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2026.06.14
記録の森へ行ってみよう! 国立公文書館
歴史上の人物の直筆署名や貴重な文書など、多くの重要な記録が保存されている「国立公文書館」。
そこには公文書を通じて、その時代を生きた人々の思いや暮らし、歴史の背景を知る手掛かりが数多く残されています。
今回は「記録の森へ行ってみよう! 国立公文書館」というテーマで学びました。
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そこには公文書を通じて、その時代を生きた人々の思いや暮らし、歴史の背景を知る手掛かりが数多く残されています。
今回は「記録の森へ行ってみよう! 国立公文書館」というテーマで学びました。
(松井)
太陽さんはアウトドア派ですけど、お子さんと図書館や美術館に行かれたりしますか?
(杉浦)
図書館は、結構行くよ! 絵本だったり、いろんな図鑑とかもあるからね。あとは、こどもが自分で勉強をしに行ったりする。
(松井)
それは素敵な利用の仕方ですね。
(杉浦)
美術館は、ロケかな(笑)
(松井)
ロケ(笑) 私は大人になってから、美術館によく行くようになって。いろんな作家のかたたちの作品を観たりとか、そこでインスピレーションを受けて、楽しいなと思うことが増えました。
(杉浦)
大人の趣味してるよねー。
(松井)
と言うと、かっこいいですけども。時々、「感じるものがあるなー」と言って帰る日もあります(笑) リスナーの皆さんも、図書館や美術館は身近だと思うんですけど、今日のテーマである「国立公文書館」へ行ったことのあるかたは、少ないかな? と思うんですよ。
(杉浦)
「国立公文書館」って、なかなか聞かないよね…。どこにあるの?
(松井)
本館は、東京の千代田区北の丸公園、皇居のすぐ北側にあります。つくば分館は、茨城県つくば市にあります。そして2029年には、新しい公文書館が国会議事堂の近くにできる予定なんです。
(杉浦)
え? 新しいのもできるんだね。新館ができるくらい国としても力を入れている場所ってことだよね。公文書館っていうくらいだから、扱ってるのは「公文書」ってこと?
(松井)
そうなんです。「公文書」というのはですね、国などの公的機関に携わる人が作成したり、取得する、文書や図面、写真などの総称です。分かりやすい例を挙げますと、教科書に出てきた「大日本帝国憲法」や「日本国憲法」、そして、あの「平成の書」「令和の書」も公文書として、大事に保存されているんです。
(杉浦)
実際にあるんだね! 小渕さんが記者会見で掲げた、あの「平成」って書いてある…。
(松井)
そうです!
(杉浦)
あれ? 玲奈ちゃん生まれてないよね?
(松井)
「平成の書」が発表された時は生まれてないです。でも、ニュースで見たことがあります。
(杉浦)
じゃあ、「令和の書」は? 菅さんが「令和」って掲げたやつ。
(松井)
リアルタイムで見てました。
(杉浦)
記憶に新しいよね。あれが保存されてるんだね。
(松井)
そうなんです。国立公文書館では見ることができるんです。ここからは今日の講師のかたに教えていただきたいと思います。独立行政法人国立公文書館総務課の長野 浩二さんです。
(杉浦)
長野さん、改めて国立公文書館は、どういった施設なのか教えてください。
(長野)
はい。国立公文書館は、国の機関などが作った大切な記録を集めて、きちんと保存し、広く一般のかたに公開している施設です。先ほど話題にも挙がりました「大日本帝国憲法」や「日本国憲法」「令和の書」なども当館で保存しています。展示会なども開催しているので、その時には公文書の原本も見られることもあります。また、インターネットで国立公文書館デジタルアーカイブをご利用いただくと、カラーで原書のデジタルコンテンツを「いつでも」「どこでも」「誰でも」「自由に」、そして「無料」でご覧いただくことができます。
(杉浦)
無料なんですね! 国立公文書館には、どのくらいの公文書が所蔵されてるんですか?
