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いまこそ注目! 日本の北極政策

いまこそ注目! 日本の北極政策

日本から遠く離れた氷の世界、「北極」。
今、地球環境や資源、航路などの面で、世界中から関心が集まっています。

今回は、「いまこそ注目! 日本の北極政策」というテーマで学びました。
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(杉浦)
佳菜子ちゃん、北極って聞くと、どんなイメージ?

(村上)
北極って聞くと、最初に出てくるのはシロクマさん。あとは、やっぱり氷がいっぱいあって。でも、地球温暖化の影響で氷が溶け始めてるっていうことは、知ってたり。

(杉浦)
そうね。海面上昇とかいろいろとあるよね。ただ北極は、遠くてもとても近い存在で、その重要性から、日本だけでなく世界中が注目している場所なんだって。だから、みんなにはもっと「北極に注目してもらいたい!」ということで、ここで佳菜子ちゃんに北極クイズー! まずは簡単な問題からいきましょう。北極のシロクマはホッキョクグマ。では、南極は?

(村上)
ナンキョクグマ(笑) 答えをお願いします(笑)

(杉浦)
残念です!(笑)

(村上)
知ってました!(笑)

(杉浦)
はい(笑) 南極にシロクマは生息しておりません! そもそも、一部のクマを除いて大半のクマは、北半球に生息しております。北極は、冬に海が凍るとカナダやロシアなどと地続きになりまして、シロクマの祖先が北極に移動して住みついたと考えられております。しかし、南極は南半球。その地形は、クマの祖先が登場した頃には今とほぼ同じで、冬に他の大陸と地続きになることはなかったので、クマは生息しておりません! ちなみに、南極にはペンギンがいます。が、北極にはペンギンはいません。

(村上)
そうなんだ! すごい勉強になった。

(杉浦)
では、続いての問題! 南極大陸は、1959年に結ばれた「南極条約」により、どの国のものでもありません。では、北極は?

(村上)
えー! 北極は冬になるとつながるんですよね? ロシアとかカナダ? 冬だけ一瞬… つながった瞬間だけ、その国になる(笑)

(杉浦)
今だけカナダみたいな(笑) なるほど。さあ、答えです! 北極には、北極海を中心に8か国の領土があります! アメリカ、カナダ、デンマーク、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアです。意外かもしれないけど、アメリカではアラスカ州、デンマークではグリーンランドが、北極圏内にあるということです。多いよね。

(村上)
そうなんだ。思ってたよりも多かったです。

(杉浦)
そうだよね。これを理解するには、そもそも「北極とはどういう場所か」知ることから始めないといけませんので、ここからは今日の講師に伺いましょう。内閣府総合海洋政策推進事務局の柴田 理香さんです。

(村上)
柴田さん、北極に領土を持つ国が8か国もあるんですね。

(柴田)
そうですね。北極と呼ばれるエリアは、使い方によっては、北極海や北極点を指す場合もありますが、「北極圏」を指すことが多いです。正確に説明すると、北極圏とは北緯66度33分より北のエリアを指します。地球の軸、いわゆる「地軸」の傾きから、夏に一日中太陽が沈まない「白夜」が発生することはよく知られていると思います。その白夜が起きるエリアが、北極圏です。先ほどのお話では、このエリア内に、陸地や島といった領土を持つ国が八つあるということになるんです。

(村上)
その北極が世界から注目を集めているというのは、どういうことなんでしょうか?

(柴田)
理由はいろいろあります。皆さんがよくご存じなのは、「地球温暖化の影響で北極の氷が減っている」ということですよね? 実際、北極海を覆っている氷の面積は、年によって増減はしますが、長期的には減り続けていて、1年のうち最も小さくなる夏季の海氷面積は、2012年には1980年代の半分以下になってしまったのが、確認されています。そして、こうした北極の温暖化と海氷の減少が、日本や世界中の様々な場所の気候にも影響を与えていることが分かってきているため、どういった変化が起きているか、実態を把握することがとても重要になっています。

(村上)
2026年の今はもっと減ってしまっているかもしれないですよね。だから、みんなで地球温暖化の要因になっている「温室効果ガス」の排出を減らそうと行動してるんですもんね。では、北極が世界から注目を集めている理由について、他にはどのようなものがありますか?

(柴田)
例えば、「エネルギー資源の開発」です。地球温暖化により、北極では特に夏場の氷が減少しています。すると、氷で閉ざされていた時には難しかったことが可能になります。その一つが「エネルギー資源の開発」です。北極にはまだ多くの資源が眠っているかもしれないので、世界中がそうしたまだ見ぬ資源に期待を寄せているんです。

(杉浦)
それから、北極が世界から注目を集める理由には、太平洋と大西洋の間を行き来する「北極海航路の活用」っていうのもありますよね。

(柴田)
はい。「北極海航路」というのは、船が北極海を通って東アジアとヨーロッパを結ぶ海上輸送ルートです。夏場、氷が減少している間だけ利用できる航路で、近年、特に夏場の氷の減少が著しいことから利用拡大が期待されています。この北極海航路は、日本でも、マラッカ海峡、スエズ運河を経由する南回り航路と比較すると距離をおよそ6割も短縮できるうえに、海賊に遭遇するリスクが少ないことから、新たなルートとして関心を高めています。

(村上)
なるほど! 氷が溶けていることをプラスに捉えて注目しているんですね。

(柴田)
はい。ただ、北極に関わることを国ごとに勝手に進めてしまうとトラブルになる可能性も考えられます。そこで、北極についての国際ルール作りを話し合うために、1996年、北極に領土を持つ8か国が集まって「北極評議会」を設立しました。日本を含めた北極に領土を持たない13か国も、中立な立場で意見を伝える「オブザーバー」として、これに参加しています。

(村上)
みんなでルールを考えて、北極を守ろうとしているんですね。

(杉浦)
そういうことだね。ルール作りは、まさに、現在進行形で行われているんだって。そこで、ここからは北極について日本がどのような考えを持っているのか、学んでいきましょう。

(村上)
柴田さん、日本は北極について、どのような考えを持っているんですか?

