みらい図鑑

VOL.321「和紙の鯉のぼり」

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手漉きの和紙でできた、家の中に飾れるサイズの「鯉のぼり」。

手掛けているのは、富山県富山市・八尾町にある「桂樹舎」という会社です。

長い歴史を誇る、富山の「八尾和紙」で、
ブックカバーや名刺入れなど、さまざまな商品を作っています。

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八尾で和紙づくりが始まったとされていたのは、室町時代。

養蚕のための紙の生産や交易、
そして、「富山の売薬」の包装紙の需要などで和紙産業が栄え、
かつては、多くの家庭で紙漉きが行われていたといいます。

その後、時代の変化とともに、和紙産業は衰退。

そんななか、和紙の魅力を伝えたい、と立ち上がったのが、
「桂樹舎」の創設者。昭和初期のことです。

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八尾和紙の魅力を今に伝える「桂樹舎」が、
30年ほど前から製作を始めた「鯉のぼり」。

手漉きした和紙に、しわをつけ、染色・加工。
すべての工程が、ひとつひとつ職人の手作業で生まれています。

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「桂樹舎」の代表、吉田泰樹(よしだ・やすき)さんのお話です。

「丁寧に作らないと。
それが、全部、姿にも、形にも出てくると思って作っています。
手を抜いたりすると、
もらったり買ったりする人は、何か感じるはずなんですよね。」

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ペーパーレスと言われている今の世の中。

最先端技術のおかげで、便利なものはたくさんありますが、
手作業で生まれた紙にしか表現できない癒しもある。
それを、“うちの商品”で感じてもらえたら嬉しい、と語る吉田さん。

「世界にこんなに素晴らしい紙はないんです。
和紙には1200年の歴史があります。なくしてはいけないんですね。

日々の生活のなかで、和紙を使う場面が少なくなってきましたが、
忘れられないようにするために、
少しでも手に取ってもらう機会を作れたらと考えています。

日本の和紙はすごいんだ、って知ってもらいたいですね。」

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おじいちゃん、おばあちゃんだけでなく、
若いお父さんやお母さんも、子どものためにと手に取り、
家族で親しまれている「八尾和紙の鯉のぼり」。

カラフルでぬくもりのある和紙から生まれた鯉のぼりは、
家の中で、子どもの成長を見守ってくれます。