みらい図鑑

Vol.125 「未来へつなげたいコウノトリが暮らす里山(前編)」 福井県越前市白山地区

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野生のコウノトリって見たことありますか?
とっても立派です。
よく、サギと間違えられますが、見分け方は簡単です。
同じように白い鳥ですが、
コウノトリは、翼の先端だけ黒い色をしています。

それから、体の大きさに対してくちばしが巨大です。
あとは長い足がピンク色なんです。

生態系のピラミッドの頂点に位置する鳥なんですね。
だから、コウノトリがいる、ということは、
必然的に、たくさんの生き物が暮らしていることになります。
豊かな生態系が整っている地域。
そういった場所だけに暮らす鳥がコウノトリです。




先週末、私たちは、“コウノトリが暮らす里山”に行ってきました!
福井県・越前市の白山地区です。
メダカにドジョウにトノサマガエル・・・。
こういった小さな生き物が、
ここでは、当たり前のように暮らしていました。

生き物たちが住んでいるのは、“田んぼ”。
正確には、かつて田んぼだった場所。
様々な理由で失われた田んぼに水たまりをつくって、
そこを、
小さな動物の住処にしているんです。

そんな白山地区には、生き物がたくさんいます。
野生のコウノトリも、
二羽、元気に暮らしているんです。




「越前の地にたくさんのコウノトリを呼び戻したい!」
そんな想いで活動を続けているのは、
地元のグループ、
「水辺と生き物を守る農家と市民の会」のみなさん。

会長の恒本明勇さんにお話を伺いました。



「コウノトリは、一度は、日本の空から絶滅しました。
餌になる生き物がいなくなったんですね。
でも、かつて、この土地にはたくさんのコウノトリがいました。
私たちは反省したんですね。
もう一度、戻ってきてほしいと思ったんです。
様々な取り組みをしたところ、
コウノトリが、頻繁に、立ち寄ってくれるようになりました。
とても正直ですよね。
私たちの取り組みを認めてくれたと思っています。
ドジョウ、フナ、いろんなカエル。
この土地の水田にはいろんな生き物が暮らしています。
それを餌として、
コウノトリが飛んでくるようになったんです。
もちろんまだまだです。
でも、着実に、成果が出てきています」



「たくさんのコウノトリが暮らす里山にしたい」。
そんな想いで活動を続ける「水辺と生き物を守る農家と市民の会」。
この活動は、数年前に、
「未来へ残していくべき“大切な遺産”」として登録されました。

日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」です。
未来遺産って、ご存知ですか?
公益社団法人日本ユネスコ協会連盟の青山由仁子さんに聞いてきました。



日本全国に、大切な自然も、残すべき文化も、ステキな町並みもあります。
どういったものを100年後に伝えるべきか。
自然や文化を未来へつないでいこうという取り組みがたくさんあるんですね。
そういった取り組みを登録しているのが、
「プロジェクト未来遺産」で、2009年にスタートしました。
いま、10年目。
全国の66箇所を登録しています。
そのひとつが、「水辺と生き物を守る農家と市民の会」の取り組みです。
いま、ここにはコウノトリが暮らしています。
野生が二羽、そして、飼育されているものが四羽いるんですね。
自然に優しい田んぼ作りをしたり、
ビオトープを作ったり、
そんな取り組みの成果としてコウノトリが戻っていています。

今日は、その活動のお手伝いをしています。
田んぼの水たまりなどは、
一度つくったら、定期的に管理をしなければなりません。
そこで、大人たちは草刈りをして、
生き物が暮らす環境を整備するための活動をしているんですね。
参加しているのは、
地域のダンロップの販売店のみなさんです。
この取り組みは、ダンロップと日本ユネスコ協会連盟が、
一緒になっておこなっている、
「チームエナセーブ未来プロジェクト」の一環です。
みなさん本当に楽しみながら活動しているのが印象的です。
この場所を好きになってもらえれば、
そういった気持ちが、
地域の自然環境を守る気持ちに繋がると思っています。



「未来へ向けて、コウノトリを呼び戻したい!」
今月おこなわれた活動には、
ほんとうに、たくさんの方が参加していたんです。



このつづきは、、、来週も引き続き、お送りします。

当日の様子は、ダンロップみらい図鑑のポッドキャストでもご紹介しています。
ぜひチェックしてくださいね。

Vol.124「駿河塗下駄」 静岡県

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日本古来の履物、「下駄」。
静岡県に伝わるのは、漆塗りの上にさらに蒔絵を施した、きらびやかな「駿河塗下駄」です。
桐の木を使った下駄に、さまざまな技法によって、いろんな絵や模様が描かれています。




「駿河塗下駄」は、明治のはじめから栄えた静岡の一大産業。
もともと、静岡では漆器生産が盛んだったこともあり、その技法を応用して生まれました。

昭和20年代から30年代は、静岡市の3分の1に近い人たちが、
下駄に関わる仕事をしていたそうですが、現在、職人さんは減少の傾向にあるといいます。

そんななか、伝統を次世代へ伝えたいと、ひとりの女性が奮闘。
駿河下駄職人の佐藤仁美(さとう・ひとみ)さんです。

「手法にもよるんですが、漆の下駄は下地から取り組むと1年以上かかるんですが、
普段ばきのカジュアルな染めの下駄は1ヶ月ほどで完成します。」という





大切にしていることは、「履いてくれる人のことを考えること」だと佐藤さんは語ります。

「どうしても下駄って、履いていて“痛い”というイメージを持たれますが、
足あたりがよくて、綿をふんだんに使った鼻緒なので、痛くなく、
快適に履いていただけると思います。
1年中、履いていただけるんですが、これから夏で裸足になるので、
開放的でとっても気持ちよく履いていただけると思います。」


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細かい模様を描けば出来上がるまでに1年かかる手作りの下駄。
1足1足、趣が異なるのもまた魅力です。

履いていて気持ちいい「駿河塗下駄」。
お気に入りの一足が欲しくなりますね。


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