(柴田)
日本は北極に関わる取組を進めるに当たって、2015年に「我が国の北極政策」を策定し、基本的な考え方を示しています。ポイントを簡単にまとめますと、「日本が得意とする科学技術を最大限に活用すること」「デリケートな北極の自然や生き物を大切にすること」「国際ルールを守り、争いのない、秩序ある形で各国と協力していくこと」「北極に暮らす先住民の方々の伝統的な暮らしや経済を尊重すること」「安全保障の動きにも注意を払いながら、気候変動が社会や経済に与える影響への対応を進めていくこと」。そのうえで、「北極海の新しい航路や資源開発など将来の可能性についても探っていくこと」となります。

(杉浦)
この考えの下、既にいろいろな取組が進められているんだけど、今年(2026年)、特に注目されているのは「みらいⅡ」ですよね。

(柴田)
はい。「みらいⅡ」は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)において建造を進めている、日本初、「砕氷機能」がある北極域研究船です。

(村上)
「さいひょう」ってなんですか?

(柴田)
「砕く氷」と書いて砕氷です。北極の環境変化が世界の気候や気象にも関係することが分かっている今、地球全体の環境を理解し、未来の気候変化を予測するためには、北極の状況を詳しく調べることが重要です。北極海では様々な国が観測活動を展開していて、日本でも海洋地球研究船「みらい」による観測が1998年から2025年まで実施されてきました。

(杉浦)
「みらい」の観測対象は、海洋、大気、気象、生物、海底と多岐にわたりまして、高精度な観測を行うことで国際的に高い評価を得てきたんですよね。

(柴田)
はい。しかし「みらい」には北極海の氷を砕きながら進むことができる砕氷機能が搭載されていなかったので、北極の中心部はもちろん、氷があって観測が困難な季節のデータを十分に集めることができませんでした。そこで2021年、砕氷機能を有する「みらいⅡ」の建造がスタートし、今年(2026年)の秋、いよいよ完成するんです。

(村上)
日本の観測研究がパワーアップするっていうことですね。

(柴田)
はい。これにより、厚さ1.2mの氷を砕きながら3ノット、時速6kmほどの速さで進んでいくことが可能になります。

(杉浦)
すごい速さだよねー。時速6kmで、ガシガシ氷を砕いて進んでいく「みらいⅡ」、見てみたいよね!? 「みらいⅡ」には他にも最新の観測機器が搭載されるんですよね。

(柴田)
はい。雲の詳細な構造や低気圧の発達過程などを観測する「ドップラーレーダー」が搭載されます。北極海は、海氷の減少に伴って低気圧の活動が活発化しているので、その詳細な観測が期待されています。世界中の砕氷研究船の中でも、この観測機器を搭載するのは「みらいⅡ」のみになる見込みです。

(杉浦)
すごいね。ドップラーレーダー!

(村上)
責任重大ですね!

(柴田)
また、海水の温度や成分を調べるための「採水装置」や、氷の下に潜って自ら行動できる「海中ドローン」なども搭載予定です。北極海の氷については、実は、まだまだ分かっていないことが多くて、この海中ドローンと海上ドローンが連携して、氷の下の水温や塩分、流れの観測、さらに、氷の形や生物なども映像で捉え、北極研究に役立てるそうです。

(村上)
すごい。なんか、最先端のお話しでワクワクしちゃう。

(杉浦)
新種の生物とか見つかったりするのかなー?

(村上)
確かにー。楽しみ!

(柴田)
また、「みらいⅡ」は日本だけでなく世界中の研究者と一緒に調査を行ない、「国際研究のプラットフォーム」としても活用される予定です。これまで海氷域の観測は、主に欧米の砕氷船を持つ国々が行なっていましたが、「みらいⅡ」により、日本も貢献できるようになります。

(杉浦)
また、この船を通じて、若い研究者や技術者の育成も行われる予定なんですよね。

(柴田)
はい。これから先、北極を持続可能な形で活用していくためには、次の世代の研究者や技術者の力が欠かせません。そのため、人材の育成にも力を入れていく予定です。是非、リスナーの皆さんにも、北極を身近なテーマとして関心を持っていただけたらうれしいです。

(杉浦)
そうなんですよ。今日の放送をきっかけに北極に興味を持ったかたは、(2026年)3月13日金曜日に開催される国際シンポジウムが、オンラインでリアルタイム配信されるので、是非、チェックしてほしいですね。

(柴田)
はい。「新時代北極と日本の針路」と題して、様々な分野で活躍されている方々をパネリストに迎え、北極の「いま」と「これから」について語り合います。
このシンポジウムでは、北極で何が起きているのか、そして、日本がなぜ北極政策に取り組むのか、各分野の専門家の方々のお話や展示などを通して、分かりやすくお伝えしていく予定です。詳しい情報は、内閣府海洋政策の「北極政策」のホームページに掲載していますので、是非、ご覧になってみてください。北極が直面している課題は、実は、私たちの暮らしや未来ともつながっています。この機会に、みんなで北極に注目していきましょう。

(村上)
今日の話を聞いて、特に注目したのは「北極の可能性は無限大!!」です。

(杉浦)
まさに! 素晴らしい。僕は、「「みらいⅡ」が切り拓く明るい未来」です。


「 関連リンク 」
内閣府「北極政策」
JAMSTEC(海洋研究開発機構)「北極域研究船プロジェクト」
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