2013年10月13日

ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』
 (光文社古典新訳文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

詩、小説、舞台、映画、美術など様々な分野で活躍したフランスの芸術家ジャン・コクトー。1963年10月11日、74歳で亡くなっています。没後50年にちなんで、コクトーが残した小説の中から1929年に発表した「恐るべき子供たち」を味わってみました。物語の主人公はエリザベートとポール。親の愛情を知らずに育った姉弟です。母親の死後、彼らはモンマルトルのアパートで暮らし、大人が入り込めない場所を作って閉じこもります。やがてそこに加わるのがジェラールという友人とアガートという少女。愛するがゆえに傷つけあう4人は、悲劇に向かって突き進んでいくのです。

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