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2026.02.15
今すぐできる! エレベーター・エスカレーターの安全対策
日頃から、様々なかたが利用する「エレベーター」や「エスカレーター」。
しかし、利用中に思わぬ事故が発生することもあります。
万が一に備え、私たち一人ひとりが正しい利用方法や、安全対策を知ることが大切です。
今回は、「今すぐできる! エレベーター・エスカレーターの安全対策」というテーマで学びました。
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しかし、利用中に思わぬ事故が発生することもあります。
万が一に備え、私たち一人ひとりが正しい利用方法や、安全対策を知ることが大切です。
今回は、「今すぐできる! エレベーター・エスカレーターの安全対策」というテーマで学びました。
(杉浦)
佳菜子ちゃんは1日に、「エレベーター」や「エスカレーター」をどれくらい利用する?
(村上)
私は、自宅がマンションなので、最低でも1日2回、あとはワンちゃんのお散歩もあるから(合計で)4回は、エレベーターを利用していますね。
(杉浦)
じゃあ結構、頻繁に利用しているね。買い物に行ったり、電車や新幹線にもエスカレーターがあるし、身近な存在だよね。
(村上)
そうですね。
(杉浦)
エレベーターやエスカレーターって、今の生活の上下移動には欠かせない、身近なものだけど。ただ残念なことに、利用中の事故が発生していて、亡くなっているかたもいるんです。特に多くのかたの記憶に残っているのは、2006年、今から20年前に東京都港区の集合住宅で発生したエレベーター事故です。佳菜子ちゃんは、この頃はまだ11歳だから直接は知らないよね。
(村上)
この事故は知らなかったです。
(杉浦)
当時、高校2年生の男子生徒が、自転車を引きながら後ろ向きでエレベーターから降りようとしたところ、突然、エレベーターが扉を開けたまま上昇し、男子生徒はうつ伏せで、上半身だけをエレベーターの「かご」の中に入れた状態で、「かご」の床と、エレベーター入り口天井の間に挟まれて、亡くなってしまったんです。
(村上)
扉が開いたままなのに、上がった…? なぜ、そんな事故が起きちゃったんですか?
(杉浦)
この悲しい事故がなぜ起きたのか、詳しくは今日の講師に伺っていきましょう。国土交通省 住宅局の田中 翔さんです。
(村上)
田中さん、20年前のエレベーター事故、なぜ、起こってしまったんでしょうか?
(田中)
はい。まず、事故が起こってしまったロープ式のエレベーターの基本的な仕組みからご説明します。ロープ式のエレベーターは、ロープの両端に人が乗る「かご」と「重り」が付いていて、それを滑車とモーターで上下させて、止まるときは、ブレーキで止める仕組みとなっています。エレベーターのドアのガラス越しに、「重り」が動くのを見たことがあるかたも、いらっしゃるかと思います。
(村上)
ブレーキを掛けて止まっているんですね。これまで、どのようにして止まっているのか、考えたことなかったです。
(田中)
そうですよね。このブレーキ部分が摩擦などによって劣化すると、しっかりと「かご」を止めておくことができずに、滑って動いてしまうんです。20年前のエレベーター事故も、ブレーキパッドがすり減り過ぎてしまったという機器の構造上の問題、また、点検が不十分であったことなどが要因となって起こってしまったんです。
(村上)
悪いことが重なってしまったということですね。
(田中)
そこで、この事故を契機として、3年後の2009年に建築物の安全性を具体的に定める建築基準法が改正されまして、エレベーターの新設や全面的なリニューアルをするときには「戸開(とかい)走行保護装置」の設置が義務付けられました。
(杉浦)
「戸」が「開く」と書いて「戸開(とかい)走行保護装置」ですね。
(田中)
はい。これは、エレベーターのドアが開いたまま動いてしまった場合に、それを感知して、緊急停止させる装置です。事故を防いで、利用者の安全を守る、とても大切な機能です。ところが、2024年度の時点で、全国におよそ78万台あるエレベーターのうち、この安全装置が設置されているのは4割に至っていない状況です。
(村上)
え、残りのおよそ6割はまだ設置されていないということですか?
