2019年04月14日

川端康成
『山の音』
(新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「メロディアス・ライブラリー」では、ここ数年、川端康成の命日である4月16日にあわせて代表作を味わっています。今回取り上げたのは「山の音」。昭和24年から5年間、様々な雑誌に断続的に発表された小説を、その後ひとつにまとめて昭和29年に刊行した作品です。物語の主人公は62歳の尾形信吾。ひとつ年上の妻・保子と長男の修一夫妻と鎌倉で暮らしています。近頃、物忘れも多くなってきた信吾は、夏のある夜「山の音」を耳にして死期の宣告のように恐れを感じます。娘の房子と夫の不仲、息子・修一の浮気など、家族の問題にも憂鬱なものを感じる信吾。そんな中、唯一の心の救いは長男の嫁である菊子でした。

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