VOL.241「丹波布」
兵庫県丹波市青垣町(あおがきちょう)。
かつて、この町に暮らす農家たちが、
農閑期である冬の間の収入源として作り始めたのが、「丹波布(たんばぬの)」。
畑で栽培した綿から糸をつむぎ、
栗の皮や草木で染め、
絹を混ぜながら、
手織りで仕上げます。
全ての工程を一人の手でおこなう、この地域の伝統織物は、
国指定選択無形文化財に指定されています。
200年の歴史を持つ「丹波布」、
工業化の波が押し寄せた明治時代に、一度、途絶えてしまいますが、
その後、昭和に入り、復活を果たしました。
そんな「丹波布」の文化を、後世に伝えていくための施設、「丹波布伝承館」。
糸つむぎ・染色・機織りなどの技術を伝承するほか、
機織りや草木染など、丹波布の全てが分かる展示コーナーや、
体験コーナーが設けられていて、糸つむぎ教室も開催しています。
「丹波布伝承館」、指導員の廣内 良(ひろうち・りょう)さんに伺いました。
「ほぼ手作りで、身の回りにあるものを上手く利用して織る織物ですから、
生産量としては多くはありません。
そういった中で丹波布の伝承館では、機織り体験とか糸つむぎ体験とか、
綿と種を分離する“綿繰り”という作業を体験していただけます。
糸つむぎに関しては、綿が糸になることを不思議に思う方がたくさんいます。
それをちょっとでも自分で体験すると、
難しいな、すぐ切れるな、ということを実感しながらも、
自分も出来るようになりたいという方が、少しずつ増えている印象ですね。」
地場の作物があってこその「丹波布」。
その使い心地は、こんなものでも体感できます。
現在、伝承館で販売されている「丹波布マスク」。
そのつけ心地は抜群だそうですよ。