2016年6月5日
ドストエフスキー
『白夜』
 (講談社文芸文庫)

主人公の「僕」が出会った女性はナースチェンカ。両親をなくし、祖母と二人で暮らしています。まだ17歳という若い彼女に、「僕」はのめり込んでいきます。しかし「僕」の想いは妄想でしかなく、あっけない結末を迎えるという物語。この小説を発表した時、ドストエフスキーはデビューから2年後の26歳でした。文豪と呼ばれる作家でも、初期の作品には若さからくる未熟さが感じられるもの。「白夜」の主人公もドストエフスキー本人とどこか重なります。その後、反社会的活動をおこなったとされ逮捕、シベリアに流刑となるなど人生の大きな苦難を乗り越えたドストエフスキー。その経験が「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」と言った文学遺産につながっていくのです。

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