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ご存じですか? 法テラスの犯罪被害者支援

ご存じですか? 法テラスの犯罪被害者支援

万が一、あなたや家族が犯罪被害に遭ってしまった時、様々な面からサポートしてくれる新たな制度が、今年(2026年)の1月13日からスタートしました。

今回は、「ご存じですか? 法テラスの犯罪被害者支援」というテーマで学びました。
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(杉浦)
「法テラス」の「ほう」は法律の「法」、テラスはカタカナです。正式には「日本司法支援センター」と言って、2006年に国が設立した公的な法人です。法テラスについては、また改めてお話するとして、その前に、佳菜子ちゃん、「国選弁護人」とか「国選弁護制度」って言葉、聞いたことある?

(村上)
なんか聞いたことがあります。どこでだろう?

(杉浦)
ドラマとか、出てくるかな?

(村上)
確かに! そうかもしれないです。

(杉浦)
日本には国選弁護制度というのがあって、刑事事件で身柄を拘束された人や、起訴された人が「経済的な理由で自分で弁護士を頼めない」という時に、国が弁護士費用を負担して、弁護士を付けてくれる仕組みがあるんだよね。この弁護士は、決められた手続きにのっとって、裁判所が選んでくれるんだって。簡潔に言うと「加害者の権利を守るためのサポート制度」だよね。

(村上)
こうやって内容を聞くと知ってました、この制度。やっぱり、ドラマとかで見聞きしてるんでしょうね。

(杉浦)
じゃあ、犯罪の被害に遭われたかたや、そのご家族、つまり「被害者側が困った時にサポートしてくれる制度」は知ってる?

(村上)
被害者側ですよね? これまで考えたことなかったですけど、加害者側にサポート制度があるってことは、被害者側は、まあ、あって当たり前なんじゃないかなと思うんですけど。

(杉浦)
そうだよね。あって当然と思うよね。でも、あるにはあるんだけど、これまでは、様々な制度を使ってやりくりして対応していて、全体を一貫してカバーできるような制度がなかったんだって。そこで、新たに設けられたのが「犯罪被害者等支援弁護士制度」、別名「犯罪被害者等法律援助」です。ということで、ここからは、今日の講師に伺っていきましょう。「法テラス」の犯罪被害者支援課 大山 幸治さんです。

(村上)
大山さん。「法テラス」って、私は初めて聞くんですけど、どんなことをしてるんですか?

(大山)
はい。法テラスでは、借金や離婚、相続などの問題や、犯罪の被害に遭われたかたなどで、法的トラブルを抱えてしまったかたに対し、お悩みの解決に向けた「道案内」を行っています。「誰に相談すればいい?」とか「どんな解決方法があるの?」といった、お困りごとを抱えた皆さんが、どこにいても、法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスの提供が容易に受けられるように「法テラス」は設立されたんです。ちなみに、「法テラス」とは、「法律によって、トラブル解決へと進む道を指し示すことで、相談される皆様のもやもやとした心に、光を照らす場」という意味を込めた造語なんです。

(村上)
なるほど! 様々な法的トラブルに対応してくれる組織っていうことですよね。大山さん、今回、新しく設けられた制度はどういったものなんでしょうか?

(大山)
被害に遭われたかたやそのご家族の中には、精神的・身体的被害などによって、自ら必要な対応を行えないかたもいらっしゃいます。また、被害に伴う経済的問題から、弁護士による援助を諦めたり、ためらったりされるかたもいらっしゃいます。この「犯罪被害者等支援弁護士制度」は、そうした事情のある被害者やそのご家族が、一定の要件はあるものの、「原則、法テラスの費用負担で弁護士による支援を受けられるようにする制度」になっています。

(村上)
被害に遭ったかたを最初から、ずっと助けてくれる制度なんですね。

(大山)
はい。この制度は、「弁護士が事件の直後から一貫して被害者やそのご家族をサポートする」というものになります。

(杉浦)
佳菜子ちゃん、犯罪の被害に遭ったかたが、被害直後からどのような状況におかれてしまうのか、ちょっと想像してみてください。例えば、傷害事件の場合。体だけでなく心も大きなダメージを負いますよね。

