2019年01月13日

神谷美恵子
『生きがいについて』
(みすず書房)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

精神科医で作家の神谷美恵子さんが、昭和41年に発表した「生きがいについて」。「私たちの毎日の生活を生きるかいあるように感じさせているものは何であろうか」とはじまるこの本は、発表当時から話題となり、50年以上たった今も読み継がれています。神谷美恵子さんが「生きがい」について深く考えるようになったきっかけは19歳の時、キリスト教の伝道師をしていた叔父が東京都東村山市にあるハンセン病療養施設「多摩全生園」へ話をしにいく際、オルガン奏者として同行した時のことでした。「このような病におそわれなくてはならない人がいる」ということに衝撃を受け、医師を志すようになります。そしてアメリカのコロンビア大学、さらに東京女子医学専門学校で学び、精神学の道に進みます。

...続きを読む