2014年02月09日

宮尾登美子
『きのね』(上)
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

メロディアス・ライブラリーでは、毎年2月に長編小説を2週にわたって取り上げていますが、今回選んだのは日本文学の中から宮尾登美子さんの「きのね」です。昭和63年の秋から新聞に連載されていた小説。歌舞伎役者の家に奉公に出た主人公を通して女性の一生を描いています。歌舞伎が大好きという藤丸由華さんのおすすめの1冊。しかし歌舞伎好きでなくてもひきこまれてしまう作品です。まず魅力的なのは光乃という主人公。父親の家業が傾いたため叔母の家に預けられ、その後、歌舞伎の名門の家に奉公に出ることになります。ここを追い出されたら行く場所がない。覚悟を持ったその生き方に強さを感じます。

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