みらい図鑑

Vol.99「秩父のメープル」 埼玉県

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今回は、「メープルシロップ」の話題です。
メープルシロップは、カエデの樹液を濃縮した100%天然の甘味料。
カナダ産というイメージが強いと思いますが、
実は国産ものもあり、それも、首都圏で作られているんです。

場所は、埼玉県・秩父の森。
日本には28種類のカエデがあり、
秩父には、なんとその7割以上、21種類も自生しているんだそうです。



樹液のシーズンは、1月から3月まで。
ポリタンクを担いで山に入り、秩父の山に自生するカエデの木から樹液を採取し、
40分の1に煮詰めることでメープルシロップは作られます。

「和メープル」と名付けられたメープルシロップ、どんな味なんでしょうか。

「味わいは、ちょっと黒糖のような風味もあったりして、
日本人の口に合う優しい甘さになっています。」

教えてくれたのは、メープルシロップづくりの取り組みをしている、
井原愛子(いはら・あいこ)さん。

メープルシロップを作る工場のことを「シュガーハウス」というのですが、
井原さんは、ただメープルシロップを製造するだけではなく、
カナダのシュガーハウスのように、楽しめるようなカフェにしたいと考え、
2016年に、国内初のシュガーハウス、「メープルベース」をオープンしました。

人気は、メープルシロップをたっぷりかけて味わうパンケーキだそうですよ!




井原さんは、商品開発だけでなく、
生まれ育った秩父で、”森の恵み”であるメープルの魅力を世界に伝えるべく、
エコツアーの企画なども行っています。

国土面積の67%が森という森林大国、日本。
一度、手を入れたものの、木が売れず、荒れたままになっている森もたくさんある中で、
秩父のカエデは、木を切らない林業のモデルとして、全国から注目を集めています。

「カエデの樹液やメープルっていうのはとっても魅力的なんですね。
五感で感じて頂けるものだと思います。
みなさまにも、ぜひ、日本の山や自然を感じてもらって、
楽しんでいただけたらなと思っています。」

Vol.98 「おやさいクレヨン」 青森県

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今日の話題は、「クレヨン」です。
クレヨンはクレヨンでも、色の名前は、赤や黄や青ではありません。
「りんご色」に「とうもろこし色」に「きゃべつ色」。
野菜の名前がついている、その名も「おやさいクレヨン」です。



本来なら、捨てられてしまうはずだった野菜を再利用して作られるこのクレヨン。

例えば、「きゃべつ色」の原料は、収穫の時に破棄される外側のキャベツの葉を利用。
「たけすみ色」は、処分される予定だった竹を中心に作られた、青森県内の竹炭を使用。




野菜を粉末にして、その野菜の色を表現し、
ライスワックスというお米から作ったワックスを使うことで、
ほぼ、100%植物由来のクレヨンが誕生しました。

原材料は全て食品なので、もし、子どもが口に入れてしまっても、
慌てずに済むということなんですね。



「おやさいクレヨン」を開発したのは、
青森県に暮らしながら、ご自身も子育て中のお母さん。

「mizuiro株式会社」、代表の木村尚子(きむら・なおこ)さんに伺いました。


「子どもたちが、色の名前を読み上げながら、
“りんご”とか言いながら匂いを嗅いだりしているんですね。
クレヨンで絵を描きながら、食について考える機会になったり、
野菜がどのように出来ているのかとか、背景まで知るきっかけになったらいいなと
思っています。」




「おやさいクレヨン」のカラフルで優しい色は、親子の時間にも彩りを与えてくれそうですが、
絵を描くことで、社会の問題を考えるきっかけにもつながる、と木村さんは言います。

「いま、世界的に色々と問題がある時代ですよね。
食糧もその一つだと思います。
どんどん便利になっている反面、無駄が多い、ということもあると思うんです。
一人一人が生活スタイルを変えるきっかけとなって、
社会が変わっていったらいいなと思っています。」

自然の恵みから誕生した安心安全な文房具。
それを使うことで、社会問題にも目を向けられる・・・。

「おやさいクレヨン」、プレゼントにも喜ばれそうですね。

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