みらい図鑑

VOL.131 「将棋盤」 愛知県

radikoで再生する


今回は、「将棋盤」の話題です。

愛知県名古屋市にある、将棋盤を作り続けて100年あまりの工房「三輪碁盤店」。
丸太の製材から仕上げまで、工房では、代々受け継がれた技と職人さんの情熱で、
長きにわたって確かな商品が作られています。

null



1年ほど乾燥させた木材を基盤の大きさに正確にカット。
表面を磨いたあと、盤の上に線を引いて仕上げていきます。




「将棋盤に線を引く」。
単純なようで、これが本当に難しいと語るのは、
「三輪碁盤店」、店主の三輪京司(みわ・けいじ)さんです。

「簡単にいうと、均一でなめらかな線が20本揃ったものが理想なんですが、
刀で引きますので、刀の速度がちょっと早くなれば細くなり、
ちょっと遅れれば太くなります。
20本、すべて均一に引くというのは、非常に難しいことなんですね。」



日本刀のようなヘラで盤に目盛りを引く「太刀目盛り作業」は、職人さんの腕の見せ所。
技量が問われる最も大事な作業です。
線の艶、キレ、滑らかさを兼ね備えた38本の直線は、熟練した職人さんの手によるもの。
この丁寧な仕事ができるかどうかによって、信用度も変わってくるんだそうです。



将棋盤づくりという世界に飛び込んで40年。
そんな三輪さんでさえ、理想の線を引くために、まだまだ、修行中と話します。
将棋に関わる”ものづくり”。
その醍醐味に魅了された後継者もいるそうです。

「藤井聡太さんのこの将棋のブームのおかげで、
今年の4月に、一人、若い方が入ったんですね。
そういう方に、今後、期待しています。」

藤井聡太さんの活躍で、注文の数が増えているという「将棋盤」。
どんなに高額な機械でも実現できない、正確な線が引かれた盤で指す将棋、
おのずと腕も磨かれそうですね。

VOL.130 「錫のタンブラー」 大阪府

radikoで再生する


今回の話題は、「使う伝統工芸品」。
錫のタンブラーです。
錫の器にお酒を入れると、角が取れて味がまろやかになるんですよね。



そんな錫のタンブラーを、ひとつひとつ手作業で作っている会社が大阪にあります。
昭和24年に設立、錫器の製作を専業とする会社、「大阪錫器」です。

経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定された、
「大阪浪華錫器」という300年の歴史を誇る伝統工芸品があり、
「大阪錫器」で作られる製品は、ほぼ全てがこの指定を受けています。

null


現代の名工、「大阪錫器」の今井達昌(いまい・たつまさ)さんのお話です。

「私は、人が手で持って使うものは、人が手で作ればいいんじゃないか、という考えで、
ものを作っています。
機械でスイッチを入れればできるものは、
0コンマ1ミリ、変更することもできないんですよね。
けっこう、みなさん、もっと機械化されていると思って見学に来られますが、
本当に手作りですね!と言われますね。」






0コンマ1ミリにも対応できる、ものづくり。
ですが、今井さん、「伝統工芸の価値は、時代に寄り添ってこそ。」とも語ります。

「私たちが作っている品物というのは、最低、20年、30年使っていただくことを前提に
作っています。
手間がかかって高いだけのものではダメなんですね。
伝統工芸品は止まったら終わり。
今の時代に合わせた新しいものを作って、それによって使ってもらえたら、
産業としても成り立っていきますよね。
うまく循環していけばいいのかなって思っています。」




30年使えるタンブラー。
こういうものがひとつ身の回りにあると、暮らしが豊かになりそうですね。


Prev [P.106/171] Next