みらい図鑑

VOL.239「飛騨高山の木製ヘッドフォン」

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山に囲まれ、良質な木材が採れる岐阜県高山市。

古くから、「飛騨の匠」と呼ばれる木材加工技術者が腕を振るっていた、
国内有数の家具産地です。

そんな飛騨高山に工房を構え、
オーダー木製家具や、クラフト小物の製造販売をおこなう、
木材クラフトブランド「noctare(ノクターレ)」。

注目を集めているのが、木製のヘッドフォン「ヒダノオト」です。

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材料は、すべて木。

硬いカエデと、柔らかいヒノキ。
地元の山から伐り出した2種類の木を組み合わせ、
ひとつひとつ、職人の手作業で仕上げます。

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頭に装着するヘッドバンドの部分は、ヒノキの板を曲げて、
小判形の入れ物を作る“曲げわっぱ”の技術を応用。

使い方は、市販のイヤホンをヘッドフォン本体にセットするだけ。

イヤホンから出る音を、木製のイヤーカップ内で反響させることで、
ピュアな音質を楽しめるのが特徴です。

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「noctare」、代表の塩谷英雄(しおたに・ひでお)さんにお話を伺いました。

「木のかたまりをくりぬいて、そこにイヤホンを装着して、
イヤホンの音を、木の中で響かせて音を聴くんです。
これまでにない新しい考え方だと思います。
ヘッドフォンで聴いているのに、広い空間の中で聴いているような臨場感があるんです。
広がりがあるというか。
反響するので、ホールの中で聴いている感じになると思います。」

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匠の技を新しいスタイルで表現することが、伝統の継承につながる。

そう考える塩谷さんには、こんな思いがあります。

「暮らしの中で、人と木が、ずっと良い関係でつながっていけるようなモノを
今後も作っていきたいと思っています。」

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金具などは一切使わず、木の特性を生かした構造とシンプルなデザインで、
飛騨高山の伝統を伝える「noctare」の木製ヘッドフォン、「ヒダノオト」。

時代に合ったプロダクトの開発が、
地域の伝統産業を守る一端を担っているんですね。