アーカイブ

点検を習慣に!自転車の製品事故を防ごう

点検を習慣に!自転車の製品事故を防ごう

あなたは自転車の点検をしていますか?自転車は大丈夫、と思っていませんか?身近で便利な乗り物だからこそ、日々の中で気をつけてほしいことがあります。
今回は、「点検を習慣に! 自転車の製品事故を防ごう」というテーマで深掘りしました。
続きを読む
(杉浦)
いよいよはじまりました新番組。記念すべき第1回のテーマは、私たちにとって非常に身近な乗り物です。「日曜まなびより」、今日のテーマは「点検を習慣に! 自転車の製品事故を防ごう」。佳菜子ちゃんは自転車を利用していますか?

(村上)
乗っています!家からスケートリンクまで、いつも自転車で行っていました。太陽さんは?

(杉浦)
僕は、送り迎えで利用していますね。では、「自転車の事故」というと、どんなことを思いつきますか?

(村上)
やっぱり、自動車との接触事故というイメージがあります。

(杉浦)
まずはそういう事故を思い出しますよね。でも今日、学んでいくのは「自転車の製品事故」なんです。

(村上)
製品事故?

(杉浦)
自転車の製品事故というのは、自転車本体の不具合等による「製品の不良」や「整備不良」、そして「誤った使いかた」によって、使っている人に危害が生じる事故のことです。実は、この自転車の製品事故が、春先に多い傾向があるんです。

(村上)
なんで春先に多いんですか?

(杉浦)
そこ「もっと知りたい!」ですよね。では、さっそく今日の講師に質問していきましょう!経済産業省の佐藤猛行さんです。

(村上)
佐藤さん、自転車の製品事故が春先に多いって、なんでですか?

(佐藤)
はい。「製品事故の疑いがある自転車事故」の発生件数を月別で見ると、例年3月から徐々に増え始める傾向があるんです。

(村上)
どうして春先に増えるんでしょうか?気になります。

(佐藤)
暖かくなり「自転車に乗る人が増える時期」ということもありますが、新生活の始まりとともに、新たに通学や通勤、こどもの送迎などで「自転車を使い始める人が増えること」も影響していると考えられています。

(杉浦)
そうなんです!実は、この番組で優等生キャラ目指しているので事前に予習してきたんですけども、2015年から2020年の6年間の自転車の製品事故は647件で、そのうち、なんと6割ほどが重傷事故です。

(村上)
確かに自転車は転ぶと体に結構なダメージを受けますよね。だから重傷になるケースが多いのかもしれないですね。私はスケートで転び慣れているんですけども。具体的にはどんな事故が発生しているんですか?

(杉浦)
ひと口に自転車の製品事故と言っても、いろいろなケースがあるんです。まず、ケース1は「整備不良や誤った使いかたによる事故」です。佐藤さん、お願いします。

(佐藤)
はい。例えば「チェーンのたるみが大きい状態」で走行したためにチェーンが外れ、踏み込んだ瞬間にバランスが崩れて転倒した。「折り畳み式の自転車の固定部のロックを締め忘れた状態」で走行した結果、走行中に不具合が生じてバランスを崩し転倒してけがを負った、といった事故が発生しています。

(村上)
久しぶりに自転車を使用する人は、チェーンの「たるみ」などに気付きにくいのかもしれないですよね。

(杉浦)
毎回ちゃんと見ないことが多いかもね。この他にも様々な事例があります。整備不良によって「運転者が死亡する事故」も発生しているんですよね、佐藤さん。

(佐藤)
はい。「電動アシスト自転車で後輪ブレーキが効かない状態」のまま走行したところ、前輪ブレーキがさび付いていた上に、そこに負荷がかかり過ぎてしまい、ブレーキワイヤーが切れ前後のブレーキが効かない状態となってしまいました。その結果止まることができずに、壁にぶつかり1人が死亡した事故がありました。

(村上)
後輪ブレーキが効かなくても、前輪ブレーキが効くから大丈夫という思いが、そういう事故につながってしまったのかもしれないですね。

(杉浦)
ブレーキの片方が効けばいい!ということではないですよね。自転車は手軽で便利な乗り物ですが、油断や慣れからくる誤った使いかたや整備不良などの不注意が大きな事故につながってしまう。そういうことを心に留めて、使用しなければいけませんね。

(村上)
他に、自転車の製品事故にはどんなケースがありますか?

(杉浦)
ケース2は「製品不良による事故」です。村上さんは「ハンドルロックの事故」って聞いたことありますか?

(村上)
まず、「ハンドルロック」を聞いたことがないです。

(杉浦)
ハンドルロックの中には、後輪の鍵などをかけるとハンドルも同時にロックされる機能が付いているものもあり、2箇所同時にロックがかかりますので、盗難を防ぐ効果が高まるんです。でもこの機能が様々な要因で誤作動を起こし、走行中にハンドルが動かなくなってしまうなど、ハンドル操作ができなくなる事故が発生しています。

(村上)
急にハンドルが動かなくなるんですか!とても怖いですね。

(杉浦)
実はこうした不具合がいくつかの機種でみられまして、2019年から該当する機種のリコールが発生しているんですよね、佐藤さん。

(佐藤)
はい、そうなんです。このような機能を搭載した自転車や電動アシスト自転車のリコール情報は、経済産業省のホームページで公開しています。「経済産業省 リコール」で検索してみてください。このような自転車を使用されているかたは、まずリコール情報をご確認いただければと思います。