(長野)
国立公文書館の所蔵文書はおよそ178万点。そのうち、内閣文庫と言って、江戸幕府から引き継がれた蔵書や、明治政府が収集した文献などがおよそ50万点。残りのおよそ130万点が、明治から現在に至る国の行政機関などの公文書です。資料を全部積み上げてみますと、実は、世界最高峰のエベレストの8倍以上になります。
(杉浦)
高さがですか!? エベレストの8倍以上!! 時代はどんどん進んでいくんで、「公文書は増える一方」ってことになりますよね?
(長野)
そうなんです。公文書は年々増え続けているので、保管スペースにも余裕があるとは言えない状況です。毎年、新たに行政機関で作られる公文書は、およそ300万点で、それぞれの機関で一定期間保管されたものの中から、「どれを歴史的に重要な記録として残すか」「どれを廃棄するか」を選別して、移管されたものが国立公文書館で「永久に保存」されます。
(松井)
すごくたくさんあるものの中から、「残すべきものを選んでいる」んですよね。
(杉浦)
でもさ、素朴な疑問なんですけども、そういう公文書って、歴史学者とか、研究者とかが見ると、「おー!」となるかもしれないけど、僕らが見て、どうやったら面白いと感じるのかな?
(松井)
太陽さん、いい質問です! そんなふうに思われるかたって、多いと思うんですよ。でも、教科書に出てくるような歴史的な出来事が公文書にはどのように記されてるのか、また、歴史的人物の直筆はどのようなものか、気になりませんか?
(杉浦)
え、例えば?
(松井)
例えば、大日本帝国憲法の署名欄には、あの、日本の初代内閣総理大臣の伊藤 博文や、早稲田大学を創設したことでも知られる大隈 重信の署名、直筆サインがあるんです!
(杉浦)
直筆のサイン、あるんだ!
(長野)
当時、伊藤 博文は枢密院議長で、大隈 重信は外務大臣でしたので、黒田 清隆内閣総理大臣を筆頭に署名されているんです。
(松井)
そうなんです。大隈 重信の直筆はあまり残っていないことで知られてるんですけど、当時の公文書には、大臣として、ご本人が書いた署名が残されてるんです。こちらに写真があるんですけど、どうですか?
(杉浦)
わ! すごい。 今、実際に写真を見てますけども、そうそうたるメンバーだね。大隈 重信、あ、西郷 従道もあるね。これ、直筆なんですねー。あれ? その前に記されてるのって、もしかして、明治天皇のお名前では?
(長野)
はい、そうなんです。明治天皇のお名前と、御璽(ぎょじ)と言って、公式なハンコが捺印されています。
(杉浦)
えー、こういうものもあるんだ。
(松井)
日本国憲法の方では、昭和天皇と当時の内閣総理大臣、吉田 茂の署名も確認できるんです。
(杉浦)
なるほど! こうやって署名とかを見ると、教科書で学んだことと合致するよね。過去の出来事がぐっと鮮明になる感じがします。
(松井)
太陽さん、実はですね、もっと生々しく当時のことを想像することができる公文書があるんです。それは「終戦の詔書」です。
(杉浦)
長野さん、「終戦の詔書」ですけども、どんな特徴のある資料なんでしょうか。
(長野)
はい。「終戦の詔書」は、正式には「大東亜戦争終結ニ関スル詔書」と言います。これは、昭和20年、1945年8月14日の夜に発布された公文書です。皆さんも、玉音放送はご存知だと思います。「堪え難きを堪え 忍び難きを忍び」と昭和天皇により戦争の終結の決定が国民に伝えられたラジオ放送です。実は、あの玉音放送は「終戦の詔書」を読み上げたものなんです。
(杉浦)
読み上げたものだったんですね。あの歴史的な瞬間の言葉が、公文書を基にしていると聞くと、公文書の重みが更に感じられますね。
(長野)
はい。無条件降伏を迫るポツダム宣言の受諾が決定された後、8月14日の閣議で詔書案の検討が行われたんですけども、通常は閣議決定の後に清書するものなのですが、閣議が長時間に及んだことから閣議と併行して進められました。しかし、閣議で文案が修正・追加されて、本来であれば、原本も最初から書き直す必要があったのですが、書き直す時間がなかったことから、用紙を削ったり、吹き出しを用いて文字を書き足すという、通常では行うことがない対応が取られました。この詔書を見ると、いかに時間がない中での切迫した作業だったのかが、よく分かります。
(松井)
