2016年10月30日

北杜夫
『ぼくのおじさん』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「ぼくのおじさん」という映画が公開されます。原作は北杜夫さんが書いた児童文学。昭和37年に「中二時代」という学習雑誌で連載がスタートし、その10年後に出版されました。最近では絶版状態になっていましたが、映画の公開をきっかけに復刊され話題となっています。雪男という小学6年生の男の子とそのおじさんの物語。このおじさんは、雪男の父親の弟。30歳をとっくに過ぎて未だ独身。二つの大学で臨時講師をしていますが、雪男にとっては友だちに誇るべきところが、なにひとつない人物。誇るどころか、なんの役にも立たないおじさんです。しかし物語の後半、おじさんと雪男はハワイに行くことになるのです。

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