2017年1月29日

キルメン・ウリベ
『ムシェ 小さな英雄の物語』
 (白水社)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今回取り上げた「ムシェ 小さな英雄の物語」を手がけたキルメン・ウリベ。彼は1970年、スペインのバスク地方の出身で、百万人に満たない少数言語であるバスク語の書き手です。2001年に詩人としてデビューし、2008年に初の小説「ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ」が世界的に高く評価されます。その4年後に発表されたのが「ムシェ 小さな英雄の物語」。日本では、金子奈美さんが翻訳されて日本翻訳大賞も受賞しています。題名にもなっているムシェは、実在の人物。スペインが内戦状態にあった時、バスクから疎開した少女を引き取ったベルギー人の若者です。しかしその後、強制収容所に送られるという過酷な人生が待っています。

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