今、デジタルアーカイブで、「終戦の詔書」を見ているんですけど、拡大してみると、一部分、紙が削れているのが分かりますか? 太陽さん。
(杉浦)
紙が…、あ、ほんとだ。削って、修正してありますね。
(松井)
あと、吹き出しがちょこっと横にはみ出しているものもあります。
(杉浦)
「戦局必スシモ好轉セス」の「必ずしも好轉」のところだよね。分かる分かる。その後も、文章が小さな文字で足されてたりとか。これは、歴史の瞬間を見てる感じがしますね。切迫した空気感が、文字から伝わってきます。
(松井)
公文書を実際に見てみると、学校の授業で習った時とは違う感じ方ができますよね。これが、公文書を公開することの最大の価値なんじゃないかなと、私は思います。
(長野)
本当にそうだと思います。「違う感じ方」というところがすごく大事だなと思っておりまして、一つの公文書から背景やストーリーが見えてくる気がしています。国立公文書館では、展示会を年に何回も開催していて、私も様子を見に行くんですが、そこで、公文書をじーっと見ているかたがいらっしゃいます。もちろん、文字を読んでいるとは思うのですが、おそらく、この公文書が作成された時の状況とか、作成者の思いに心を馳せながら、今の自分が当時の状況ならばどうなのだろうかとか、公文書を通して、当時の人たちと「対話」をしているかのような感じで捉えているのではないかな?と、そんな気がしています。
(松井)
公文書を通して、当時の人たちと「対話」する、その感覚とても素敵ですね。
(長野)
もちろん、公文書から何を感じ、どう考え、どのように発展させるのかは、個人個人で違うと思いますが、国立公文書館には、そういうことを含めまして、「過去の記録を未来につなげる」という役割があるのかなと思っています。
(松井)
国立公文書館では、より貴重な公文書や歴史的な資料を多くのかたに知っていただくために、常設展の他に、年に数回、テーマ展示を開催されてるんですよね。
(長野)
はい。今も(2026年)6月20日まで、江戸時代のお祭りをテーマにした企画展を開催していますし、次回、来月7月17日から(2026年)9月23日までの期間は、特別展「旅人は東を目指す―古典文学が描いた魅惑の東日本―」を開催します。古代から中世にかけて、都の人々にとって、東日本は未知の世界でした。東日本を旅した人の中には、神秘と魅惑を感じ、たくさんの和歌などが詠まれました。今回は、その中から、百人一首や伊勢物語などを通じて、東日本への旅をひもといていきます。
(松井)
また、国立公文書館では、日頃から見学ツアーも実施されているんですよね。
(長野)
はい。国立公文書館の業務を紹介するバックヤードツアーがあります。学校などの団体見学だけでなく、個人が参加できるツアーも開催しています。東京本館では、事前申込み不要の「ふらっとツアー」がありまして、修復や書庫設備について、職員がご説明します。夏休み期間中には、小学生の親子や中高生を対象にした特別な見学ツアーもあります。こうしたツアーに参加したこどもたちは、筆で書かれた古い資料を見たりすると驚いているようですよ!
(杉浦)
夏休みのこどもたちの自由研究とか探究学習の場に「国立公文書館」って、めちゃくちゃ新発見がありそうじゃないですか?
(長野)
そうだと思っています! 国立公文書館で絶好の研究テーマを見つけることができると思います。公文書は、国民の皆さんで共有する大切な財産です。きちんと保存し、必要なときに活用できるようにすることは、行政を正しく効率的に進めるためだけでなく、国がどのような判断をしてきたのかを、今の私たちや将来の世代にきちんと説明することにもつながります。さらに、日本の歴史や文化、学術研究などを支えて、「自分たちはどんな社会に生きているのか」を一人ひとりが考える手掛かりにもなると思っています。無料で気軽に入れますので、是非一度、国立公文書館へいらしてください。また、遠くにお住まいのかたは、国立公文書館のデジタルアーカイブで、公文書の「奥深い世界」をご覧になってみていただきたいと思います。
(杉浦)
僕が今日の話の中で注目したのは、「夏休みの自由研究や探究学習大チャンス 国立公文書館」です。
(松井)
私は「過去の記録を未来に 国立公文書館」です。
(杉浦)
いいですね。つないでますね。
「 関連リンク 」
・国立公文書館
太陽さんはアウトドア派ですけど、お子さんと図書館や美術館に行かれたりしますか?
