みらい図鑑

Vol.101 「桜島の椿油」 鹿児島県

radikoで再生する


鹿児島県のシンボル、桜島。
北岳と南岳、2つの山が合わさった複合火山は、過去、歴史的な大噴火を繰り返してきました。



そんな土地だからこその名産があります。
実は、火山灰の土壌は、椿の生育に向いているんです。

薬も化粧品がない時代から、桜島に暮らす人々を守ってきたもの。
それが、「椿油」です。

鹿児島県は、東京都、長崎県に次ぐ椿油の産地。
鹿児島県で生産される椿油の約7割は桜島産なんだそうです。



NPO法人「桜島ミュージアム」の久木田智美(くきた・ともみ)さんに伺いました。

「個人的に、椿がいいなあと思うところは、一家に1本あれば、
全て、まかなえるようなオールマイティーなところがとてもいいなあと思っています。」

髪の毛や顔や身体のお手入れはもちろん、食用でもあり、また、鉄の錆止め、木のつや出しなど、暮らしに欠かせない自然の恵み、椿油。

地元の人々の手でひとつひとつ拾われた椿の実は、工場で搾って油を抽出します。





「噴火の映像を見たら、みなさん、慣れていないのでびっくりするとは思うんですが、
人が一回いなくなってしまっても、また、帰ってくるのが桜島の魅力です。
それは、火山灰土壌だからこその、火山の恵みを知っているから戻ってくるんですよね。
私もずっとそういう風に、自然と向き合いながら過ごしていきたいなと思います。」



桜島の火山と共存しながら、その恩恵を大事に頂く鹿児島の人々の知恵。
桜島の椿は、昔から変わることなく、今も良質の油を蓄えています。

オススメは、携帯にも重宝するハンドクリーム。
皆さんも1本如何ですか?

Vol.100 「オケクラフト」 北海道

radikoで再生する


面積の7割以上が森林にあたる北海道。
地域によって、広葉樹林や針葉樹林が広がり、かつ、
針葉樹と広葉樹が混じり合った森林があるのも特徴のひとつです。

そんな北海道の東部、オホーツク海に注ぐ清流「常呂川(ところがわ)」の源流に、
クラフトの町と呼ばれる町があります。

常呂郡置戸町(ところぐん・おけとちょう)です。

置戸町で学んだつくり手が北海道の木材を使い、
置戸町で製作する地域ブランドの木製品。ぞれが「オケクラフト」。



高速で回転させた木材に刃物を当てて削り、製品をつくる“木工ロクロ”という技法が特徴。
町には23もの工房があって、
そこから生み出される優しい丸みを帯びた木製の食器には、
全国に多くのファンがいます。




「オケクラフトセンター森林工芸館」で館長をつとめる、
五十嵐勝昭(いがらし・まさあき)さんに伺いました。

「私たちのオケクラフトで、いちばん多く使っているのはエゾマツという針葉樹です。
特徴としては、エゾマツの持つ独特な白い木肌の繊細な木目、
さらには、木のぬくもりや、白い木肌が持っている温かみというところでしょうか。」




食器の木肌が白い、というのは、雪国・北海道の木ならではですよね。
ぜひ、日常の暮らしに、オケクラフトを取り入れて欲しいと五十嵐さんは話します。

「それぞれの人の心に、豊かさを与えてくれる。
これが、私たちのオケクラフトではないかと思っているんですね。
オケクラフトの木のスプーンで食べる時、唇に当たる口触りが、明らかに違うんですね。
その口触り、肌触り、手触り、これを感じてもらえたら嬉しいなと思っているんです。」



学校給食でもオケクラフトの食器を使っている置戸町。

有り余る北の大地の恵みは、
人の手によってぬくもりのあるモノへと姿を変え、これからも生き続けます。

Prev [P.121/171] Next