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実際はどうだった? 裁判員経験者の声

実際はどうだった? 裁判員経験者の声

あなたの周りに、裁判員経験者はいますか?
18歳以上の方であれば誰でも選ばれる可能性がある裁判員。
次に選ばれるのは、あなたかもしれません。

今回は、「実際はどうだった? 裁判員経験者の声」をテーマに学びました。
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(杉浦)
裁判員制度は、「国民の皆さんの中から選ばれた6人の裁判員のかたが、3人の裁判官と一緒に刑事裁判に参加して、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑にするかを決める制度」ですね。以前、この番組で学んだので、僕は基本を押さえているつもりですが。玲奈ちゃんはどうでしょうか?

(松井)
もちろん知ってはいて、今は学校でも学ぶ機会があるので、私自身も勉強しましたし、多くのかたが知っているんじゃないかなと思いますね。

(杉浦)
そうだよね。裁判員は選挙権のある国民の皆さんの中から選ばれますので、原則として、「18歳以上のかたであれば誰でも」選ばれる可能性があるんだよね。

(松井)
「誰でも」ということは、無作為に選ばれるってことですよね?

(杉浦)
そうなんです。最終的に裁判員に選ばれるまでには段階を踏んで、3回もくじが行われるんだって。だから選ばれる確率はですね、全国で1年当たり、全有権者のうちおよそ1万6,600人に1人の割合。確率で言うとおよそ0.006%。

(松井)
かなり確率が低いですね。裁判員をやりたくても、なかなか経験できるものじゃないってことですね。

(杉浦)
そうなんだよね。裁判員制度は2009年に始まったんだけど、それからおよそ17年間に、裁判員などを経験したかたは13万6,000人ほど。まだ周りに経験者が少ないから、実際に自分が裁判員に選ばれたら… って考えると、分からないことが多いと思うんだよね。そこでここからは、裁判官として裁判員裁判の経験もある講師をお迎えして、裁判員制度や裁判員経験者の声をお届けしていきます。最高裁判所事務総局刑事局の君塚 知弥子さんです。

(松井)
君塚さん、まずは改めて、裁判員制度について教えてください。そもそも、なぜ、国民が参加する裁判が行われるようになったんですか?

(君塚)
はい。法律の専門家だけでなく、国民の皆さんの視点や感覚も裁判にいかすためです。裁判員のかたには、裁判官と一緒に公開の法廷で、検察官や弁護人が提出した証拠書類や凶器などの証拠物を取り調べたり、証人や被告人の話を聞いたりする「審理」に出席してもらいます。また、審理の後、非公開で行われる議論の場である「評議」において裁判官と一緒に話し合いを重ねて、被告人が有罪かどうか、有罪の場合にはどのような刑にするかを決めていただきます。裁判員制度は、裁判員の皆さんがこうした経験を通じて裁判への理解を深め、司法全体への信頼の向上につながることも期待されて始まったんです。

(松井)
そうなんですね。全ての事件が裁判員裁判の対象になるわけではないんですよね?

(君塚)
対象となるのは「国民の関心の高い重大な犯罪に関する刑事訴訟事件」です。例えば、「殺人」や「強盗の際に人を死なせたり、けがをさせてしまった事件」「人の住む家に放火した事件」などです。

(松井)
重大な事件が対象というと、裁判員のかたは責任重大ですよね。

(君塚)
確かに責任は重いです。そうしたことも影響するのか、実際に裁判員を経験されたかたからのアンケート結果によると、昨年(2025年)は、およそ40%のかたが裁判員に選ばれる前の気持ちとして「あまりやりたくなかった」又は「やりたくなかった」と回答しています。一方で、裁判員として裁判に参加した感想は、およそ97%のかたが「非常によい経験だった」又は「よい経験だった」と回答しているんです。

(松井)
そんなに変化があるんですね。「最初はやりたくないな… という気持ちが強かったけど、やってよかった」と思ったかたが半分近くいたっていうのは驚きですね。こんなふうに思えるようになったのは、なぜなんでしょうか?

(杉浦)
それ気になるよね。そこで、ここからは「裁判員経験者の声で答える、もしも玲奈ちゃんが裁判員に選ばれたら」! 裁判所では、実際に裁判員を経験されたかたを対象にアンケートに協力してもらったり、意見交換会に参加してもらったりしてるんだけど、実は、そこで上がった声は、裁判所のホームページで公開されてるんだよね。

(松井)
それってすごく貴重な声ですよね。

(杉浦)
そう。だから、もしも玲奈ちゃんが裁判員に選ばれたら、事前にどのようなことを知りたいか、そのときのことを想像して質問してみてください。今日は、実際に裁判員を経験された方々の声を基にお答えしていきます。

(松井)
じゃあ、まず心配になってしまうのは、「私に務まるのかな?」っていうところですね。私には法律の知識があまりありませんし、裁判って聞くと、難しそうなイメージがどうしてもあります。

(杉浦)
そう思われるかたも少なくないと思いますけども、心配はいりません! 裁判員経験者さんは、こんなふうに言っています。
「私は法律の専門用語は全く知りませんでしたが、検察官や弁護士さんからいただく資料は注釈もあって分かりやすかったですし、分からなかったことを評議の中で裁判官に聞くと全部教えてくださるので、全然問題はありませんでした。」とのことです。

(松井)
君塚さん、分からないことは裁判官に質問することができるんですか?

(君塚)
はい。「審理」や「評議」の場で、分からないことや疑問があれば、質問していただいて大丈夫です。また、証人や被告人が法廷で話す内容をよく聞いて、疑問があれば、裁判員の皆さんも裁判長に申し出たうえで、直接質問することができます。

(松井)
直接質問ができるんですね?! でも、それってちょっと心配というか、裁判員になることで事件関係者などから危害を加えられたり、トラブルに巻き込まれたりっていうことはないんでしょうか?