(杉浦)
図書館は、結構行くよ! 絵本だったり、いろんな図鑑とかもあるからね。あとは、こどもが自分で勉強をしに行ったりする。
(松井)
それは素敵な利用の仕方ですね。
(杉浦)
美術館は、ロケかな(笑)
(松井)
ロケ(笑) 私は大人になってから、美術館によく行くようになって。いろんな作家のかたたちの作品を観たりとか、そこでインスピレーションを受けて、楽しいなと思うことが増えました。
(杉浦)
大人の趣味してるよねー。
(松井)
と言うと、かっこいいですけども。時々、「感じるものがあるなー」と言って帰る日もあります(笑) リスナーの皆さんも、図書館や美術館は身近だと思うんですけど、今日のテーマである「国立公文書館」へ行ったことのあるかたは、少ないかな? と思うんですよ。
(杉浦)
「国立公文書館」って、なかなか聞かないよね…。どこにあるの?
(松井)
本館は、東京の千代田区北の丸公園、皇居のすぐ北側にあります。つくば分館は、茨城県つくば市にあります。そして2029年には、新しい公文書館が国会議事堂の近くにできる予定なんです。
(杉浦)
え? 新しいのもできるんだね。新館ができるくらい国としても力を入れている場所ってことだよね。公文書館っていうくらいだから、扱ってるのは「公文書」ってこと?
(松井)
そうなんです。「公文書」というのはですね、国などの公的機関に携わる人が作成したり、取得する、文書や図面、写真などの総称です。分かりやすい例を挙げますと、教科書に出てきた「大日本帝国憲法」や「日本国憲法」、そして、あの「平成の書」「令和の書」も公文書として、大事に保存されているんです。
(杉浦)
実際にあるんだね! 小渕さんが記者会見で掲げた、あの「平成」って書いてある…。
(松井)
そうです!
(杉浦)
あれ? 玲奈ちゃん生まれてないよね?
(松井)
「平成の書」が発表された時は生まれてないです。でも、ニュースで見たことがあります。
(杉浦)
じゃあ、「令和の書」は? 菅さんが「令和」って掲げたやつ。
(松井)
リアルタイムで見てました。
(杉浦)
記憶に新しいよね。あれが保存されてるんだね。
(松井)
そうなんです。国立公文書館では見ることができるんです。ここからは今日の講師のかたに教えていただきたいと思います。独立行政法人国立公文書館総務課の長野 浩二さんです。
(杉浦)
長野さん、改めて国立公文書館は、どういった施設なのか教えてください。
(長野)
はい。国立公文書館は、国の機関などが作った大切な記録を集めて、きちんと保存し、広く一般のかたに公開している施設です。先ほど話題にも挙がりました「大日本帝国憲法」や「日本国憲法」「令和の書」なども当館で保存しています。展示会なども開催しているので、その時には公文書の原本も見られることもあります。また、インターネットで国立公文書館デジタルアーカイブをご利用いただくと、カラーで原書のデジタルコンテンツを「いつでも」「どこでも」「誰でも」「自由に」、そして「無料」でご覧いただくことができます。
(杉浦)
無料なんですね! 国立公文書館には、どのくらいの公文書が所蔵されてるんですか?
(長野)
国立公文書館の所蔵文書はおよそ178万点。そのうち、内閣文庫と言って、江戸幕府から引き継がれた蔵書や、明治政府が収集した文献などがおよそ50万点。残りのおよそ130万点が、明治から現在に至る国の行政機関などの公文書です。資料を全部積み上げてみますと、実は、世界最高峰のエベレストの8倍以上になります。
(杉浦)
高さがですか!? エベレストの8倍以上!! 時代はどんどん進んでいくんで、「公文書は増える一方」ってことになりますよね?
