VOL.231「線香花火」
線香花火が日本で作られるようになって300年。
福岡県みやま市にある「筒井時正玩具花火製造所」では、
職人の技をいかした線香花火を製造しています。
火薬、紙、ロウソク、、、材料は全て、地元・九州産を使用。
貴重な国産の線香花火です。
1本あたりに使う火薬は、わずか0.08グラム。
100分の1グラム変わっただけで、燃え方に影響が出るため、
火薬を入れる作業には細心の注意が必要。
専用の道具で紙に火薬を丁寧に盛り、
糊を使わず手作業で、紙をよって仕上げていきます。
火をつけてから、目まぐるしく変わっていく表情は、全部で4つ。
※火の玉がだんだん大きくなる「蕾」
※火花が咲き始める「牡丹」
※激しく弾ける「松葉」
※静かに舞い、やがて、火玉が燃え尽きる「散り菊」
起承転結、4回、変化するかどうかが、職人の腕の見せ所です。
その“よりかた”で、花火の持ちや咲き方が変わる線香花火。
1本1本に緻密な手仕事が求められるため、
慣れた職人さんでも、1日に作れるのは400本から500本ほどだといいます。
「筒井時正玩具花火製造所」
筒井今日子(つつい・きょうこ)さんにお話を伺いました。
「私たちがいつも思っているのは、
子どもたちが、子どものうちに、楽しい花火で遊んでもらいたい、ということなんです。
その子たちが親になって、また、その子どもたちに伝えてもらえないと、
文化は衰退していくと思っているんですね。」
どこにも真似できないものを作りたい、と話す筒井さん。
最後にこんな思いも語ってくれました。
「今年は、本当にどこにもお出掛けできずに、
たくさんストレスを抱えている子たちもいるでしょうから、
家族で、ぜひ、線香花火をはじめ、日本の花火を楽しんでもらって、
大人になるまでずっと、その想い出を大事に持ち続けてもらって、
代々、受け継いでいければいいなと思います。」
日本の職人技術ならではの夏の風物詩、線香花火。
花を贈るように、大切な人に贈ってみませんか?