みらい図鑑

Vol.39 「活版印刷」 長崎県

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今回のタカラモノは、「活版印刷」。
活字を1文字ずつ原稿に沿って拾い、版を作り、圧をかける。
5世紀前にヨーロッパで開発された印刷法です。




日本で最初に伝わったのが長崎。
日本における活版印刷は長崎から始まりました。

舞台は、長崎県 五島列島の北端に浮かぶ小さな島、小値賀島(おぢかじま)。

「魚のお礼に野菜をどうぞ」。
そんな物々交換が日常茶飯事のこの島に、昔ながらのステキな印刷屋さんがあります。

活版印刷にこだわって100年以上。
「晋弘舎活版印刷所(しんこうしゃ・かっぱんいんさつじょ)」。
4代目、横山桃子さんのお話です。

「表面が凸凹していたりとか、インクの匂いだったり、ちょっとかすれていたり。
完璧じゃないからこそ、人間味を感じるような印刷物なんですね。
やっぱり出来上がった時に、人のぬくもりを感じるなって。」



同じように見えて、1枚1枚、違う表情を見せてくれる。
便利であることが当たり前な時代にあって 完璧じゃないことが価値を生んでいます。

「活版印刷って時間がかかるからこそ、豊かな表情を見せてくれる印刷物で、
さらに、100年、小値賀で続いたからこそ、
人に伝えられる魅力が生まれているのかなと思っています。」



人と人のつながりが大切にされている島だからこそ、人のぬくもりを感じられる印刷物が
愛されているんですね。

便利になりすぎているがゆえに、便利でないものに惹かれる・・・。
人肌のような活版印刷のぬくもりが、これから先も冷えることなく続いていきますように。

Vol.38 「畳」 熊本県

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古くから日本人の暮らしを支えてきた「畳」。

その原料は「いぐさ」という植物なんですが、いぐさの生産量日本一を誇るのが熊本県。
全国の約9割の生産量を占めています。
いぐさを知り尽くした職人さんも多く、「熊本産」ということ自体が畳のブランドにも
なっています。



ですが、和室離れや畳離れが進む今の日本の住宅事情により、年々、生産量も減少。
かつては6000軒あったのが、現在では500軒になってしまいました。

そんな熊本で、変わらぬ想いで畳を作り続けているのが、
創業114年の老舗畳店、「一畳屋(いちじょうや)」。
亀井光子(かめい・みつこ)さんにお話を伺いました。

「いま、畳の香りを知らない子どもたちがたくさんいます。
小学生にいぐさの香りをかがせたところ、最初、“くさい”って言われて
ショックを受けました。
だけど、お話をしてから、もう一度かがせると、“いいにおい”って言ってくれるんですね。今までは畳を作ることだけが畳屋さんだったと思うんですが、
畳を好きになる人を増やせていけたらなって思います。」

畳の香りを知らない子どもたち。
ですが、知る機会があれば、好きになってくれる。
そうしたことから、工場見学や職場体験などにも力を入れているんだそうです。




「畳の文化自体は、私たち日本人の心の中に根付いていて、
家族の輪であったり、和風の輪であったり、
和の文化というものを、畳を通じて発信していきたいなと思います。」

弾力性・調湿性・耐久性、さらにはリラックス効果など、
様々な効能があると言われているいぐさ。
そんないぐさから作られる畳の上で、ごろ寝したり、家族の団らんがあったり、、、
畳は日本人の生活の一コマを、より豊かなものにしてくれる名脇役。

伝統文化としての側面だけではなく、生活習慣の中にある畳。
安らぎの空間となるような、そんな部屋づくり手伝いたい。
亀井さんの想いと挑戦はこれからも続きます。
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