(杉浦)
リコールは、電動アシスト自転車用バッテリーでも発生しているんですよね。

(佐藤)
はい。バッテリー充電中に異常に発熱してしまい、発火しバッテリーが焼けるだけでなく、周囲も焼いてしまう火災が発生しています。また発火により2名が軽傷を負った事故も発生しています。バッテリーのリコールも複数の会社の製品で発生していますので、電動アシスト自転車を使用されているかたは、リコール情報をご確認ください。

(村上)
リコール情報も確認しないとですね。

(佐藤)
実は年に10数件、何らかの不具合による自転車のリコールが発生しています。こうした状況から、リコール情報は定期的に確認することを習慣にしていただければと思います。

(杉浦)
そうですね。それに加えて自転車の点検を習慣にすれば、安心して自転車を利用できますよね。そこで、ここからは、自転車の製品事故を未然に防ぐために知っておきたい、点検ポイントを伺っていきます。ひと口に「点検」と言っても「専門家による点検」と「自分でする点検」、この二つを行うことが大切なんだそうです。では、佐藤さん、まず「専門家による点検」について教えてください。

(佐藤)
専門家による点検は、新しい自転車を購入して1か月ほど経過したら必ず受けてください。

(村上)
え、1か月ですか?買ったばっかりなのに?まだ傷みもなさそうですけども。

(杉浦)
そう思いますよね。でも、新車でも「ブレーキワイヤーの伸び」や「ねじの緩み」などが発生する場合があるため、点検が必要なんです!

(村上)
そうなんですか? まったく知りませんでした。

(杉浦)
春からの新生活に合わせて、新たに自転車を購入するかたも多いと思います。なので、注意が必要です。

(佐藤)
そのとおりです。ブレーキワイヤーの伸びなどは再度調整が必要ですので、購入後1か月ほど経ちましたら、購入したお店で自転車技士や自転車安全整備士などによる初期点検を受けてください。

(杉浦)
また、電柱やフェンスなどに衝突するなど外から大きな衝撃を受けた場合は、そのまま乗らずに、やはり異常がないか専門家の点検を受けてほしいんですよね。

(佐藤)
衝撃でフレームにゆがみが出たり、前輪や後輪の取り付けに緩みが出たり、なんらかの不具合が生じている場合がありますので、専門家の目でしっかりと確認してもらったほうが安心です。

(村上)
そうなんですね。でも、ちょっとだけ面倒ですよね。

(杉浦)
そうなんだけどね。ただ、気付かずに、そのまま乗り続けたことで事故が起こり、その事故で自分だけでなく他の人を傷つけてしまったら、後悔してもしきれないですよね。うちなんかは、こどもを乗せるから、こどもにけがさせてしまったら後悔してもしきれないですよね。

(佐藤)
また、特に異常がなくても、1年に1回は専門家による定期点検を受けてください。専門家による点検や調整、メンテナンスを受けることで、安全で、かつ快適に自転車を使い続けることができます。

(村上)
では、「自分でする点検」は、どんなポイントで行えばいいんですか?

(佐藤)
まず、自転車に乗る前に点検することを習慣にしてください。点検するポイントは取扱説明書に書かれている項目です。

(杉浦)
例えば、「泥よけに曲がりや外れなどはないか」「ペダルにがたつきや緩みはないか」「チェーンにねじれ、余分な「たるみ」はないか」「前後のブレーキは適切に作動しているか」「タイヤの空気は不足していないか」「ライト、反射板、テールライトは正しい角度で適切に点灯するか」などです。

(村上)
取扱説明書に書かれているんですね。ちゃんとチェックしないといけないですね。

(佐藤)
これはあくまでも一例です。自転車には様々な種類があります。それぞれに点検するポイントがありますから、おっしゃるように、しっかりと取扱説明書を読んで確認いただきたいと思います。そして、もし、異常が見つかったら、すぐに販売店などで点検・修理を受けてください。

(杉浦)
また、自転車本体の点検はもちろんなんですが、身の回りにも注意が必要です。例えば、近くにいる小さなこどもです。こどもが自転車のチェーンに指を入れてしまったり、幼児用座席に乗せたまま転倒してしまう事故も起こっていますよね。

(佐藤)
はい。まずは小さなこどもが自転車の近くにいるときには、保護者が目を離さないように注意することが重要ですし、幼児用座席に乗せたままその場を離れないことなどが大切なポイントです。

(村上)
そうですよね。身の回りもしっかりと注意しながら自転車に乗ることも大切ですね。

(佐藤)
春は自転車の製品事故が増える時期でもあります。新生活がスタートしたこの機会に、自転車の正しい使いかたを確認して安心・安全な自転車生活を楽しみましょう!

(村上)
私が今日の学びの中で特に注目したことは、自転車を買って1か月後に、購入したお店で点検してもらうことです。新品をちょっと使ったところで、意外と不具合が出てきたりするんだなと、学びました。

(杉浦)
僕は、専門家といったプロによる点検も大事だけど、自分でも点検をしなきゃいけないなと学びました。自転車に乗る前に、10秒でもいいからチェックするのは大事だよね。


・リコール情報/経済産業省
https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/index.html
戻る