VOL.254「竹箸」
私たちの食卓には欠かせない、「お箸」。
そのほとんどは、海外から輸入された木で作られています。
そんななか、「竹の箸」だけにこだわったメーカーが熊本県・南関町にあります。
「株式会社ヤマチク」。
1963年の創業以来、一貫して、竹の素材を生かす製品づくりに取り組んでいます。
使っているのは、地元の山から一本ずつ切り出した、純国産の竹。
ブランドの竹箸、『okaeri（おかえり）』は、
箸先にいくにしたがって四角く削り出しているので、転がらないのが特徴です。
「ヤマチク」の三代目、山��彰悟（やまさき・しょうご）さんにお話を伺いました。
「みなさん、はじめて竹の箸を持たれた時に、まず驚かれるのはその軽さですね。
手に力が入らないので、あらゆる所作がキレイになるんですよ。
その竹の箸が食卓に上ることで、
日本各地に余っている竹が、ちゃんと資源として活きていくのかなと思うんです。
そうすると、日本の竹の箸の文化や美しい里山の風景も、
未来につなぐことができるのかなと思って、
ぼくたちは、竹の箸を作り続けているんです。」
そもそも、「箸」という漢字の部首は「竹かんむり」。
日本の食文化は、竹の箸が支えてきたと言っても過言ではありませんが、
加工が難しいこともあり、今ではほとんど姿を消してしまいました。
国産の竹箸を作り続け、それが、全国の食卓に広がっていくことで、
美しい里山の風景を未来へとなげたい、と山��さんは語ります。
「田舎の小さな町工場ですが、地元に雇用を生み出すとか、
自慢できるものを作り出すということは、大事なことだと、
より、このコロナで強く感じるようになりましたね。
ぜひ、竹のお箸を使っていただきたいです。」
日本人の身近にある素材として、
古くから、さまざまな生活用品に加工されてきた竹。
素材の良さを存分に活かした竹の箸は、
おうちごはんをさらに豊かなものにしてくれそうですね。