(杉浦)
「裁判員になることで、トラブルに巻き込まれるおそれがないか」、心配な声もありますけど。実際どうなのか、裁判員経験者さんの声はこんな内容です。
「被告人に質問するときなど、恨まれるのではないかという不安が最初ありましたが、服装は自由で、マスクや眼鏡を付けてもOK、呼ばれるときも1番、2番という形で呼ばれて名前が出ないので、あまり心配する必要はなかったです。」とのことです。

(松井)
マスクや眼鏡で顔を隠してもいいし、君塚さん、裁判員の名前は伏せられてるんですね。

(君塚)
はい。裁判員の名前や住所など、裁判員を特定するような情報は公にしません。また、裁判所内でお過ごしいただく場所や移動する際のルートは、傍聴人などの他の来庁者のかたとは基本的に分かれていますし、これらのかたも出入りするエリアを移動する際には必要に応じて職員が付き添うなどの対策を行っています。

(松井)
裁判員のかたが安心して参加できるように対応してくださってるんですね。

(杉浦)
では、続いて「裁判員経験者の声で答える、もしも玲奈ちゃんが裁判員に選ばれたら」!
玲奈ちゃん、質問は?

(松井)
話合いをするときに、「自分の意見をまとめてちゃんと話せるのか」心配だなと思います。

(杉浦)
そう思うかたもいると思うんだけど、このような裁判員経験者さんの声がありました。
「ディスカッションが不得意で、自分の意見を言うタイプではなかったが、裁判員を経験することで意見を言えるようになった。自分の性格が変わったような気がして、人生を変えた出来事と言えるくらい大きなメリットがあった。」と。

(松井)
裁判員を経験したことで、意見を言えるような変化が起きるっていうのは、すごいことですよね! でも、みんなと違う意見のときは、やっぱり発言するのに勇気がいりますよね。

(杉浦)
そうね。意見の相違があると、話がまとまらなくて困ることもありそうだよね。でも、実際にはこんな感じです。
「裁判員一人ひとりでそれぞれ見方が違っていましたが、それが大変勉強になりました。」とのことです。

(松井)
確かに、人と意見が違っても、それが学びや発見につながることがありますね。君塚さんが担当された裁判員裁判でも、裁判員の意見の違いなどありましたか?

(君塚)
もちろんありました。むしろ、最初からみんなが同じ意見ということはあまりありませんでしたね。私自身も、自分とは違った見方をしている裁判員の意見を聞いて、視点を変えて見てみたら事件の違う背景に気付かされて、自分の意見も変わってきたということがたくさんありました。

(松井)
裁判官の意見が変わるようなことがあるんですね。

(君塚)
はい。裁判官だけでは気付けなかった視点を裁判員の皆さんからいただいて、それが判断にいかされる。まさに、裁判員制度が目指していることが実際に機能しているということだと思います。

(松井)
そうですね。ただ、裁判は人の一生を左右するようなことを決めていく場なので、正直、荷が重いと思われるかたも少なくないと思うんです。

(杉浦)
確かにそうだよね。でも、こんな裁判員経験者さんの声もあります。
「人の人生に関わることを、自分一人ではなく、性別や年齢の異なる方々と話し合って、チームとして決めるという得がたい経験ができた。」と。

(松井)
判決は一人で決めるものではなくて、裁判官や他の裁判員の皆さんと十分に話し合って導き出すものだから、一人で責任を背負い込む必要はないということなんですね。

(君塚)
おっしゃるとおりです。評議では、「乗り降り自由」で率直に議論してチームとしての結論にたどりついていく、ということを大事にしています。

(松井)
つまり、評議中は、相手の意見がいいと思えば、その意見に自由に乗っていいし、自分の意見から自由に降りていいということですね。

(君塚)
そのとおりです。そして、世代や背景が違うメンバーで議論するからこそ、結論への道筋に厚みや深みができていると、私自身、実感しています。

(杉浦)
では、玲奈ちゃん、最後に聞いておきたいことはありますか?

(松井)
お仕事をされているかたが裁判員に選ばれたら、お休みを取る必要があると思うんですけど、皆さんどうされてるんですかね?

(杉浦)
こちらはですね、「従業員が裁判員に選ばれたら、法律上、会社は、その職務に必要な時間の休みを与えなければならない」ことになってるんだよね。裁判員経験者の声には、こういったものもありました。
「職場ではいろいろな人がフォローしてくれた。貴重な機会であり、今回学んだことは仕事にいかせると考えている。」と。

(松井)
参加したことで、自分自身にも新たな気付きがあったということですよね。こうしたことがあるから、97%ほどのかたが裁判員を「やってよかった」と思えたんですね。

(杉浦)
こうした声も参考に、是非、裁判員制度について考えてもらえるといいなと思います。

(君塚)
裁判員制度は、一定の職業や立場のかただけではなく、国民の皆さんに広く参加していただく制度です。そのため、裁判員裁判は「見て、聞いて、わかる裁判」を目指し、法律の知識がなくても安心して参加できるよう工夫されています。裁判官と裁判員が、それぞれの知識や経験をいかし、多様な考えに触れつつ、チームで一つの結論を導くという経験は、「日常になく貴重だった」「仕事の会議などでもいかせそう」「やってよかった」との感想を経験者のかたからいただいております。もし裁判員に選ばれたら、前向きにその一歩を踏み出していただければと思います。

(松井)
私が今日の話の中で注目したのは、「評議では『乗り降り自由』」です。

(杉浦)
僕は「裁判員裁判は『見て、聞いて、わかる裁判』」です。

(松井)
これは、私も聞いて安心するワードでした。


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