みらい図鑑

VOL.289「りんごの木の木工品」

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りんごの生産量日本一、青森県弘前市。

この土地で、世界的にも珍しいりんごの木を使った
木工製品が作られています。

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りんごの木は、毎年、さまざまな理由で役目を終えますが、
木材として利用するには、太く、長い部材がとれないうえに、節目やコブも多く、
加工するまでに手間がかかるため、
薪に利用される以外は処分されているのが現状です。

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廃棄処分されるりんごの木をなんとか有効活用できないか、
そう考えたのは、
地元にある「木村木品製作所(きむらもくひんせいさくじょ)」。

農園からりんごの木を伐採して製材にし、
長い時間をかけて乾燥させ、
ほとんど手作業で、さまざまなプロダクトを製作しています。

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テーブルウェアが中心で、人気は、子供用と大人用がある「お箸」。
他にも、名刺入れやスタンドミラーなど、
バラエティに富んだ商品が、木村木品製作所から生まれています。

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職人の、神 峰之(じん・みねゆき)さんのお話です。

「3年ぐらい前に子供が生まれたんですが、
自分の子供に、りんごの木を触ってもらって、
たまに口に入れたりするんですけど、楽しそうに遊んでいるのを見ると、
木の製品、りんごの製品って、いいものだなって単純に思うんです。

手触りや風合いも良いんですが、
質感、それから、やさしい木目が大きいかなと思いますね。」

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せっかくりんごの木を入手しても、
あとからヒビが入ったり、虫が出てくるなどして、
使えるのは5割がやっとだといいます。

それでも作り続ける理由のひとつは、
この会社が、先代が青森ヒバのりんご栽培用のはしごを開発し、
りんごの恩恵を受けてきた”木工屋”だから。

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「いま作れているのは、りんご農家さんのおかげです。
大切に育てて、何十年という月日が経っていることを感じると、
大事にしなければいけないと感じます。

そういった背景も感じていただきながら使っていただけたら嬉しいな、と、
勝手ながら思うんですね。」

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りんごは地域の大事な資源。

実を食べるだけでなく、
木そのものも活用して廃棄処分を減らすこが、
りんごの新しい可能性を生み出し、地域の活性化にもつながっていきます。