(村上)
そうですね。ショックで何も考えられなくなりそうですよね。

(杉浦)
ところが、そういった被害者であっても、状況により、被害直後から様々な対応を求められるんですよね、大山さん。

(大山)
おっしゃるとおりです。例えば、警察などが捜査のために話を聞きたいと言ってきたり、加害者側の弁護士がやってきて「示談にしてください」と、様々な条件を提示してくる場合があります。

(村上)
「急にそんなこと言われても…」ってなっちゃいますよねー。弁護士さんに相談したくても「どこの弁護士さんに依頼すればいいのか」それこそ、「料金はどれくらい必要なのか」とか、分からないことだらけですよね。

(大山)
そうですよね。それから、事件が原因で仕事に行けなくなったら、今後の生活も心配ですし、事案によってはマスコミへの対応も必要になります。そして、その後も裁判への対応や、国が精神的・経済的被害の緩和を図るために犯罪被害者やそのご家族に対して支払う、「犯罪被害者等給付金」の申請手続が必要になることもあります。

(村上)
被害に遭わなければ必要のなかったことが、次から次へと押し寄せてくるんですね。被害に遭って傷ついてるのに、なんだかもやもやしますね…。

(大山)
今、お話ししたのは、被害に遭ったかたが直面することのほんの一部です。実際には、もっといろいろな負担がのしかかってくることもあり、被害者やご家族だけで全て対応するのは、とても大変です。そのため、早い段階から弁護士に相談して、刑事や民事、報道対応の手続きなどを包括的・継続的にサポートしてもらえる仕組みができたんです。

(村上)
この制度を利用したら、弁護士さんにどんなサポートをしていただけるんですか?

(大山)
例えば、被害届の作成や提出、警察や検察の事情聴取が不安な場合の同行、他にも、加害者側から示談の申入れがあった場合は、その交渉窓口にもなってもらえます。また、行政機関や支援団体などの各種支援のための申請手続、刑事裁判の法廷への付き添いや、民事裁判として損害賠償請求訴訟、マスコミへの対応も行います。

(村上)
それは心強いですね。この制度で、犯罪の被害に遭われたかたやそのご家族の負担が、ほんの少しでも軽くなればいいですね。

(杉浦)
本当にそう思います。ここからは、どのような犯罪に巻き込まれたかたがこの制度を利用できるのか、学んでいきましょう。

(村上)
大山さん、犯罪の被害者やそのご家族を支援する制度は、どんな犯罪に巻き込まれた場合に利用できるんですか?

(大山)
はい。次の三つのケースの犯罪に巻き込まれてしまった被害者やそのご家族が対象になります。まず一つ目は、「殺人や傷害致死、強盗殺人、危険運転致死といった故意に人を死亡させた罪」で、未遂でも対象になります。二つ目は、「不同意性交等や不同意わいせつなどの刑法に定められる性犯罪」、こちらも未遂でも対象になります。そして三つ目は、「傷害や危険運転致傷などの故意の犯罪で大けがを負い、治療に3か月以上かかる場合や一定の後遺障害が残る場合」です。ただし、この制度の運用が始まったのが、今年(2026年)の1月13日からなので、1月13日以降に発生した犯罪行為により被害に遭われたかたが対象となります。

(杉浦)
また、制度を利用するには、一定の要件もあるんですよね?

