2018年8月26日

城山三郎
『官僚たちの夏』
(新潮文庫)

40年以上も前に発表された小説ですが、今の時代に読んでも引き込まれる魅力を持つ「官僚たちの夏」。成功物語ではなく挫折の物語である部分が、どんな時代にも受け入れられている理由のひとつです。作者の城山三郎さんは生前こんなふうにおっしゃっていました。「現代は組織との関わりあいの中でどう生きるかが非常に重要な問題である。自分自身は小説家になる出発点から‘組織と人間’という発想で書いている」。時代や社会の状況は変わっても「組織と人間」の関係は普遍的なテーマ。「官僚たちの夏」を読むと、自分は組織の中でどんな存在であろうとしているのか?小説の登場人物と重ね合わせながら考えてしまいます。

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