(田中)
はい。およそ47万台に当たります。直近の13年間で、戸開走行事故は19件。2024年には2名の利用者が重傷を負っています。ですから、国では費用の一部を補助する制度を創設して、エレベーターが付いている建物を所有されているかたに、積極的に安全装置を設置していただくようにお願いしています。国土交通省の庁舎のエレベーターでも、この1月から、安全装置を付けるための工事を行っています。
(村上)
安全装置を付ける費用はどれくらいかかるんですか?
(田中)
エレベーターの種類や状況によって変わりますが、安全装置一つにつき、数百万円から数千万円と幅があります。
(村上)
確かに、費用を聞いて「すぐに付けます」と簡単に言える額ではないですね。
(杉浦)
そうだよね。でも、佳菜子ちゃん。エレベーターを安心して利用するためには、戸開走行保護装置の設置は後回しにできない重要なことだと思うんだよね。実は、今日は、20年前のエレベーター事故で息子さんを亡くされた、市川正子さんからコメントをいただいております。市川さんは悲しい事故が二度と起こらないように、「赤とんぼの会」を発足され、この20年、エレベーターの安全対策が一層促進されるように活動されているんです。今日は、僕がコメントを代読させていただきますね。
「エレベーター戸開走行事故で、突然奪われた16歳の命。息子は あの日、野球班の先輩たちとバットを購入したあと、いつものようにマンションのエレベーターに乗りました。12階にエレベーターが止まり、扉が開き、息子が降り始めている最中に突然エレベーターが上昇、「かご」の床面と乗り場の入り口の上の枠との間に挟まれました。まだ、「かご」の中に乗っていた女性に「助けてください」と、買ったばかりのバットを差し出したと聞いています。奪われた命は、二度と帰らぬ大切な命です。エレベーター戸開走行事故を繰り返さないためにも、一つのブレーキに不具合が起きた時、もう一つのブレーキが必要なのです。エレベーター利用者の安全は、全てのエレベーターに戸開走行保護装置の設置です。設置は、みんなの命を守ります。赤とんぼの会代表 エレベーター事故被害者遺族 市川正子」
(村上)
市川さんの切実な思いが伝わってきますね…。費用が高いからと言っている場合じゃないですね。
(杉浦)
確かに費用は掛かると思いますけど、そもそもエレベーターの耐用年数は20年から30年くらいと言われているそうですから、安全装置が設置されていない場合、後回しにはできない問題なんですね。
ここからは、エレベーター利用者に知っておいてもらいたいことについても、学んでいきます。
(村上)
田中さん、私たちが日頃エレベーターを利用するときは、どんなことに気を付けたらいいでしょうか?
(田中)
はい。実は、エレベーターの扉が開いたまま動いてしまったときに、緊急停止する「戸開走行保護装置」が設置されていることを利用者が認識できるように、エレベーターに設置済みであることを、マークで表示する任意の制度があります。こちらが、そのマークです。
(村上)
エレベーターの「かご」の中に二人の人がいて、開いた扉の下に、もう一人、描かれていて、「戸開き(とびらき)走行防止」と書いてありますね。
(杉浦)
見本のマークは、青をベースに白い絵と文字で描かれていますが、実際には建物のデザインに合わせて色は様々。多くの場合、エレベーターの入り口付近や、内部に表示されているそうです。
(村上)
そうなんですね。ベビーカーマークはよく見ていましたけど、このマークはあまり気にしていませんでした。今日からエレベーターに乗る前にチェックしてみようと思います。このマークが、安全の目印ということですね。
(田中)
そうですね。さらに、エレベーターは法律で年に1回、国が定めた検査を受けることが義務付けられていて、検査済みであることを「かご」の内部に表示していることが多いです。エレベーターの事故を少しでも減らすためには、日頃からそれを利用する私たち一人ひとりが安全対策に目を向けることが大切ですから、是非、乗る前に「戸開き走行防止マーク」、乗ったら「検査表示」、この2つを気にしてみてください。皆さんの意識が安全対策につながります。
(杉浦)
では、続いて、エスカレーターの安全対策を学んでいきましょう。現在、エスカレーターは「片側を空ける」利用方法が慣習になっているところが多いんですけど、佳菜子ちゃんは、その空いている側を歩いて利用することある?
