VOL.221「職人が作る、本気の爪やすり」
切ってよし、削ってよし、磨いてよし。
万能な工具、「ヤスリ」。
古来より受け継がれてきた手仕事ならではのモノづくり、
その魅力を、どうすれば現代に伝えられるだろうか?
広島県呉市の仁方(にがた)という町で、
120年以上続く、両刃ヤスリの老舗メーカー、「ワタオカ」が行き着いた答えは、
職人が本気で作る、”爪やすり”でした。
名前は、「なめらか爪やすり」。
「なめらか爪やすり」を開発した、
「ワタオカ」、綿岡美幸(わたおか・みゆき)さんのお話です。
「やはり、“やすり屋なんですけど”と言っても、
“やすりって、何をするものなんですか?”って、
いつも、聞かれていたんですね。
誰も知らないんだな、っていうところからスタートしたんです。」
一般的な細長い棒状の爪やすりとは、一線を画すフォルムの「なめらか爪やすり」。
両面に凹凸があり、ひょうたんのようなユニークなデザインには、
使用感が計算されていて、
最後の仕上げに、真ん中のくぼみを使って、爪の丸い曲線を美しく整えるという優れものです。
「見た目は目が細かくて、こんなので削れるのかな?と思うんですが、
実際に削り始めると、爪切りなしで、爪やすりだけでしっかり削れて、
断面がツルツルになります。
うちは、おばあちゃんにも使ってもらっていたんですが、
手がなかなか思うように器用に動かせなくなってしまった、という方にも、
とっても使いやすいと思います。」
「なめらか爪やすり」は、その名のとおり、爪の断面を毛羽立たせることなく、
なめらかに仕上げられるのが最大の特徴です。
3つの方向から刃を立てるという職人技で、
“爪の断面の細胞を壊さずに削れるやすり”が実現しました。
「爪やすりを使ってもらって、“やすりって、こういう道具なんだ”と、
いろんなところで、知っていただくことができました。
これを広めていきながら、
やすりを道具として未来に残していきたいなという想いがあります。」
小さくて、携帯しやすいサイズの「なめらか爪やすり」。
良い道具を普段づかいすることが、
伝統の技術を未来につなげる橋渡しになりそうですね。