VOL.269「木のおもちゃ」
世界有数の森林大国、ニッポン。
そのなかでも、84%という最も高い森林率を誇るのが高知県です。
そんな森の国で、20年間、ひとつひとつハンドメイドで、
木のおもちゃを作っているのが、安芸市にある工房、「山のくじら舎」。
ここで使用される木材は、高知県が誇る「土佐ヒノキ」。
芯の鮮やかな赤みと強い香り、そして、たっぷりと脂分を含んでいるので、
年月を経るごとに光沢が増していくのが特徴です。
本来であれば、山に残すはずの切り株や間伐材を主に使うことで、
土佐ヒノキに新たな息吹をもたらしている「山のくじら舎」。
代表の萩野和徳(はぎの・かずのり)さんにお話を伺いました。
「木の魅力は、なんといったらいいんでしょうね。
自然が生み出す素材なので、
資源自体が、森からどんどんどんどん生まれてくる感覚なんですね。
そういう素材を使って、木のおもちゃ作りを出来ているのは幸せですね。」
ベストセラーは、「山のくじら舎」が最初に作ったお風呂で遊べるおもちゃ、
「おふろでちゃぷちゃぷ」という商品。
高知の海にいる魚たちが11匹と、
すくい網がセットになって箱に入っています。
お風呂で魚をすくったり、魚屋さんごっこをしたり、
つみ木やパズルのように遊んだり・・・。
子どもたちのひらめきを広げていく木のおもちゃについて、
萩野さんはこんな想いを抱いています。
「作り手としては、
木肌の感覚や木のぬくもりを感じてもらいたい、というのもあるんですが、
あくまで、子どもたちの成長のお手伝いをする、
ひとつの道具になれたらなという想いで作っています。」
肌に吸い付くような、土佐ヒノキの質感や美しい木肌、
そしてやさしく広がる香りは、天然資源のおすそ分け。
このおもちゃを楽しむことが、
高知の豊かな自然を守ることにもつながっているんですね。