みらい図鑑

VOL.129 「国産い草100%の子供用寝ゴザ」 福岡県

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今回の話題は、「ゴザ」です。
いまでは珍しくなってしまった、国産のい草だけを使った子ども用の「寝ゴザ」が、
福岡県の南部、大川市にある、「添島勲商店」で作られています。

日本のい草を使用して、
日本の職人の手により、
日本国内で生産。

それが、「添島勲商店」の理念です。



“日本のい草”といえば、熊本県八代市。
日本一の産地で、国産い草の97%を生産しています。

そんな八代産のい草を使用して、
添島勲商店では、福岡県の特産工芸品である、い草織りの最高級品「掛川織」をはじめ、
国産いぐさの製品を生産しています。

子ども用の「寝ゴザ」は、い草の気持ち良さを知らない現代の子どもに、
本物の心地良さを知ってもらいたい、との思いから製作が始まったといいます。

通常の掛川織に使われるいぐさの長さは130cm以上。
それ以下のものは以前は廃棄されていましたが、
そのいぐさを有効利用し、子ども用の「寝ゴザ」ができているんです。



「添島勲商店」、石橋直樹(いしばし・なおき)さんに伺いました。

「い草の最大の特徴といえば、夏の暑い、50度や60度になったビーチとか
アスファルトの上に、1枚置いただけで寝っ転がれるんですね。
水分も吸ってくれたり、空気も浄化してくれたり、
やっぱり、天然のエアコンと言えるのではないでしょうか。」

最近では、畳の部屋も少なくなっていますが、
ぜひ、若い方に国産のい草を体験してほしい、
そうすれば、その魅力に気づいてもらえると、石橋さんは話します。




「日本で大事に作られたい草で、日本で織り上げて、日本で加工したもの。
誰々さんが織り上げています、と、明確に答えられる製品を作っていますので、
そういうところで寝ていただきたいなと思っています。
あと、い草が持っている消臭能力がすごくあるので、汗をかいても臭くなりません。」

まだまだ続く寝苦しい夜に、国産のい草を使った「寝ゴザ」、一枚いかがですか?


VOL.128 「お香」 京都

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今回は、「お香」です。

仏様の前で香りを整える。
仏教の伝来とともに日本にやってきた「お香」。
その歴史は1400年を数えます。

「信仰の香り」は、いつしか「暮らしの楽しみ」となり、
香りそのものを楽しむもの、衣装棚に入れるようなもの、現代的な空間で楽しむもの、、など、
時代が変わっても、日本人の生活の中にはお香があります。



京都に本店を構えるお香の老舗、
「松栄堂」の代表、畑正高(はた・まさたか)さんにお話を伺いました。

「日本の香りっていうのは、学べば学ぶほど不思議なことがいっぱい出てくるんですが、
日本の香りを作るための素材というのは、じつは、国内には無くて、
海外に求め続けてきたというご縁があるんですね。
アジア諸国と交わりがあって、はじめて成立する日本の香りなんです。」

日本の文化がどういうものだったのかは、お香を通して知ることができる、
と畑さんは言います。

「100年も昔の人たちから伝えられて、私たちが、いま、享受しているもの。
それは、おのずと100年後に伝えなければいけない生活文化だと私は考えています。」




お香は、自然の贈り物。
しかし、お香の原料である香木は、環境の変化によって世界的に減っているといいます。

「天然素材のかけがえない説得力を活かし続けることが大事。
先人から受け継いだ技術を現代風に整え、未来に語るのが大事な責任。
それを保証するには自然環境の維持が大事です。
本質を見続けて、広い視野を持って日本の香りを届け続けたいと思っています。」

次の世代へと、お香を受け継いでいくこと。
それは、自然環境を大切にしていくことでもあるんですね。
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