みらい図鑑

VOL.140 「郡上の森の割り箸」 岐阜

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国土の約3分の2が森林に覆われている日本。
なかでも、国内2番目の森林率を誇るのが岐阜県です。

今回の主役は、森林の面積が90%という岐阜県郡上市で、
山を守りたい、という気持ちから生まれた商品、「郡上割り箸」です。

作っているのは、割り箸の製造販売を行う会社、「郡上割り箸」。
代表の小森胤樹(こもり・つぐき)さん、もともと、林業の現場で働いていましたが、
単に“林業”だけでは、日本の山を守っていくことを、多くの人に伝えることができない、
と感じたそうです。

そこで、まず、最初に立ち上げたのが、「郡上産スギ間伐材 活用プロジェクト」。
山の資源に目を向けながら、地域の環境に対する取り組みや経済活動に貢献できないかと、
2009年から4年間、活動。その後、2013年に「郡上割り箸」が設立されました。




現在、日本で使われている割り箸のほとんどは輸入されていますが、
郡上の森から作られた割り箸は、
色も香りも私たちが知っているものとは違う、と小森さんは言います。

「杉そのものを使っているので、いろんな色があります。
普段、使っている割り箸と色が違うな、というのが1点と、
あとやっぱり、杉の香りを楽しんでもらうというのもあります。」

杉は、切ると真ん中は赤っぽい色で、その回りは白っぽい色をしているため、
割り箸になると、いろんな色のものができるんだそうです。

そして、杉の香りがするのも「郡上割り箸」の特徴。
この香りには、木を腐りにくくする働きがあるので、
割り箸の製造工程において、薬を使った消毒や漂白をする必要がない、人にやさしいお箸なんです。





「日常生活の中で、木を使うことってないじゃないですか。
郡上市は9割が山なので、誰もが使う木製品はなんだろうと考えて、割り箸に行き着きました。
都会の人たちは、割り箸っていうと、
“木を使い捨てにしているじゃないか”って思うかもしれません。
でも、日本の森は、切って、使っていくことで、守られていくことを知ってほしいなと思っています。」

地域の環境を守り、雇用も生み出していく、郡上の割り箸。
天然の杉の香りを感じながら食事をする・・・
そんな楽しみ方ができるのも、森林国・日本、お箸文化の国・日本ならでは、ですね。


VOL.139 「玉川上水の自然保護」 東京都

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時代を越えて、いまも生き続ける都会のオアシス。
そのひとつが、
かつて江戸の町を潤わせた「玉川上水」です。

江戸時代、急速に人口が増えたことで、
井戸や小川だけでは、江戸の人間の飲み水を賄えきれなりました。
じゃあ、どうするか。
「多摩川の水を、江戸に引こう」と計画されたんです。

それが、玉川上水の始まりです。

完成したのは、1654年。
中心になって工事をおこなったのが、玉川兄弟だったことから、
この水路は、
「玉川上水」と呼ばれるようになりました。



多摩の羽村から東京の四谷まで、全長、43キロメートル。
そのうち上流の12キロは、
いまも、水道用の水が流れているんです。



そんな玉川上水で、歴史や自然、景観を守りながら、
江戸の水文化を継承、復活するために、
さまざまな活動を行っているグループの方々に会ってきました。

「玉川上水の自然保護を考える会」
会長の柴俊男さんにお話を伺いました。



私たちが活動しているエリアは玉川上水の上流です。
現在でも水道用原水が流れている上流12キロのなか、
最後の2キロで活動しています。

継続的に活動しようと、月に2回、集まっています。
第二日曜と第四日曜、30年間、活動してきました。
主に自然観察と清掃活動をやっています。
四季折々の野草を観察したり、
流域沿いの道で、ゴミ拾いや草むしりや笹刈りをしています。

「環境保全」って言ってしまうと、固く聞こえると思いますが、
「自分の暮らす地域の自然を守っていきたい」、
という想い、その1点だけが、私たちの原点になっています。
そこには思想も信条も関係ありません。
地元の環境をよくしたい、という気持ちは、みな、同じですよね。
そうして集まると、相互理解も深まっていきます。
そうやって仲間になっていくんですね。
それは、これからの社会のありかたでもあると考えています。