(長野)
そうなんです。公文書は年々増え続けているので、保管スペースにも余裕があるとは言えない状況です。毎年、新たに行政機関で作られる公文書は、およそ300万点で、それぞれの機関で一定期間保管されたものの中から、「どれを歴史的に重要な記録として残すか」「どれを廃棄するか」を選別して、移管されたものが国立公文書館で「永久に保存」されます。
(松井)
すごくたくさんあるものの中から、「残すべきものを選んでいる」んですよね。
(杉浦)
でもさ、素朴な疑問なんですけども、そういう公文書って、歴史学者とか、研究者とかが見ると、「おー!」となるかもしれないけど、僕らが見て、どうやったら面白いと感じるのかな?
(松井)
太陽さん、いい質問です! そんなふうに思われるかたって、多いと思うんですよ。でも、教科書に出てくるような歴史的な出来事が公文書にはどのように記されてるのか、また、歴史的人物の直筆はどのようなものか、気になりませんか?
(杉浦)
え、例えば?
(松井)
例えば、大日本帝国憲法の署名欄には、あの、日本の初代内閣総理大臣の伊藤 博文や、早稲田大学を創設したことでも知られる大隈 重信の署名、直筆サインがあるんです!
(杉浦)
直筆のサイン、あるんだ!
(長野)
当時、伊藤 博文は枢密院議長で、大隈 重信は外務大臣でしたので、黒田 清隆内閣総理大臣を筆頭に署名されているんです。
(松井)
そうなんです。大隈 重信の直筆はあまり残っていないことで知られてるんですけど、当時の公文書には、大臣として、ご本人が書いた署名が残されてるんです。こちらに写真があるんですけど、どうですか?
(杉浦)
わ! すごい。 今、実際に写真を見てますけども、そうそうたるメンバーだね。大隈 重信、あ、西郷 従道もあるね。これ、直筆なんですねー。あれ? その前に記されてるのって、もしかして、明治天皇のお名前では?
(長野)
はい、そうなんです。明治天皇のお名前と、御璽(ぎょじ)と言って、公式なハンコが捺印されています。
(杉浦)
えー、こういうものもあるんだ。
(松井)
日本国憲法の方では、昭和天皇と当時の内閣総理大臣、吉田 茂の署名も確認できるんです。
(杉浦)
なるほど! こうやって署名とかを見ると、教科書で学んだことと合致するよね。過去の出来事がぐっと鮮明になる感じがします。
(松井)
太陽さん、実はですね、もっと生々しく当時のことを想像することができる公文書があるんです。それは「終戦の詔書」です。
(杉浦)
長野さん、「終戦の詔書」ですけども、どんな特徴のある資料なんでしょうか。
(長野)
はい。「終戦の詔書」は、正式には「大東亜戦争終結ニ関スル詔書」と言います。これは、昭和20年、1945年8月14日の夜に発布された公文書です。皆さんも、玉音放送はご存知だと思います。「堪え難きを堪え 忍び難きを忍び」と昭和天皇により戦争の終結の決定が国民に伝えられたラジオ放送です。実は、あの玉音放送は「終戦の詔書」を読み上げたものなんです。
(杉浦)
読み上げたものだったんですね。あの歴史的な瞬間の言葉が、公文書を基にしていると聞くと、公文書の重みが更に感じられますね。
(長野)
はい。無条件降伏を迫るポツダム宣言の受諾が決定された後、8月14日の閣議で詔書案の検討が行われたんですけども、通常は閣議決定の後に清書するものなのですが、閣議が長時間に及んだことから閣議と併行して進められました。しかし、閣議で文案が修正・追加されて、本来であれば、原本も最初から書き直す必要があったのですが、書き直す時間がなかったことから、用紙を削ったり、吹き出しを用いて文字を書き足すという、通常では行うことがない対応が取られました。この詔書を見ると、いかに時間がない中での切迫した作業だったのかが、よく分かります。
(松井)
今、デジタルアーカイブで、「終戦の詔書」を見ているんですけど、拡大してみると、一部分、紙が削れているのが分かりますか? 太陽さん。
(杉浦)
紙が…、あ、ほんとだ。削って、修正してありますね。
(松井)
あと、吹き出しがちょこっと横にはみ出しているものもあります。
