みらい図鑑

VOL.166「和菓子職人が作るラムネ」

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富山県の高岡市にある、創業180年の老舗和菓子屋、「大野屋」。



和菓子の面白さを若い人に知って欲しいと、
5年前、幅広い世代に人気のお菓子、「ラムネ」を手掛けるようになりました。

ただのラムネでは職人のプライドが許さない。
「大野屋」がつくっているのは、和菓子の文化を感じさせるラムネ、「高岡ラムネ」です。




季節を彩るさまざまな花で型抜きした「花尽くし」や、
縁起物を型抜きした「宝尽くし」。

大野屋が歴史の中で使ってきた“木型”を使い、
季節や地域の行事に合わせた美しい形に仕上げることで、
奇抜なものではなく、昔ながらの日本文化を伝えています。



素材にもこだわっている「高岡ラムネ」。
和菓子屋ならではのこだわりとは、どんなところなのでしょうか?

「大野屋」の大野 悠(おおの・ゆう)さんにお話を伺いました。

「素材に、通常だったら化学的ないろいろなものが入っているところを、
和菓子屋に馴染みのある素材として、
主に富山県産のコシヒカリの米粉を使ったり、
香料も一切使わずに、国産のイチゴや国産の生姜を使って、
自然なもので香りづけをしています。」



和菓子の魅力を、次の時代へと伝える「高岡ラムネ」。
そのお味についても伺いました。

「和菓子職人が一つずつ、手で木型を使って作っているので、
とても口どけがふんわりと柔らかく、
ほんのりやさしい甘みが、口に広がるように仕上がっていると思います。」

おいしく、気軽に手に取れるラムネを通して、和菓子の文化や歴史的な背景を知る。
日本ならではの楽しみですね。

VOL.165「長野県 木曽檜のまな板」

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日本が世界に誇る木材、「木曽檜」で、
暮らしに欠かせないモノヅクリを続ける会社があります。

長野県・木曽郡にある「株式会社 山一」。
木曽産の「ひのき」を素材に、まな板などの木製品を製造・卸売をしています。

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「包丁が主役なら、ぼくが作っているのは脇役です。」と話すのは、
「株式会社 山一」、代表の柴原 孝(しばはら・たかし)さん。

良いまな板は、素材の「木目」が左右するといいます。

夏でも寒い木曽の気候によって、密度の細かい緻密な“木目”ができる木曽檜ですが、
木目の色が濃い部分は冬に育ち、薄い部分は夏に育ったところ。
この2つの間隔が緻密なほど、刃渡りが均一になり、
包丁の働きが良いまな板ができるんだそうです。

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「わたしたちは、少しずつ丁寧に作りながら、
あるいは、メンテナンスという削り直しをさせていただきながら、
長い時間、使ってもらいたいと思っています。」

量産はできないけれど、1つ1つ丁寧に作り、
そのあとのメンテナンスもおこなっている「株式会社 山一」。
木曽の工房まで送れば、削り直し後、新品同様になって手元に返ってきます。

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※まな板削り直し前
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※まな板削り直し後

機能性が良く、長く使える「木曽檜のまた板」ですが、
その魅力は他にもあると柴原さんは言います。

「香りですね。木曽檜の香りはとってもいい香りです。
森林浴という言葉の発祥の地は、
木曽の御嶽山のふもとにある、赤沢自然休養林というところなんですよ。」

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木目が緻密なほど刃渡りが良くなるので、
木曽檜のまな板には樹齢200年のものを使うそうですが、
近年、“良い木”は減ってきているといいます。

“高樹齢のモノ“のブランド力を守るためには、高品質のものを慌てて準備しない。
細く長く続けることで、未来にバトンを繋いでいきたいと柴原さんは語ります。

「長い歴史の中で、木のまな板というのは育てられてきて、
暮らしの中に根付いているものですから、
わたしたちは、それを絶やすことなく、
次の世代にも伝えていかなければならないと思っています。」


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