(大山)
はい。この制度は「経済的な事情から、自ら弁護士に依頼することが難しい被害者や、そのご家族を対象」にしているため、申込者とその配偶者の現金や預貯金などの、いわゆる流動資産の合計額から、療養費などを引いて残った額が300万円以下であることが要件となっています。

(村上)
でも、犯罪に巻き込まれた直後って、要件に当てはまるのかどうか分かりませんよね? もしかしたら、対象となる犯罪行為の被害者に該当するかどうかも分からないんじゃないでしょうか。

(大山)
はい。被害直後に自分が被害に遭った犯罪の罪名やその支援策について、冷静に判断する余裕のあるかたは多くないと思います。例えば、性被害に遭われたかたは、自分が受けた被害がどのような犯罪になるか分からないまま、多くのかたが混乱され、誰にも相談できずに一人で悩まれることも少なくありません。ですから、困ったり、悩んだりした時は、まず「法テラス犯罪被害者支援ダイヤル」にお電話していただきたいんです。

(村上)
「法テラス犯罪被害者支援ダイヤル」という相談窓口があるんですね?

(大山)
はい。こちらにお電話いただくと、まず、職員がお困りごとやご要望などをお伺いします。そして、被害の回復などに役立つ情報や、法テラスの各種支援制度、相談窓口などをご案内します。今日ご紹介した「犯罪被害者等支援弁護士制度」などの利用を希望される場合には、犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士をご紹介しますので、その弁護士に直接、困っていることなどご相談ください。この制度が利用できる場合は、弁護士費用は、原則、法テラスが負担します。

(村上)
経済的な負担が軽くなるのは、本当にありがたいですね。ところで、最初に「法テラス」は、様々な法的なトラブルに対応してくれると伺ったんですが、他には、どのようなかたが利用されているんですか?

(大山)
はい。法テラスでは、借金や離婚、相続などのトラブルに遭遇して、どのように対処したらよいか分からないかたや、経済的な理由で弁護士などの専門家との相談をためらわれているかた、そもそも近くに専門家がいなくて困っているかたなどにもご利用いただいています。今日、ご案内している「犯罪被害者等支援弁護士制度」の運用は、始まったばかりですが、法テラスでは、以前から犯罪被害者支援業務を行なっておりまして、犯罪被害者支援に関する情報の提供や、DV、ストーカー、児童虐待の被害者に対し、いち早く弁護士と法律相談ができる援助などを実施しています。

(村上)
どのくらいのかたが相談されているんですか?

(大山)
2024年度、犯罪被害者支援業務関連の問合せをいただいたのは、およそ4万件で、そのうち、実際に犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士を紹介したのは約4,500件でした。この他、別の制度で弁護士とご相談いただいたケースも数多くございます。

(村上)
犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士さんを紹介していただけるというのが、何よりも心強いですよね。

(杉浦)
法テラスでは、法的トラブルのお問合せダイヤルがいくつかあるんですが、今日お話ししていた「犯罪被害者支援ダイヤル」の電話番号は、「フリーダイヤル0120-079-714」です。インターネットで「法テラス なくことないよ」で検索すると、すぐに法テラスの犯罪被害者支援ダイヤルの案内ページが見つけられます。

(村上)
今、被害に遭われているかた、どこに相談したらいいか分からないかた。一人で悩まず、まずは、法テラスに相談してほしいですね。

(杉浦)
困っている友達がいたら教えてあげたいよね。

(大山)
犯罪の被害に遭われたかたやご家族が、原則、法テラスによる費用負担で弁護士による支援を受けられる制度が新たに始まりました。他にも、一人ひとりのお困りごとに合った支援の形をお探ししています。一人で抱えず、「どうしよう」と迷ったその時にこそ、まずは、法テラスまでお電話ください。あなたの不安に寄り添い、次の一歩を一緒に考えます。

(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは、「法テラスの犯罪被害者支援」です。フリーダイヤルもあります。

(杉浦)
僕は、「犯罪被害について 無料で弁護士による支援が受けられる制度があります」というのを伝えたいです。


「 関連リンク 」
法テラス「犯罪被害者等法律援助(犯罪被害者等支援弁護士制度)」
法テラス「法テラスの犯罪被害者支援ダイヤル「なくことないよ」へお電話を」
法テラス「犯罪の被害にあわれた方へ」
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