みらい図鑑

Vol.37 「マム」 愛知県

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「マム」。皆さん、ご存知でしょうか?
「マム」と言われて、なんだろう?と思う人も、「菊」といえば、誰もが知ってる花。
それが今回のタカラモノです。

菊というと、日本では墓花、仏花、葬式花などのイメージがありますが、
世界でのマムは、お祝いの花束、誕生日の贈り物などで親しまれていて、
日本とは真逆のイメージなんだそうです。



「菊」ではなく世界共通の「マム」と呼ぶことで、
新たなジャンルの花として日本人にも興味を持ってもらえるようにとの思いを込めて、
マムを生産している会社が、全国シェア1位を誇る菊の産地、愛知県の田原市にあります。

「ジャパンフラワードリーム」、藤目健太(ふじめ・けんた)さんのお話です。

「マムは、学術名で“クリサンセマム”という名前で、“黄金の花”という意味なんです。
グリーンや紫、赤など、海外では普通にブーケに使われたり、
贈り物や花束に使われたりする花なので、ダリアやバラなどと遜色なく使われています。」



「ジャパンフラワードリーム」で生産しているマムは、
結婚式の装飾やアレンジメント、ブーケの添え花などで活躍。
色や咲き方もバリエーションが豊富で、品種も数百種類もあるんだそうです。




色とりどりで美しく、長持ちもする、そんなマムをぜひ日常に取り入れて欲しいと、
藤目さんは話します。

「やっぱり花っていうのは人間というように生きていて、
いろんな場面で、花、生き物を飾ってもらうと、
心が豊かになったり、心を落ち着かせたりするのではないかと感じるんですよね。
100年後も花の文化は続いていくと思いますし、
これが無くなったらちょっと寂しいかなと思っています。」

日本を象徴する国花「菊」が海外に渡り、品種改良されて「マム」という名前で
再び日本で新しいニーズに応える・・・。
マムはきっと、100年後の人々にも笑顔の花を開かせてくれることでしょうね。

Vol.36 「赤べこ」 福島県

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頭をポンと押すと、首から上がゆらゆらと揺れる牛の民芸玩具、「赤べこ」。
福島県・会津地方のシンボルです。



牛のことを「べこ」と呼んでいる会津地方のお話です。
今から1200年程前、あるお寺を建てる際、巨大な材木運搬に使われた牛や馬が、
けわしい道のために数多く倒れました。
そのとき、最後まで働き通したのが赤い(茶色い)牛だったことから、
子供が誕生したら「べこ」のように、重荷に耐えて健康で元気に育つように、と、
「赤べこ」の張り子玩具をお祝いにしたんだそうです。

以来、会津のシンボルとなり、「幸せを運ぶ牛」、「子どもの守り神」として、
多くの人に愛されてきました。

そんな「赤べこ」を作り続けて50年、「荒井工芸所」、荒井美枝子(あらい・みえこ)さんに
伺いました。

「機械で作るならポコポコ出来るんですけど手仕事なので、
本当に根気と努力しかないので、やっぱり真心を込めて、子どもの元気な将来を願って
作っているんですよね。
それが、今も伝えられていることだと思うんです。」



「赤べこ」づくりは大変な作業です。
まず、大きな角材を小さくして、その大きさに型を作り、そこに油を塗って紙を貼っていきます。それを乾かしたら背中を切って型から出します。
その型から出したものが“張り子”になります。



そこに背中をもう一度貼って元に戻して、胡粉を塗って赤く塗り、絵を書いて首をつけて、
頭が振るように仕上げていきます。



「嫌なことがあった時にポンと首を振って、
“うんうん、私は知っているよ、あなたが大変だったことを”って、
赤べこが言ってくれる気がして。
癒やされるというか、なんかそれだけで気持ちがスッキリするような、
そういう赤べこであってほしいなと思って作っています。」

無心になってみんなの幸せを願う「赤べこ」。
未来を見つめて元気に生きていけば、
100年後の「赤べこ」も今と同じように“うんうん”と首を振ってくれる・・・。
そう思いませんか?

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