みらい図鑑

VOL.220「おつな」

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東京・世田谷区にある、自家製の「ツナ」を売るお店、「おつな」。

「えごま大葉味噌」、「島唐辛子」、「ポルチーニ」など、
店頭には、12種類の味をまとったツナのビンが並んでいます。

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「おつな」の店主、関根仁(せきね・ひとし)さんは、もともと小料理屋のオーナー。

その日に残ったマグロで「ツナづくり」を始め、「最高のレシピ」を追求。
ツナ一本で勝負するために、小料理屋を閉めて専門店を立ち上げました。

缶ではなく、透明で見た目にも美しい“瓶詰め”にこだわった関根さんでしたが、
すぐに壁に直面。

瓶詰めの商品を常温で保存したところ、数日と、もたないことが判明したのです。

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関根さん、当時をこう振り返ります。

「“美味しく作る”ことと、“保存させる”というのは、
また別の問題だっていうことを、わかっていなかったんです。
すごく美味しく作れたんですが、
保存となると全く勉強不足で、最初は、もうひどかったですね。」

その後、海外の商品をヒントに、試行錯誤を繰り返した関根さん。
ついに、マグロのオイル漬けを無添加で、1ヶ月の常温保存を可能にする方法を見つけました。

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「おつな」のツナづくりは、まず、新鮮なビンチョウマグロの水分と臭みを取る作業から。

そして、特製のスープでじっくりと煮込んでから、水気を切って、味付け。
それぞれのフレーバーによって、様々なハーブやスパイスを使い分けていきます。

最後に、手作業でひとつずつ瓶に詰めてから、
保存のための工程を経て、1週間ほど寝かせれば完成です。

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多彩なフレーバーならではの、こんな悩みもあるといいます。

「たとえば、わさび、とか。
試食段階ではすごく味しいんですけど、
火を入れると、わさび独特の風味が消えてしまうんですよね。
だから、ツナって簡単なイメージがあるんですが、ぼくのなかでは奥が深いんです。
あきらめずにやっていたら、なんとか出口が見えてきたんですね。」

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ツナを愛し、瓶詰めのツナにこだわりぬいた関根さんの「おつな」。
いまでは、その味の良さと美しさが評判を呼び、多くの人に愛されています。

「やっぱり、この商品ができたのもぼくひとりではなくて、
まわりの人のつながりがあってできたものだと思っています。
人と人とがつながる、みんながつながる商品だと思って、“おつな”という名前にしています。」

人と人をつなげる、「つな」。
大切な方への贈り物にもぴったりですね。