(村上)
私、階段が苦手なので、止まっていることが多いんですが、どうしても急いでいる時や、止まってたけど「後ろからすごい圧」を感じて歩かざるを得ない時は、歩いちゃったりしていました。でも、エスカレーターを歩くのは良くないというのは、知っています。
(杉浦)
危ないからね。通勤通学の時間帯の駅では、急いでいる人がものすごいスピードで歩いているから、立ち止まるのはためらっちゃうよね。あとは、新幹線の出発時刻が迫っている人もいるかもしれないし。みんなが2列で立ち止まって利用してくれないと、歩いている人の邪魔になるから自分だけ立ち止まるのは難しいんだよね。
(田中)
確かに、そう思っているかたは多いと思います。ただ、小さいお子さんや介助が必要なかたの中には、保護者や介助者と、一緒に並んで乗ったほうが安心なかたもおられますし、他にも片側に麻痺があって、左右のどちらか一方の手すりにしかつかまれないといったかたもいらっしゃいます。こうした理由から、エスカレーターでは「2列で立ち止まる」利用方法を推奨しているんです。
(杉浦)
実は、片側を歩く人のために空けるよりも、両側に2列で立って乗るほうが、輸送効率が高くて、混雑の緩和にもつながるって聞いたことがあります。
(田中)
はい、歩く人の割合にもよりますが、輸送効率が高くなる場合もあります。過去にロンドンで行われた実験では、2列で立って乗る方が、輸送効率がおよそ30パーセントアップしたことが確認されています。
(村上)
へー、そうなんですね。たしかに、歩いている人がいないのに、片側を空けようとして、エスカレーターの手前から長い列ができていることありますもんね。確かにあの待ち時間は無駄な気がしてきました。
(杉浦)
2列で乗ればいいだけの話ですからね。それに、日本ではエスカレーターでの事故が増えているそうですね。
(田中)
はい。日本エレベーター協会によりますと、公共交通機関やスーパー、デパートなどで起きた、エスカレーター利用中の事故は、2023年と2024年の2年間で2,060件。5年前の前回調査から510件も増えています。事故が最も多いのは公共交通機関でして、事故の原因としては、まず「転倒」が一番多く、次に「挟まれ」、そして「転落」という順になっています。
(村上)
乗り降りするところで転倒したり、ロングスカートやゴム製のサンダルが巻き込まれる事故があるというのは、ニュースでも聞いたことがあります。
(杉浦)
エスカレーターで「2列で立ち止まる」利用方法を、国土交通省として推奨しているのは、歩行するかたがいると、転倒事故などにつながる可能性もあるからですよね。
(田中)
はい。特に、高齢者や小さなこども、視覚障害者、片側に麻痺があるかた、介助者を伴っている利用者などにとって、危険を伴うことがあります。エスカレーターに乗る際には、手すりを持って、2列で立ち止まって使用していただきたいと思います。
(村上)
体やカバンが当たることもありますもんね。私たちは改めて、エスカレーターはいろいろなかたが利用していることを心に留めて利用しないといけませんね。ちなみに、もしもエスカレーターで転倒したり、衣服が巻き込まれたりして危険な状態のかたを見かけたら、どうすればいいんでしょうか?
(田中)
まずは、「手すりにつかまってください」と周囲の利用者に知らせて、赤い非常停止ボタンを押してください。ボタンは多くの場合、エスカレーターの乗り口と降り口付近にありますし、声掛けは転倒による二次災害を防ぐためです。
(杉浦)
もしものときに備えて、日頃から自分がよく利用するエスカレーターとかの「非常停止ボタンの場所」を確認するの大事かもね。
(田中)
そうですね。一部の駅では、エスカレーターの緊急停止訓練も行われているようです。エレベーターやエスカレーターを安全にご利用いただくために、日頃から安全対策に気を配り、正しい利用をお願いします。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは「エスカレーターはいろいろなかたが利用します。2列で立ち止まりましょう!」です。
(杉浦)
これね! 2列ってみんな意外とやってないからね。僕は、「エレベーターの利用者は「戸開走行保護装置」のマークを確認しよう!」です。
「 関連リンク 」
・国土交通省「昇降機(エレベーター、エスカレーター等)について」
・国土交通省「エレベーターへの戸開走行保護装置の設置率は4割」
・国土交通省「「エスカレーターの転落防止対策に関するガイドライン」を公表」
・一般社団法人 日本エレベーター協会
佳菜子ちゃんは1日に、「エレベーター」や「エスカレーター」をどれくらい利用する?
