2019年01月20日

ユベール・マンガレリ
『おわりの雪』
(白水Uブックス)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

小川洋子さんの心の本棚に並んでいる大切な本の中から選んだ1冊「おわりの雪」。フランスの作家ユベール・マンガレリが2000年に発表した小説です。少年と鳥、そして犬も登場する小川さんが惹かれる要素が詰まった作品。「トビを買いたいと思ったのは、雪がたくさんふった年のことだ」という文章からはじまる小説の世界には、切ない静けさが広がっています。そのトビは古道具屋で売られていて、その様子を確かめに何度も見に行く少年。家には病気で寝たきりの父親がいて、枕元でそのトビのことを繰り返し話します。想像力豊かで心優しい少年の「トビを買いたい」という夢は叶うのか?しかしある出来事に少年の心は揺れていきます。

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