(杉浦)
「戦局必スシモ好轉セス」の「必ずしも好轉」のところだよね。分かる分かる。その後も、文章が小さな文字で足されてたりとか。これは、歴史の瞬間を見てる感じがしますね。切迫した空気感が、文字から伝わってきます。
(松井)
公文書を実際に見てみると、学校の授業で習った時とは違う感じ方ができますよね。これが、公文書を公開することの最大の価値なんじゃないかなと、私は思います。
(長野)
本当にそうだと思います。「違う感じ方」というところがすごく大事だなと思っておりまして、一つの公文書から背景やストーリーが見えてくる気がしています。国立公文書館では、展示会を年に何回も開催していて、私も様子を見に行くんですが、そこで、公文書をじーっと見ているかたがいらっしゃいます。もちろん、文字を読んでいるとは思うのですが、おそらく、この公文書が作成された時の状況とか、作成者の思いに心を馳せながら、今の自分が当時の状況ならばどうなのだろうかとか、公文書を通して、当時の人たちと「対話」をしているかのような感じで捉えているのではないかな?と、そんな気がしています。
(松井)
公文書を通して、当時の人たちと「対話」する、その感覚とても素敵ですね。
(長野)
もちろん、公文書から何を感じ、どう考え、どのように発展させるのかは、個人個人で違うと思いますが、国立公文書館には、そういうことを含めまして、「過去の記録を未来につなげる」という役割があるのかなと思っています。
(松井)
国立公文書館では、より貴重な公文書や歴史的な資料を多くのかたに知っていただくために、常設展の他に、年に数回、テーマ展示を開催されてるんですよね。
(長野)
はい。今も(2026年)6月20日まで、江戸時代のお祭りをテーマにした企画展を開催していますし、次回、来月7月17日から(2026年)9月23日までの期間は、特別展「旅人は東を目指す―古典文学が描いた魅惑の東日本―」を開催します。古代から中世にかけて、都の人々にとって、東日本は未知の世界でした。東日本を旅した人の中には、神秘と魅惑を感じ、たくさんの和歌などが詠まれました。今回は、その中から、百人一首や伊勢物語などを通じて、東日本への旅をひもといていきます。
(松井)
また、国立公文書館では、日頃から見学ツアーも実施されているんですよね。
(長野)
はい。国立公文書館の業務を紹介するバックヤードツアーがあります。学校などの団体見学だけでなく、個人が参加できるツアーも開催しています。東京本館では、事前申込み不要の「ふらっとツアー」がありまして、修復や書庫設備について、職員がご説明します。夏休み期間中には、小学生の親子や中高生を対象にした特別な見学ツアーもあります。こうしたツアーに参加したこどもたちは、筆で書かれた古い資料を見たりすると驚いているようですよ!
(杉浦)
夏休みのこどもたちの自由研究とか探究学習の場に「国立公文書館」って、めちゃくちゃ新発見がありそうじゃないですか?
(長野)
そうだと思っています! 国立公文書館で絶好の研究テーマを見つけることができると思います。公文書は、国民の皆さんで共有する大切な財産です。きちんと保存し、必要なときに活用できるようにすることは、行政を正しく効率的に進めるためだけでなく、国がどのような判断をしてきたのかを、今の私たちや将来の世代にきちんと説明することにもつながります。さらに、日本の歴史や文化、学術研究などを支えて、「自分たちはどんな社会に生きているのか」を一人ひとりが考える手掛かりにもなると思っています。無料で気軽に入れますので、是非一度、国立公文書館へいらしてください。また、遠くにお住まいのかたは、国立公文書館のデジタルアーカイブで、公文書の「奥深い世界」をご覧になってみていただきたいと思います。
(杉浦)
僕が今日の話の中で注目したのは、「夏休みの自由研究や探究学習大チャンス 国立公文書館」です。
(松井)
私は「過去の記録を未来に 国立公文書館」です。
(杉浦)
いいですね。つないでますね。
「 関連リンク 」
・国立公文書館