2019年02月24日

ジョン・スタインベック
『怒りの葡萄(下)』第二週
(ハヤカワepi文庫)

物語の後半、ジョード家や他の農業移住者の状況はさらに過酷になっていきます。西へ移動しても仕事はなく、条件の悪い仕事をみんなで取り合い、ますます賃金が下がる悪循環。しかしその中でも人の優しさがあり、家族は深い愛情でつながっています。「特に素晴らしいのはラストシーン。一枚の宗教画のように感動的」と小川洋子さん。読み始めた方は、ぜひ最後のページまでジョード家と旅を続けてみて下さい。この小説がきっかけでアメリカ図書館協会は「図書館の読者の知的自由を守る決意」として「図書館の権利宣言」を1948年に採択しました。その理由は、当時「怒りの葡萄」は「共産主義のプロパガンダ」とみなされ、アメリカの一部の州で発禁となり、置かない図書館もあったからです。

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