VOL.277「MADE IN 広陵町の靴下」

日本一の靴下の産地、奈良県・広陵町。
かぐや姫でおなじみ、
「竹取物語」の舞台になった町としても知られています。

もともと、広陵町やその周辺のエリアは、
江戸時代初期に、「大和木綿」や「大和絣」と呼ばれる織物の産地として栄え、
本格的に靴下づくりが始まったのは、100年以上も前。
現在も多くの靴下工場があり、
それぞれの職人さんが、こだわりの“ものづくり”をおこなっています。

地域の靴下づくりの文化を未来へと伝えたい。
そんな思いで、
数年前に「ROTOTO」という靴下ブランドを立ち上げたのが、石井大介さんです。
石井さんが最も大切にしていることは、
靴下職人さん、一人一人との話し合い。
とことん穿き心地と素材にこだわり、
無数にある糸、そして、昔ながらの編み機と最新の編み機を駆使し、
職人さんが理想の形へと仕上げています。

「靴下のものづくりの醍醐味は、糸と糸の掛け合わせなんですね。
たとえばコットンとリネン、ウールとナイロン、
それから、シルクとコットンだったりですよね。
いろんなものを掛け合わせて、
素材と素材の良さを兼ね備えた生地を作って、
新しい履き心地を作っていくのが楽しいですね。」


ビジネスソックスから、カジュアルソックス、
スポーツソックス、介護用のソックスなど、
靴下と、ひとくちに言ってもその種類はさまざまです。
そして工場もそれぞれに得意な分野がある、と石井さんは語ります。
「ぼくが作ったもの、というよりも、
周りの工場と一緒に作ったものだと思っています。
自分が住んでいる奈良県で、ものづくりをして、
それが地域の人にも、そして、世界の人にも履いていただいているというのは、
不思議なことで、そして、嬉しいですよね。」

「made in Japan」だけでなく、
「奈良県産」と書かれている「ROTOTO」の靴下。
“一生愛せる消耗品”をコンセプトに、
奈良の文化を世界に発信し続けています。