みらい図鑑

VOL.175「越生うちわ」

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埼玉県のほぼ中央にある越生町(おごせまち)。
江戸時代から「うちわ」の生産で有名な地域です。

「越生うちわ」と呼ばれるこのうちわ、
持ち手の部分は平らで、仰ぐ部分が横一文字になるので、一文字うちわとなるのが特徴。

肩の部分から上に高く引っ張り上げて骨を編んでいくのですが、
高く引き上げながら編むことで、貼りが強くなり、強い風が起こせます。

さらに、柿渋を塗り、強度を増したことで、
七輪などのかまどに風を送る“お勝手道具”として、昔から重宝されてきました。

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※1950年代の店内

材料となる、竹や紙、いぐさが地域でとれていたことで、生産が盛んになった「越生うちわ」、
明治時代には、1年間に240万本が作られていましたが、
時代の変化とともにそのニーズも減少。

現在、その伝統を受け継いでいるのは、たった1軒だけとなっています。

それが、「うちわ工房・しまの」。
工房では、「オリジナルうちわ作り体験」もおこなっています。

5代目・島野博行(しまの・ひろゆき)さんのお話です。

「自分でデザインして貼り込んだうちわであれば、
うちわのファンになってくれると思ったんですよね。
そのファンづくりの一環として始めたんですよ。」

昔の用途に合わせて強度に特化したものだけでなく、
押し花を入れたり、和紙を貼ったり、、、気に入ったデザインのうちわを作ることで、
愛着がわき、身近において楽しむことができます。
「夏の赤いもみじと緑のもみじ。
押し花を集めまして、それを入れてもらうようにしているんですね。
完成した時は、皆さん、凄くいい顔をされるので、こちらも本当に嬉しいんですね。
そんなことで、ずっと、うちわ貼り体験をしています。」

あおげば風が生まれるのはもちろん、
そこにあるだけで、風を感じることができるのがうちわの魅力。

家にうちわを一本置く。
それだけで、夏の体感温度が変わるかもしれませんね。