2018年11月25日

安部公房
『箱男』
(新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「箱男」という不思議な題名、本の装丁に使われている歪んだ家の写真、ページを開くとまず出てくるのが切り取られたネガフィルム、そして掲載されている新聞記事。「え、このあとどんな物語がはじまるの?」と不安になる導入部。しかし気がつくと読者は安部公房ワールドに迷い込んでいるのです。小説「箱男」が発表されたのは45年前の昭和48年。美術作品のコラージュのような斬新な表現方法は、当時、実験的な作品と話題になりました。では21世紀の今、あらためて読むとどんなふうに感じるのでしょうか?昭和の匂いが溢れているのに何故か色あせない。時代を超えて前衛的であり続ける。それが安部公房という作家の凄さなのかもしれません。

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