VOL.152「江戸小紋」 愛媛県
今回の“１００年後の地球へ語り継ぎたい、日本全国のタカラモノ”は、
「江戸小紋（えどこもん）」。
伝統的な着物の染色技法です。
この技を受け継ぐ、数少ない職人の一人が、愛媛県にいます。
小紋師（こもんし）の��永早映さん。
非常に繊細な「江戸小紋」を伝えるべく、
故郷の愛媛で、「伊予小紋（いよこもん）いちよう」という染めの工房を構えています。
「遠くから見ると無地に見えるほど、すごく細かい柄の染めになります。
５０回から１００回ぐらい、繰り返して、柄をつけていきます。
ただ、無地に染めているわけではないので、色の見え方が光の加減で変わっていくんですね。
それは、すごく魅力だと思います。」
13メートル以上の生地を使い、伊勢型紙という型紙で仕上げていく「江戸小紋」。
色糊を乗せ、蒸して、色や柄を浮き上がらせます。
染め方自体は室町時代からあったという型染めですが、
江戸時代、町人などが好んで着るようになって、細かい柄が誕生。
大根などの野菜や、一富士二鷹三茄子、ということわざを組み合わせた柄など、
江戸の“粋”を感じさせる文様があり、
人の洒落っ気や風景、道具など、いろんな柄が落とし込まれています。
江戸小紋を持ち帰り、愛媛で工房を構える徳永さん、
愛媛県西条市ならではの柄を作り、もっと多くの人に広がっていけば、と語ります。
「子どもたちに見てもらう機会が増えると、
“こういう仕事もあるんだ”と思ってもらえるようになると思うんですね。
そうして、江戸小紋が残って行くといいなと。
元々あるものを受け継いでいくために、
本当に少しずつですが、コツコツとやっていきたいなと思っています。」
着物にしたときに前に出過ぎず、
合わせる小物でいろんなシーンで着られる「江戸小紋」。
遠くから見ると無地、近くで見ると模様がきちんと見える奥ゆかしさ、
しっかりと未来へ残っていくといいですね。
