2018年9月16日

若竹千佐子
『おらおらでひとりいぐも』
(河出書房新社)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

翌日の「敬老の日」にあわせて選んだのは若竹千佐子さんの「おらおらでひとりいぐも」。「新たな‘老い’を生きるための感動作!」というキャッチフレーズの付いた小説。2017年度の文藝賞、第158回芥川賞受賞作です。主人公は桃子さんという74歳の女性。長年連れ添った夫は亡くなり、息子や娘とは疎遠になっています。雑然とした家の中、ひとりで暮らす桃子さん。その状況を寂しがるのではなく、自分の内側を冷静に見つめている。すると脳内には様々な声や音が溢れてくる。「孤独だけれども自由になった時に何を考えるのか。そこから生まれる‘おばあさんの哲学’を書きたかった」と若竹千佐子さんはおっしゃっています。

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