(村上)
私は、自宅がマンションなので、最低でも1日2回、あとはワンちゃんのお散歩もあるから(合計で)4回は、エレベーターを利用していますね。
(杉浦)
じゃあ結構、頻繁に利用しているね。買い物に行ったり、電車や新幹線にもエスカレーターがあるし、身近な存在だよね。
(村上)
そうですね。
(杉浦)
エレベーターやエスカレーターって、今の生活の上下移動には欠かせない、身近なものだけど。ただ残念なことに、利用中の事故が発生していて、亡くなっているかたもいるんです。特に多くのかたの記憶に残っているのは、2006年、今から20年前に東京都港区の集合住宅で発生したエレベーター事故です。佳菜子ちゃんは、この頃はまだ11歳だから直接は知らないよね。
(村上)
この事故は知らなかったです。
(杉浦)
当時、高校2年生の男子生徒が、自転車を引きながら後ろ向きでエレベーターから降りようとしたところ、突然、エレベーターが扉を開けたまま上昇し、男子生徒はうつ伏せで、上半身だけをエレベーターの「かご」の中に入れた状態で、「かご」の床と、エレベーター入り口天井の間に挟まれて、亡くなってしまったんです。
(村上)
扉が開いたままなのに、上がった…? なぜ、そんな事故が起きちゃったんですか?
(杉浦)
この悲しい事故がなぜ起きたのか、詳しくは今日の講師に伺っていきましょう。国土交通省 住宅局の田中 翔さんです。
(村上)
田中さん、20年前のエレベーター事故、なぜ、起こってしまったんでしょうか?
(田中)
はい。まず、事故が起こってしまったロープ式のエレベーターの基本的な仕組みからご説明します。ロープ式のエレベーターは、ロープの両端に人が乗る「かご」と「重り」が付いていて、それを滑車とモーターで上下させて、止まるときは、ブレーキで止める仕組みとなっています。エレベーターのドアのガラス越しに、「重り」が動くのを見たことがあるかたも、いらっしゃるかと思います。
(村上)
ブレーキを掛けて止まっているんですね。これまで、どのようにして止まっているのか、考えたことなかったです。
(田中)
そうですよね。このブレーキ部分が摩擦などによって劣化すると、しっかりと「かご」を止めておくことができずに、滑って動いてしまうんです。20年前のエレベーター事故も、ブレーキパッドがすり減り過ぎてしまったという機器の構造上の問題、また、点検が不十分であったことなどが要因となって起こってしまったんです。
(村上)
悪いことが重なってしまったということですね。
(田中)
そこで、この事故を契機として、3年後の2009年に建築物の安全性を具体的に定める建築基準法が改正されまして、エレベーターの新設や全面的なリニューアルをするときには「戸開(とかい)走行保護装置」の設置が義務付けられました。
(杉浦)
「戸」が「開く」と書いて「戸開(とかい)走行保護装置」ですね。
(田中)
はい。これは、エレベーターのドアが開いたまま動いてしまった場合に、それを感知して、緊急停止させる装置です。事故を防いで、利用者の安全を守る、とても大切な機能です。ところが、2024年度の時点で、全国におよそ78万台あるエレベーターのうち、この安全装置が設置されているのは4割に至っていない状況です。
(村上)
え、残りのおよそ6割はまだ設置されていないということですか?
(田中)
はい。およそ47万台に当たります。直近の13年間で、戸開走行事故は19件。2024年には2名の利用者が重傷を負っています。ですから、国では費用の一部を補助する制度を創設して、エレベーターが付いている建物を所有されているかたに、積極的に安全装置を設置していただくようにお願いしています。国土交通省の庁舎のエレベーターでも、この1月から、安全装置を付けるための工事を行っています。
(村上)
安全装置を付ける費用はどれくらいかかるんですか?
