本国大使館から地震の詳細や注意喚起が「たびレジ」で流れてきて、これが、その画面です。
(村上)
今、画面を見させていただいていますが、どこで、どのくらいの規模の地震があったのかとか、基本的な情報が詳しく記されてますよね。しかも日本語で! これは、すごく大きいですよ!! 地震発生直後は、こういう情報が知りたいから、これは、かなり助かったんじゃないでしょうか。
(錦織)
そうですね。現地の日本大使館からタイムリーに日本語の情報が手元に届いて、とても安心感があったそうです。その後、地震の影響で交通がまひしているため、歩いてホテルへ向かっていると、大使館から2回目のメッセージが入り、そこには飛行機や電車の運行状況が記されているだけでなく、建物に閉じ込められた場合やけがをした場合の緊急連絡先の電話番号も記されていたそうです。
(村上)
地震が発生したばかりの頃は情報が錯綜する場合もありますし、仮に現地のニュースなどを見られても言葉が分からない場合もありますから、日本語で確かな情報を得られるのは本当に安心でしょうね。
(杉浦)
「たびレジ」では、こうした重大な情報の他にも、役立つ情報が送られてくるんですよね。
(錦織)
はい。注意が必要なイベントやトラブルについても事前の注意喚起がなされます。例えば、抗議デモの計画や、マラソン大会の開催に伴う特定の日時や場所の混雑情報、交通規制などについても事前にお知らせします。先日も、このような情報発信がありました。「10月26日から28日までの間、クアラルンプール中心部においてASEAN首脳会議が開催されます。それに伴い、同会議開催前および開催期間中、市内中心部やクアラルンプール国際空港・スバン空港から市内へのルートにおいて大規模な交通規制が実施されます。外出時は公共交通機関の利用をお勧めします」といった情報発信に対して、「日本語で交通規制の詳細が把握でき、大変助かった」というお声もいただいています。
(村上)
それはそうですね! すごく親切ですよね。
(錦織)
他にも「ハリケーンの予報」「空港のストライキ」「○○通りでひったくり事件が連日発生」など、登録されている地域の安全に関する様々な情報が配信されます。
(杉浦)
助かりますね。錦織さん「たびレジ」に登録しておくと、もう一つ大きな安心があるんですよね。
(錦織)
はい。「たびレジ」は旅行者本人だけでなく、家族や職場の人のメールアドレスも追加登録できるので、日本にいる人にも、海外の安全情報を共有することができます。例えば、お子さんが留学している保護者や、社員を海外出張に送り出している職場のかたも安全情報を共有することができるんです。
(村上)
それは、ご家族や職場のかたにとっても安心ですし便利ですね。ところで、登録には「行き先やメールアドレスなどの必要な情報を登録」ということですが、具体的にはどんな情報が必要ですか?
(錦織)
必須項目は「メールアドレス、滞在国、滞在都市、滞在期間、氏名、生年月日、携帯電話番号」です。登録は5分ほどで完了します。空港や港に向かう道すがら、飛行機の搭乗を待つ間など、旅行前の一息つくタイミングで、是非「たびレジ」を思い出して、登録していただければと思います。また、海外旅行関連業者など企業の皆様向けに、海外渡航者のデータを一括で登録することができるシステムも提供しています。
(杉浦)
「簡易登録」というサービスもあるんですよね。
(錦織)
はい。「簡易登録」を利用すれば、旅の予定がないかたや日程が決まっていないかたでも、気になる国の最新情報を受け取ることができます。もちろん、全世界を指定することも可能です。私自身も、海外邦人安全支援室長として、そして、自分自身の国際情勢を知る手段の一つとして簡易登録をして、大いに活用しています。
(村上)
旅の計画を練るのにも役立ちそうですね。
(錦織)
はい。「たびレジ」へ登録すると、渡航先の最新の安全情報を日本語のメールやLINEで受信でき、緊急時には「たびレジ」に登録された電話番号やメールアドレスを基に、外務省が安否を確認し、必要な場合には迅速に支援します。短期間の渡航であっても、海外は日本と異なります。「自分の身は自分で守る」という心構えを持って、滞在中は自ら現地の最新の治安情報を入手し、安全対策に努めていただければと思います。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは「海外に行くときは「たびレジ」に登録しましょう」です。
(杉浦)
これは絶対しましょう! 僕は、「海外でも情報収集をお願いします!」。大事です。
「 関連リンク 」
・外務省「たびレジ」
・外務省「海外安全ホームページ」
・外務省「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」