みらい図鑑

Vol.45 「雪合戦」 北海道

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今回のタカラモノは「雪合戦」。
子供の遊びと思うなかれ、実は、本気でやりだすと相当熱くなれるスポーツです。

日本各地でも毎年大会が行われていて、日本から始まったウインタースポーツとして、
世界中に知られています。



スポーツとしての「雪合戦」には、明確なルールが定められています。
1チームあたり、競技者7名、補欠2名、監督1名というのが最低構成メンバー。
この人数を下回ると大会への出場が不可能になります。

そして、前衛のフォワードが4名、後衛のバックが3名という構成はどのチームも固定で、
ミッドフィルダーがいないサッカーの布陣のようになります。




1試合あたりの制限時間は3分で、3セットマッチ。
1チームが1セット中に使用できる雪球の数は90個と制限があり、
試合前に専用の器具で作り置きしておきます。

手元の球が足りなくなったからといって、周囲にある雪を集めて作った場合は失格、
即退場となります。



一般社団法人「日本雪合戦連盟」、会長・千田重光(ちだ・しげみつ)さんに、
「雪合戦」の魅力を伺いました。

「勝敗に関係なく仲間意識が自然と生まれてくる雪合戦。
そして、雪があれば、その雪を使って誰でも楽しめるので、だったらやろうよ、
というのが、雪合戦が広がっている一つの理由じゃないかなと思っています。」



勝敗に関係なく仲間意識が生まれてくる、、
そんな雪合戦のルールは、海を越え、海外でもたくさんの国で親しまれています。

「冬のスポーツとして、グループでゲームを楽しむ競技がだんだん無くなってきていますよね。
スキーですべったりスケートをやったり、単独の競技はありますが、
この雪合戦は、子供たちが外に出て遊ぶというきっかけづくりになっていくんですね。
それが輪を作っていく。ずっと未来永劫続いていくんじゃないかなと思っていますね。」



雪がある限り、永遠に続いていく究極のエコスポーツ、「雪合戦」。
この冬、皆さんも雪を丸めてみませんか?

Vol.44 「浜松凧」 静岡県

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日本の正月の風物詩のひとつ、凧揚げ。
凧づくりの産地、静岡県の浜松市からのタカラモノです。

子どもたちの健やかな成長を願って、地域みんなで祝う市民のお祭り、
「浜松まつり」で行われる風習が「大凧揚げ」。その歴史はおよそ470年にもなります。

174か町が参加。畳二畳から十畳、3メートル以上もある大凧に、
家紋や町印、子どもの名前を書いて空高く揚げる「凧揚げ合戦」は、
優雅さやデザインも競われ、凧による町内対抗戦や糸切り合戦も行われます。



江戸時代から続く、凧造りの老舗、『上西すみたや(かみにし・すみたや)』の10代目、
大隅文吾(おおすみ・ぶんご)さんのお話です。

「昔はですね、もう家の前にいっぱい田んぼや空き地がありましたので、
お正月なんかには、小さな凧を上げて、
将来、大きな凧を上げられるように技術を磨いていたんですが、
最近は田んぼがない、空き地が無い、
凧あげに触れるチャンスが子どもたちに無いのが残念です。」

空き地がない。
そして、多くの公園でも禁止されていることから、
凧揚げで遊ぶ子供たちはずいぶん減ってしまいました。
それでも大隅さんは、新しい年を迎えたら、ぜひ、凧を揚げてほしいと話します。



「団体行動よりも、ひとりひとり行動してしまうこの世の中にですね、
ひとつの目標に向かって、普段は顔も合わせないようなみんなと同じ方向をむいて、
一つのことをやり遂げるのは素晴らしいことだと思いますね。
普段は気が付かなかった空の青さとか、
違う世界があるんだということに気が付く、いいきっかけになるんじゃないかと思います。」

風の強さに対しての糸目の角度や紐の調整など、
凧を上手くあげるもあげないもバランスが大事。
色んな事を考えてバランスを取るのは人生と同じだと、大隅さんは語ります。

空を見上げると、新しい世界が開けてくる。
吹いてくる風が人生の追い風となることを願って、
新年、誰かを誘って凧揚げに出かけてみてはいかがでしょうか?

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