(田中)
エレベーターの種類や状況によって変わりますが、安全装置一つにつき、数百万円から数千万円と幅があります。
(村上)
確かに、費用を聞いて「すぐに付けます」と簡単に言える額ではないですね。
(杉浦)
そうだよね。でも、佳菜子ちゃん。エレベーターを安心して利用するためには、戸開走行保護装置の設置は後回しにできない重要なことだと思うんだよね。実は、今日は、20年前のエレベーター事故で息子さんを亡くされた、市川正子さんからコメントをいただいております。市川さんは悲しい事故が二度と起こらないように、「赤とんぼの会」を発足され、この20年、エレベーターの安全対策が一層促進されるように活動されているんです。今日は、僕がコメントを代読させていただきますね。
「エレベーター戸開走行事故で、突然奪われた16歳の命。息子は あの日、野球班の先輩たちとバットを購入したあと、いつものようにマンションのエレベーターに乗りました。12階にエレベーターが止まり、扉が開き、息子が降り始めている最中に突然エレベーターが上昇、「かご」の床面と乗り場の入り口の上の枠との間に挟まれました。まだ、「かご」の中に乗っていた女性に「助けてください」と、買ったばかりのバットを差し出したと聞いています。奪われた命は、二度と帰らぬ大切な命です。エレベーター戸開走行事故を繰り返さないためにも、一つのブレーキに不具合が起きた時、もう一つのブレーキが必要なのです。エレベーター利用者の安全は、全てのエレベーターに戸開走行保護装置の設置です。設置は、みんなの命を守ります。赤とんぼの会代表 エレベーター事故被害者遺族 市川正子」
(村上)
市川さんの切実な思いが伝わってきますね…。費用が高いからと言っている場合じゃないですね。
(杉浦)
確かに費用は掛かると思いますけど、そもそもエレベーターの耐用年数は20年から30年くらいと言われているそうですから、安全装置が設置されていない場合、後回しにはできない問題なんですね。
ここからは、エレベーター利用者に知っておいてもらいたいことについても、学んでいきます。
(村上)
田中さん、私たちが日頃エレベーターを利用するときは、どんなことに気を付けたらいいでしょうか?
(田中)
はい。実は、エレベーターの扉が開いたまま動いてしまったときに、緊急停止する「戸開走行保護装置」が設置されていることを利用者が認識できるように、エレベーターに設置済みであることを、マークで表示する任意の制度があります。こちらが、そのマークです。
(村上)
エレベーターの「かご」の中に二人の人がいて、開いた扉の下に、もう一人、描かれていて、「戸開き(とびらき)走行防止」と書いてありますね。
(杉浦)
見本のマークは、青をベースに白い絵と文字で描かれていますが、実際には建物のデザインに合わせて色は様々。多くの場合、エレベーターの入り口付近や、内部に表示されているそうです。
(村上)
そうなんですね。ベビーカーマークはよく見ていましたけど、このマークはあまり気にしていませんでした。今日からエレベーターに乗る前にチェックしてみようと思います。このマークが、安全の目印ということですね。
(田中)
そうですね。さらに、エレベーターは法律で年に1回、国が定めた検査を受けることが義務付けられていて、検査済みであることを「かご」の内部に表示していることが多いです。エレベーターの事故を少しでも減らすためには、日頃からそれを利用する私たち一人ひとりが安全対策に目を向けることが大切ですから、是非、乗る前に「戸開き走行防止マーク」、乗ったら「検査表示」、この2つを気にしてみてください。皆さんの意識が安全対策につながります。
(杉浦)
では、続いて、エスカレーターの安全対策を学んでいきましょう。現在、エスカレーターは「片側を空ける」利用方法が慣習になっているところが多いんですけど、佳菜子ちゃんは、その空いている側を歩いて利用することある?
