みらい図鑑

VOL.285「100%手作りの箒」

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青森県・階上町に、「左京窯(さきょうがま)」という工房を開き、
オールハンドメイドの「箒」を作っているご夫婦がいます。

箒の原料は、「ホウキモロコシ」という植物。

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春に植えたホウキモロコシを、夏の終わりに1本1本、刈り取ったあと、
脱穀、煮沸、天日乾燥、仕分けの作業を経て、
箒の材料ができあがります。

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そうしてできた200本以上の材料を束にして揃え、
畳糸で丁寧に編み込んで、ようやく1本の箒が完成。

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トータル1年以上の歳月をかけてできた、手作りの箒の特徴は、
独特の「ちぢれ」と見た目の美しさです。

「ちぢれ」があることで、
掃除機では取りづらい絨毯のほこりや糸くずなどを、
素材を傷めることなく、簡単にかき出すことができるといいます。

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「左京窯」、左京三義(さきょう・みつよし)さんのお話です。

「昔から、“掃き清める”っていうじゃないですか。
あれって、音も関係しているんです。
サッサッサって、やるんですよね。

掃除機の機械音とは違って、自分の腕を動かした分だけ音がするんですよね。
その音が、すごく心を落ち着かせていいんじゃないかと思います。」

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そもそも、縄文時代の焼き物に触発された陶芸を、
長い間、生業にしてきたという左京さんご夫婦。

その後、ホウキモロコシの栽培を始め、
和帚を基礎としながらも、
縄文スピリット溢れるオリジナルデザインを生み出しました。

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ものを大事にするという考え方を、
再認識してもらう形で使ってもらえたら嬉しい、と話す左京さん。

「30年から50年、使えるんですよ、この箒は。
植物だから、プラスチックのようにゴミにはならないし、
自然に還るし、しかも電気は使わないで、
邪魔にもならないし、インテリアにもなるな、と。」

“掃除”という、生活には切り離せない作業も、
左京さんの箒があれば、楽しい時間になりそうですね。