みらい図鑑

Vol.65 「ふくれ菓子」 鹿児島県

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今回は、鹿児島県ではおなじみの郷土菓子、「ふくれ菓子」の話題です。

「ふくれ菓子」とは、小麦粉、砂糖、重曹を混ぜて、せいろでふっくらと蒸し上げた、
黒糖風味の懐かしいおやつ。
鹿児島ではお母さんやおばあちゃんが手づくりする家庭の味なんだそうです。

そんな伝統の「ふくれ菓子」を新しいスタイルの蒸し菓子に発展させて、
お取り寄せスィーツとしてオンラインで販売している方にお話を伺いました。
「FUKU-RE」、代表・新保美香(しんぽ・みか)さんです。

「ふくれ菓子って、鹿児島の人、特に若い人にとってはあまりにも身近過ぎて、
食べなくなった郷土のおやつなんですよね。
でも、やっぱり郷土の味っていうのを絶やしたくないなと思って、
ちょっとモダンにアレンジした、ふくれ菓子っていうのを作って発信をしています。」

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ハレの日のスィーツにアレンジしたという「FUKU-RE」のふくれ菓子。
ギフトとしてワクワクできるようなものに仕上げられるのもスィーツの良さです。

昔ながらのふくれ菓子を知っている鹿児島の人は、このモダンなふくれ菓子を見て、
「あのふくれ菓子がこんなふうになったの!?」と喜んでくれるそうです。

そして、ふくれ菓子を知らない県外の人にとっては、
「そういえば、うちの地元にもこんなお菓子があるよ!」と、
地元の郷土菓子や食文化を思い返すきっかけになっているんだそう。

そういう話を聞くと嬉しい、と言う新保さんには、未来への“想い”があります。

「最終的には、昔ながらの本来のふくれ菓子が、おばあちゃんから次世代に、
またその次の世代に受け継がれていくように、
そのきっかけづくりになればいいなと思っているんですよね。」

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「FUKU-RE」のふくれ菓子を食べることがきっかけになって、
家庭で作るお菓子の良さをまた再確認する。
世代を越えて家族をつなげるお菓子の夢は、どこまでもふくれていきます。

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Vol.64 「昔ながらの里山が残る“久保川イーハトーブ世界”」 岩手県一関市

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宮沢賢治は、自分が思い描く理想郷を、
「イーハトーブ」という言葉で表現しました。
現代にも理想郷はあるのでしょうか?
じつは、あるんです。
岩手県の一ノ関市を流れる久保川の流域です。

信じられないほど豊かな生態系が残っている土地を、
100年後を生きる子どもたちに残したい、
そんな想いから、
このエリアは「久保川イーハトーブ世界」と呼ばれています。

今週は、日本の理想郷。
岩手の一ノ関市へトリップしてきました。

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「川の流域の、たった9キロのあいだに、トンボが70種類います。
上流には、およそ600のため池があり、
その水辺環境の中にはたくさんの水生昆虫もいるんですね。
生物多様性の豊かな所が、こういうふうに、
点ではなくてエリアとしてある、そこに意味があるんです」

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お話をしてくれたのは、
久保川イーハトーブ自然再生協議会の代表、
千坂げんぽうさんです。

たしかに、点ではなく、エリアとして、
豊かな自然が残っているというのはすごいですよね。

生物の多様性に富んだ、美しい里山の風景は今も残っていますが、
とはいえ、近年、高齢化によって農家が減り、
耕作放棄地が増えてしまい、
さらにはウシガエルなど外来種が増えてきた影響もあって、
久保川の流域の生態系は、
徐々に、脅かされて始めているそうなんです。

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「わたしがここに来た18年前は、赤とんぼがたくさんいました。
農薬の影響もない時代に比べると、
だんだん、水辺の環境が悪くなってきているんですね。

そして、久保川の流域の上流には、ため池が600もあるんですね。
ため池があるおかげで、棚田でたくさんのお米を作ってこれたわけです。
そんなため池に、外来種のウシガエルが増えています。
どうなるかというと、
もともとこの土地に暮らしてきた他の生き物が食べられてしまいます。
そうならないように、
さまざまな対策をしているところです。

里山というのは人間が創り出す自然ですから、
かつての農家の方々が担ってきた仕事の代わりをすることで、
100年後の子どもたちへ、
動物がたくさんいる自然を残していきたいなと思います」

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そして、自然豊かな岩手の里山を未来へ残していこうというこの取り組みに、
「チーム エナセーブ 未来プロジェクト」も賛同しています。
ダンロップと日本ユネスコ協会連盟が協働しておこなっている環境保護活動です。
このプロジェクトを推進している、
住友ゴム工業株式会社 執行役員 タイヤ国内リプレイス営業本部長 
増田栄一さんのお話です。

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「チーム エナセーブというのは、
低燃費タイヤ「エナセーブ」シリーズの売上の一部を活用して、
DUNLOPとその商品を使用されるお客様とが、
一緒になって行う環境保全活動のことなんですね。
具体的には、タイやインドネシアで、
100万本以上のマングローブの植樹を行っている
「チームエナセーブ GREENプロジェクト」がありますが、
今回のように、日本ユネスコ協会連盟と協働で、
日本の美しい文化や自然を継承していくために、
全国各地の方々と一緒になって環境保護活動にも取り組んでいます。

「チームエナセーブ 未来プロジェクト」として、
毎年、全国で活動をおこなっていて、
この久保川の流域の里山を保全しようという活動もその一環なんですね。

私自身も東北で長い間で働いてきましたので、
お世話になった東北の美しい自然を守る活動に参加できてうれしいです。
この久保川の里山では、
過去、ため池の中に浮島を作る活動にも参加しました。

これからも、この美しい風景や自然を未来へ繋ぐお手伝いがしたい、
というように考えています」

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未来へ向けて、自然豊かな里山をつくっていこう!
そんな取り組みの一貫として、
活動の当日はあいにくの雨模様だったものの、
有志の方々を中心に、
ため池を外来種から守るための浮き島づくりをおこないました。

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また、集まった子どもたちは、
このエリアに生息する生き物を観察して驚きの声をあげていました。

ふたたび、千坂げんぽうさんのお話です。

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「人間が作った自然、人間が働きかけた自然ですから、里山は。
まず、来て、感じ取ってもらいたいです。
そこから、人間の生き方も感じ取ることができるような、
そういう状態に、
なってほしいなと思っています」

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まずは来てほしい。
そこで、人間の生き方を感じてほしい。

そうお話する千坂さんの言葉、とってもよく理解できました。
宮沢賢治の愛した岩手の里山。
「久保川イーハトーブ世界」、
しっかりと、未来へとつないで行きたいです。

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