(村上)
私、階段が苦手なので、止まっていることが多いんですが、どうしても急いでいる時や、止まってたけど「後ろからすごい圧」を感じて歩かざるを得ない時は、歩いちゃったりしていました。でも、エスカレーターを歩くのは良くないというのは、知っています。
(杉浦)
危ないからね。通勤通学の時間帯の駅では、急いでいる人がものすごいスピードで歩いているから、立ち止まるのはためらっちゃうよね。あとは、新幹線の出発時刻が迫っている人もいるかもしれないし。みんなが2列で立ち止まって利用してくれないと、歩いている人の邪魔になるから自分だけ立ち止まるのは難しいんだよね。
(田中)
確かに、そう思っているかたは多いと思います。ただ、小さいお子さんや介助が必要なかたの中には、保護者や介助者と、一緒に並んで乗ったほうが安心なかたもおられますし、他にも片側に麻痺があって、左右のどちらか一方の手すりにしかつかまれないといったかたもいらっしゃいます。こうした理由から、エスカレーターでは「2列で立ち止まる」利用方法を推奨しているんです。
(杉浦)
実は、片側を歩く人のために空けるよりも、両側に2列で立って乗るほうが、輸送効率が高くて、混雑の緩和にもつながるって聞いたことがあります。
(田中)
はい、歩く人の割合にもよりますが、輸送効率が高くなる場合もあります。過去にロンドンで行われた実験では、2列で立って乗る方が、輸送効率がおよそ30パーセントアップしたことが確認されています。
(村上)
へー、そうなんですね。たしかに、歩いている人がいないのに、片側を空けようとして、エスカレーターの手前から長い列ができていることありますもんね。確かにあの待ち時間は無駄な気がしてきました。
(杉浦)
2列で乗ればいいだけの話ですからね。それに、日本ではエスカレーターでの事故が増えているそうですね。
(田中)
はい。日本エレベーター協会によりますと、公共交通機関やスーパー、デパートなどで起きた、エスカレーター利用中の事故は、2023年と2024年の2年間で2,060件。5年前の前回調査から510件も増えています。事故が最も多いのは公共交通機関でして、事故の原因としては、まず「転倒」が一番多く、次に「挟まれ」、そして「転落」という順になっています。
(村上)
乗り降りするところで転倒したり、ロングスカートやゴム製のサンダルが巻き込まれる事故があるというのは、ニュースでも聞いたことがあります。
(杉浦)
エスカレーターで「2列で立ち止まる」利用方法を、国土交通省として推奨しているのは、歩行するかたがいると、転倒事故などにつながる可能性もあるからですよね。
(田中)
はい。特に、高齢者や小さなこども、視覚障害者、片側に麻痺があるかた、介助者を伴っている利用者などにとって、危険を伴うことがあります。エスカレーターに乗る際には、手すりを持って、2列で立ち止まって使用していただきたいと思います。
(村上)
体やカバンが当たることもありますもんね。私たちは改めて、エスカレーターはいろいろなかたが利用していることを心に留めて利用しないといけませんね。ちなみに、もしもエスカレーターで転倒したり、衣服が巻き込まれたりして危険な状態のかたを見かけたら、どうすればいいんでしょうか?
(田中)
まずは、「手すりにつかまってください」と周囲の利用者に知らせて、赤い非常停止ボタンを押してください。ボタンは多くの場合、エスカレーターの乗り口と降り口付近にありますし、声掛けは転倒による二次災害を防ぐためです。
(杉浦)
もしものときに備えて、日頃から自分がよく利用するエスカレーターとかの「非常停止ボタンの場所」を確認するの大事かもね。
(田中)
そうですね。一部の駅では、エスカレーターの緊急停止訓練も行われているようです。エレベーターやエスカレーターを安全にご利用いただくために、日頃から安全対策に気を配り、正しい利用をお願いします。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは「エスカレーターはいろいろなかたが利用します。2列で立ち止まりましょう!」です。
(杉浦)
これね! 2列ってみんな意外とやってないからね。僕は、「エレベーターの利用者は「戸開走行保護装置」のマークを確認しよう!」です。
「 関連リンク 」
・国土交通省「昇降機(エレベーター、エスカレーター等)について」
・国土交通省「エレベーターへの戸開走行保護装置の設置率は4割」
・国土交通省「「エスカレーターの転落防止対策に関するガイドライン」を公表」
・一般社団法人 日本エレベーター協会