私たちの地元には、玉川上水があります。
それを地域の宝として守っていこうという想いなんですね。
100年後の子どもたちに残すことが、
いまを生きている私たちの使命だと思いますね。



「玉川上水の貴重な自然を保護して、東京の、環境保全のシンボルにしたい」
そんな想いに共感する輪は、どんどん、広がっています。

そして、この取り組みに賛同するグループのひとつが、
「チーム エナセーブ 未来プロジェクト」。
こちらは、ダンロップと日本ユネスコ協会連盟が協働しておこなっている環境保護活動です。
先日、玉川上水の環境保全の一環として、
土手の笹刈りや清掃活動、
遊歩道の草むしりがおこなわれて、番組も、参加してきました。




玉川上水の流域の土手には、1面、笹が伸びていました。
1年で1メートルも伸びるそうです。
そうなると、道端にも出てしまうし、鬱蒼とした林にもなってしまいます。

さらに、生い茂った笹をかき分けると、
空き缶やペットボトルなど、たくさんのゴミがありました。
ゴミは見えないところに集まるんですね。

いろんな意味で、定期的に、草刈りや笹刈りの管理が必要なんですね。



そして、玉川上水沿いの遊歩道では、草むしりをおこないました。
この時期におこなう理由があるんです。




1月や2月には、背丈が低い草が花を咲かせます。
それで、暖かくなってくるに従って、
だんだんと背丈が高い植物が花を咲かせるようになります。
秋になると1メートルのススキが伸びます。

10月のこの時期に草むしりをおこなうと、
1月2月に、地面から5センチもないような低い草花が出てきます。
草むしりをしないと、でてきません。
そんな理由から、いま、おこなうのが大切なんですね。




今回、活動をおこなった、「チーム エナセーブ 未来プロジェクト」。
こちらを推進されている方にもお話、伺いました。
住友ゴム工業株式会社 
タイヤ国内リプレイス営業本部 ファルケンタイヤ消費財部長 田原良信さんです。



「未来プロジェクト」は全国各地で行っている活動ですが、
実は、東京での活動はこれまで行ったことがありませんでした。
ただし東京にも自然はたくさんあります。
ここ玉川上水も、大都市で自然が守られているケースの1つです。
100年後の未来の子どもたちに美しい自然を残していきたい、
そんな思いから生まれた活動ですので、
ぜひ、東京の保全活動にも協力したいと思っていました。

「チーム エナセーブ」とはなにかというと、
DUNLOPの低燃費タイヤ「エナセーブ」シリーズの売上の一部を活用して、
私たちDUNLOPと、その商品を使うお客様が、
一緒になっておこなう環境保全活動のことなんですね。

具体的には、2つの活動をおこなっています。

1つはタイやインドネシアで、
100万本以上のマングローブの植樹を行っている
「チームエナセーブ GREENプロジェクト」。

そして、もう1つが、今日行っている活動、
「チームエナセーブ 未来プロジェクト」です。
これは、日本の美しい文化や自然を継承していくために、
日本ユネスコ協会連盟と協働して、
全国各地の方々と一緒に環境保護活動に取り組んでいます。

日本ユネスコ協会連盟が推進する「未来遺産運動」に協力して、
全国各地の活動に、
現地のダンロップ社員やその家族が参加していますし、
また、「エナセーブ」シリーズの売り上げの一部を使って、
支援もさせてもらっています。

未来プロジェクトは、今年で6年目を迎えました。
参加者からは、活動の成果が目に見える達成感があり、
有意義な時間が過ごせたという声だったり、
社内交流や家族交流の場としても、貴重な機会という声があります。
自然の中で一丸となって活動に取り組むので、
普段とは違う、コミュニケーションの場になっていると思います。

「100年後の子供たちへ」ということで、
美しい文化や自然を未来へ繋ぐ活動なので、
一過性のものとなってはだめですよね。
継続していくことが大切だと思っていますので、
ここ、玉川上水の取り組みも含め、
全国で、これからも社員一丸となって長く続けていきたいと思います。





東京にいながら自然の恵みと四季の移り変わりを感じられる玉川上水。
自然の中で一緒に活動をすると、
「よく知っているはずの仲間の、違う顔が見えてくる」という感想も多かったです。
「また、来たい」という声も多かったです。
なによりも、参加した子どもたちの楽しそうな様子が印象的でした。




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