みらい図鑑

Vol.89 「創業75年の老舗パン屋さん」 東京都

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東京、浅草・田原町(たわらまち)にある創業75年の老舗パン屋さん。
その名は「ペリカン」。

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ここで作っているのは、「食パン」と「ロールパン」の2種類だけ。
その変わらない味を求めて、日本全国からお客さんがやってきます。
朝の8時にオープンして、午前中には売り切れになります。

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お店の大半のスペースを占めているパンの棚には、
事前に予約をした方の取り置きの食パンがズラリと並んでいます。

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「ペリカン」の4代目、渡辺 陸(わたなべ・りく)さんに伺いました。

「やっぱり子どもの頃に美味しいって思ったものって、
大人になっても美味しいって感じるんじゃないかなと思うんですね。
おふくろの味じゃないですけど、
そういう位置にペリカンのパンがあるというのは、とても光栄なことだと思っています。
真面目に仕事をして、味を変えずに、
みなさんに美味しいって言ってもらえるパンをずっと提供していければなと
思っています。」

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戦後、浅草界隈にはパン屋さんの数がうなぎのぼりに増えたことで、
同業者での競り合いが頻発。

そこで、陸さんのおじいさんにあたる2代目が、総菜パンなどには手をつけず、
質の高い食パンとロールパン作りだけに力を注ぐことで、
他のパン屋さんとの棲み分けを図ったのだそうです。

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こだわりを守り続けて75年。
現在でも浅草の町で愛されている理由は、
「ここに来れば、変わらない味がある」という安心感。

「やっぱり、変わらないものを提供するためには、
こちらが変わることで、変わらないものが初めて提供できると考えているんですね。
仕込みとか、今日の天気、気温、室温、湿度、
そういったものを全て考慮して、
変化して、それで、出てくるものが変わらないものだと思うんです。」

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浅草の街で愛されるパン屋さんは、日々、変化しながら、
今日も変わらない味の食パンとロールパンを作り続けています。

Vol.88 「点字名刺」 埼玉県

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社会人の必須アイテムと言えば、名刺。
いろんなデザインがありますが、 “点字”が打ってある名刺、見たことありますか?

今回の話題は、「点字名刺」です。

「点字名刺」とは、お名刺に、視覚障がい者の方が点字を入れるサービス。

「視覚障害者の方が、1枚1枚、心を込めて点字を刻印していて、
それを1枚1枚使っていただくお客様にも、
新しいストーリーが生まれていくんじゃないかなと思っています。」

こう語るのは、埼玉県越谷市に事業所を持つ、
「ココロスキップ・点字名刺プロジェクト」、施設長の大政マミ(おおまさ・まみ)さん。



視覚障がい者の主な仕事は、“三療”とよばれている「針・灸・按摩(マッサージ)」。
ですが、障害の無い人でも働くことができるので、実情は狭き門となっているのが現状。

そこで、視覚障がい者の方にしかできない仕事を、
また、視覚障がい者の方が働くからこそ価値が生まれるものを、
との想いから、点字名刺プロジェクトがスタートしました。

視覚障がいを抱えている方にとっては、仕事を探すことは一苦労。
“点字“を名刺に打ち込むという仕事が、新たな雇用も生み出しました。



「点字名刺」は、もともと、視覚に障がいのある方に渡す為に利用されていましたが、
最近では社会貢献の意味から、障害の有無に関わらず、
点字名刺の受け渡しをする機会が増えてきているといいます。

7年前のスタート時は数えるほどだった注文が、今では、
「名刺交換をするときに会話が生まれる。」と、口コミで広がりを見せているのです。

「名刺に点字が入っているということが、
ユニバーサルデザインとして広がってほしいんですね。
そして、広がった先に、優しい社会へ繋がっていってほしいと思っているんです。」

点字名刺は、100枚1セットで1080円。
コミュケーションツールである名刺が、さらに幅広い可能性を与えてくれそうですね。
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