みらい図鑑

VOL.218「肥前吉田焼」

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400年の歴史を誇る焼き物、「肥前吉田焼」の産地として知られている、
佐賀県嬉野市。

大小10を超える数の窯元があるこの地域で、
「水玉模様」の器を製造するのが、「副千製陶所(そえせん・せいとうしょ)」。

「掻き落とし」という技法によって、
熟練の職人さんが、回転するドリル状の道具を使い、
ひとつひとつ手作業で“掻き落とし”て、水玉を作っていきます。

プロの職人の腕があってもなお、毎回が真剣勝負という「掻きおとし」の水玉模様。
そのポップなデザインが人気を呼び、
2010年には、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しました。

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評価を受けたのは、柄のポップさだけではありません。
「ユニバーサルデザイン
(=障害の有無に関係なく、多くの人々が利用しやすいようなデザイン)の食器」としても、
注目を集めています。

その理由は、丸い部分を“削って”作るというところにあるようです。

「副千製陶所」、代表の副島謙一さんに伺いました。

「結果的なんですけどね。
意図したわけではないんですが、“掻き落とし”の水玉模様は、
例えば、視覚に障がいがある方でも、
触っただけで自分のものだと簡単にわかる形になっているんですね。
また、手が少し不自由でも、持ちやすい、と言っていただけます。」

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水玉模様は「ドット」と呼ばれ、世界中で愛されているパターン柄。

愛着のあるこの柄を、伝統の模様として器全体に施していくことで、
若い人たちの、焼き物への関心を底上げできるという副島さん。

「若い方々には、焼き物って、敷居が高そうな感じで受け取られているんですが、
焼き物に対する入門編というか、こんなポップなものもあるんだな、と思って、
入ってもらえるといいなと思っています。
それで、自分の生活がランクアップしたら、こういう焼き物も使ってみたい、というように、
生活のトータルなデザインのひとつとして考えて欲しいな、と思っています。」

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こだわりの食器がひとつ食卓に加わるだけで、
家時間も華やかになりそうですね。

VOL.217「こいのぼりのリメイクバッグ」

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こどもの日に空を泳ぐ、「こいのぼり」。

子供が大きくなって、捨てるに捨てられず、家のどこかにしまったまま。
そんなご家庭も少なくないのではないでしょうか?

徳島県・上勝町(かみかつちょう)にあるリメイクショップ「くるくる工房」では、
使われなくなったこいのぼりの生地で、
1点もののバッグをはじめとする、さまざまなリメイク商品を作っています。

目玉があって、鱗があって、色も鮮やか。インパクトは抜群!

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「くるくる工房」、藤井園苗(ふじい・そのえ)さんに伺いました。

「私たちの町には、大きな川が流れているんですね。
使われなくなったこいのぼりを全国から集めて、
川にたくさん掛ける、というお祭りを毎年、やってきました。」

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高齢化率が50%以上という上勝町は、
町民が、生きがいを持って暮らすことを大切にしている町。

こいのぼりのリメイク品づくりは、その活動の一環としてはじまったといいます。

「破れてしまっていたり、泳がせるには厳しいものも、たくさんあります。
廃棄せざるを得ないものが、たくさん出てきたなかで、
なにかこれを活かせないか、と考えたんですね。
そこで、生活の知恵を持っている地域のおばあちゃんたちに、相談したことが始まりです。」

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こいのぼりの、目の部分を使ったり、鱗の部分を使ったり、
切り取る場所で、雰囲気が変わってくるのもおもしろいところ。

“伝統的な柄”と、受け止められることも多く、外国の方にも人気だそうです。

「ここで作っている、こいのぼりのリメイクバッグを買っていただくのは、
だいたい若い方なんですね。
世代間交流というか、いろんな人と交流できるきっかけを持てる、ということが、
ひとつひとつ作っているおばあちゃんたちにとっては、
なにより、嬉しいことなんだろうなと感じています。」

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かつて、どこかの空を泳いだ「こいのぼり」。
そこから、ひとつひとつバッグに仕上げていくのが、地元のおばあちゃんたち、
というのが、またステキですね。
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