みらい図鑑

VOL.128 「お香」 京都

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今回は、「お香」です。

仏様の前で香りを整える。
仏教の伝来とともに日本にやってきた「お香」。
その歴史は1400年を数えます。

「信仰の香り」は、いつしか「暮らしの楽しみ」となり、
香りそのものを楽しむもの、衣装棚に入れるようなもの、現代的な空間で楽しむもの、、など、
時代が変わっても、日本人の生活の中にはお香があります。



京都に本店を構えるお香の老舗、
「松栄堂」の代表、畑正高(はた・まさたか)さんにお話を伺いました。

「日本の香りっていうのは、学べば学ぶほど不思議なことがいっぱい出てくるんですが、
日本の香りを作るための素材というのは、じつは、国内には無くて、
海外に求め続けてきたというご縁があるんですね。
アジア諸国と交わりがあって、はじめて成立する日本の香りなんです。」

日本の文化がどういうものだったのかは、お香を通して知ることができる、
と畑さんは言います。

「100年も昔の人たちから伝えられて、私たちが、いま、享受しているもの。
それは、おのずと100年後に伝えなければいけない生活文化だと私は考えています。」




お香は、自然の贈り物。
しかし、お香の原料である香木は、環境の変化によって世界的に減っているといいます。

「天然素材のかけがえない説得力を活かし続けることが大事。
先人から受け継いだ技術を現代風に整え、未来に語るのが大事な責任。
それを保証するには自然環境の維持が大事です。
本質を見続けて、広い視野を持って日本の香りを届け続けたいと思っています。」

次の世代へと、お香を受け継いでいくこと。
それは、自然環境を大切にしていくことでもあるんですね。